離婚を専門に扱う某法務事務所に勤める1児のシングルマザーが、離婚に関する役立つ知識を発信します。
こんにちは、まいみらいです。
離婚する方のほとんどが、夫婦で離婚協議をして離婚を決める方法、つまり「協議離婚」の方法をとります。
しかし協議離婚が、どのようなメリットやデメリット、またはリスクがあるのかを知っている方はそう多くはありません。
そこで今回は協議離婚について詳しく取り上げます。
この記事をご覧頂くことで、協議離婚でやるべきこと、やってはいけないことが分かります。
そのことが分かっていれば「協議離婚で取り返しのつかない失敗」をすることはありませんよ。
離婚協議を開始しようと思っている方は、是非参考にして下さいね。
目次
離婚の主な方法としては次の3つがあります。
このうち「協議離婚」とは、調停・訴訟などの家庭裁判所による手続きによらないで、夫婦間の離婚協議で合意する離婚方法です。
離婚した夫婦の「87%以上」が協議離婚の方法で離婚しており、一般的な離婚方法といえます。
(※厚生労働省 平成27年人口動態統計より)
なお他の離婚種別における、離婚件数に占める割合について次の通りです。
協議離婚は次の2つ要件だけを満たせば、離婚が成立します。
「離婚することについて夫婦双方の合意」
「離婚届に必要事項を記載し、役所に提出して受理されること」
なお離婚届は、必要な要素がきちんと記載されていれば、問題なく受理されます。
協議離婚の主なメリットは次の6つです。
協議離婚が多い理由は、これらメリットからも分かるように「簡単」で「時間がかからない」「費用がかからない」からです。
調停離婚や裁判離婚は家庭裁判所が関与する為、手間や時間がかかります。
また調停離婚する為の離婚調停は、自分で手続きが可能なので費用を抑えることも可能ですが、裁判離婚となると弁護士が必要となる為、訴訟費用と弁護士費用がかかります。
この様に、協議離婚は手間ひまかけずに自由かつ簡便であるメリットがあるからこそ、最も多く選ばれる離婚方法なのです。
協議離婚はとても簡単で、家庭裁判所の関与がない離婚方法であることの反面として、次の様なデメリットがあります。
協議離婚は手続きが簡単であるが故、離婚に伴う養育費や財産分与などの取決めを曖昧に決めてしまいがちです。
そのことが原因で後々トラブルに発展するケースが数多くあります。
トラブルを回避するにはお互いの権利や義務をしっかり確認し、取決めをすることです。
そして、取り決めたことを決して口約束のままにせず、必ず書面に残すことが重要です。
このことは後でも詳しく取り上げます。
協議離婚の話し合いから離婚成立まで、どれくらいの期間がかかるのかについてです。
そのひとつの大きな要因は、自身が離婚を切り出してから、相手が同意するまでの時間です。
すぐに同意する人もいれば、離婚を拒み続ける人もいます。
基本的に相手は離婚を拒むため、そこからいかに早く同意させるかがポイントになります。
このことは後でも取り上げます。
相手が離婚に同意するまでの時間の要因以外は、基本的に各夫婦の事情により変わってきます。
最初に比較的に時間がかからないケースについてお伝えします。
離婚協議が比較的短くて済むケースは次の通りです。
子供がいない場合は、親権や養育費、面会交流の話し合いが不要な為、その分短くなります。
また婚姻期間が短い場合は、二人が築いてきた財産が少ない為、その分財産分与の話し合いにかかる時間は少なく済みます。
離婚協議が比較的長くなるケースは次の通りです。
「子供がいる」と「婚姻期間が長い」は、先ほどお伝えしたことの逆の状況となる為、話し合いは難航して長くなります。
また慰謝料請求をする、年金分割を求める、オーバーローンの住宅の財産分与する等といった、解決すべき離婚条件が多ければ多いほど、時間は長くなります。
時間がかかるケースの方が、少しでも早く協議離婚を成立させる為には、
自身の希望を全て通そうとしないことです。
その為には、話し合いの前に「譲れるor譲れない」の線引きをしっかりと引いておきましょう。
ここからは協議離婚の進め方についてお伝えします。
協議離婚する為には当たり前ですが、まずは相手に離婚を切り出し、同意を得なければなりません。
でもこれこそが、協議離婚の過程上で特に難しいことだと予想されます。
理由はこちらが離婚を決断しても、相手は離婚を考えたことなんて一度もないかもしれないからです。
仮に相手が一度は離婚を考えたことがあったとしても、子供の為に離婚はしないと決めていたり、不仲である関係を修復しようと考えているケースも多くあります。
そんな相手から離婚同意を得ることは、そう簡単でないことは容易に想像つくかと思います。
しかし、たくさんの方は「夫婦仲は最悪だから相手もきっと離婚したいはず」と高を括ってしまっているのです。
そして養育費や財産分与などの離婚条件の対策のみを力を入れようとするのです。
よって協議離婚を目指す為には、こちらが離婚を求めたときに拒んでくる相手を、どうすれば離婚同意を得ることが出来るかについての対策を十分練ることです。
※離婚同意を得る方法については「離婚に応じない夫からはこのようにして離婚の同意をもらいましょう」の記事を参考にしてください。
相手から離婚同意を得ることが出来れば、次は離婚条件について話し合いをします。
離婚条件とは、主には次の5つです。
離婚を相手に切り出す前に、この5つについての知識をしっかり頭に入れておきましょう。
離婚条件の知識を知らないことで、こちらが不利な取り決めをしてしまう可能性が高いです。
それでは個別にお伝えします。
親権とは、未成年者の子供を保護、養育し、子供の財産を管理する親の権利・義務です。
この親権を行使する者のことを「親権者」といいます。
未成年の子供がいる場合、夫婦どちらかが子供の親権者になるか決め、離婚届に明記しなければ受理されません。
※親権についての詳細は「裁判になっても親権者になれる人を詳しく解説!」をご覧ください。
子供と離れて暮らす側の親には、子供と会う権利があります。
いつどこで、どのくらいのペースで子供に会うのかといった面会方法や内容を取り決めします。
面会交流は無条件で認められるわけでなく、子供の福祉を害する恐れがある場合は、拒否などの一定の制限をうけます。
※面会交流についての詳細は「面会交流のルール作りをする上で必ず押さえておきたいポイント」をご覧ください。
養育費とは、食費、被服費、医療費、教育費、娯楽費など、子供を育てていく為に必要な全ての費用のことです。
この養育費については、月払いにするのか、年払いにするのか、いつまで支払うか、どの通帳に振り込むか、等を取り決めます。
養育費の支払いは子供と一緒に住むか否か、離婚後の面会交流を認めるか否かは関係なく、親なら当然に支払う義務があります。
※養育費についての詳細は「養育費の相場と養育費不払いを防ぐ最善の方法を知っていますか?」をご覧ください。
財産分与とは、離婚に際して夫婦が築いてきた財産を、どのように分配するのかを決めることです。
分与割合は基本的に「2分の1」となります。
慰謝料と違って離婚原因とは分けて考えられ、仮に不貞行為等を行っていても財産分与を受ける権利があります。
財産分与の対象となる主な財産とは次の通りです。
※財産分与の詳細は「離婚時の財産分与の対策はこれを読んでガッチリ確保」をご覧ください。
夫婦の一方に有責性がある場合は、もう一方の側はその有責者に慰謝料を請求することができます。
有責性のある行為とは、不倫をする、暴力を振るう等の行為をいいます。
離婚慰謝料の代表格である「不倫」の慰謝料の相場は約200万円です。
※慰謝料についての詳細は「離婚の慰謝料の相場と相場以上の額を獲得する為に知っておくべきこと」をご覧ください。
離婚条件の話し合いをする上で注意すべき点が2点あります。
それでは個別にお伝えします。
離婚することが決定している以上、感情論は不要です。
感情的になって話しても言い争いになるだけで、何もプラスになることはなく、話がややこしくなりこじれるだけです。
余計な話はせず、冷静に親権なら親権だけ、養育費なら養育費の話だけに集中することが早く話合いを終わらすポイントです。
よく夫婦のそれぞれの両親を、離婚に関する話し合いの場に同席させる事があります。
おそらく夫婦ふたりだけだと不安という気持ちから同席させるのでしょう。
しかし、両親同席での話し合いはNGです。
親とすれば自分の子供が一番ですので、自分の子供の見方に徹します。
一方、相手側には「離婚に至った原因は全部そちらにあるから、慰謝料は倍払え」等と非難ばかりします。
もちろんのこと、もう一方の両親も同じ対応をしますので、話し合い一向にまとまらず、こじれるばかりで決着はしません。
よって離婚に関する話し合いは、二人きりだと暴力を振るわれる等の特別な理由がなければ、夫婦二人だけで行うことです。
離婚条件など夫婦の話合いで決まったことは、離婚協議書などの書面に残しましょう。
口約束だけで終わらすのは、証拠が無く何も決めていないのと一緒ですので、絶対に避けましょう。
そして、養育費や慰謝料などのお金の取決めは「離婚公正証書」にしておくことが一番安心です
離婚公正証書の最大の特徴は「強制執行力」です。
強制執行力があると、夫婦で取り決めをした養育費等が不払いの場合、相手の財産の差し押さえが可能です。
そして、差し押さえた財産から不払い分の養育費などを回収することが出来るのです。
養育費や慰謝料などを受け取る側としては、離婚公正証書を作成するか否かで、離婚後の安心度が大きく違ってきます。
離婚公正証書を作成する為には、弁護士などの専門家に依頼する必要があり、それ相応の費用はかかります。
しかし養育費を継続的に受け取れている家庭が2割を切る現状を考えれば作成は必須でしょう。
※離婚公正証書の詳細は「離婚協議書を公正証書にすることで効力は絶大となります」をご覧ください。
離婚届を提出した後に、離婚公正証書などを作成することは避けましょう。
離婚届を提出した後では、養育費などを払う側は書面に残すことを嫌がり、作成を拒否する恐れがあるからです。
最悪の場合、相手が携帯番号を変えるなどで連絡を取れなくして、話し合いから逃げることも。
よって離婚届を出す前に、必ず離婚公正証書などを作成しましょう。
※離婚届についての詳細は「離婚届を提出する際、絶対してはいけない事とポイントをお教えします」をご覧ください。
一方的に離婚届を提出される恐れがある方は、勝手に離婚を成立させない為にも対策をしておく必要があります。
一番確実な方法として「不受理申出」の手続きを行うことです。
そうすることで、相手が勝手に離婚届を提出しても受理されることはありません。
不受理申出についての詳細は「「離婚届不受理申出」で相手の一方的な離婚届の提出を阻止!」をご覧ください。
協議離婚を諦めるタイミングは、夫婦で何度も話し合いを重ねてきたが、合意が出来る見込みがなくなったときです。
数回話し合いをしたが駄目だったから、協議離婚を諦めるというのは時期尚早であり、自ら離婚できる時期を遅らせているだけです。
協議離婚が成立しない場合は、通常相手の住所地を管轄する家庭裁判所に「離婚調停」を申し立て、調停離婚を目指します。
しかし、離婚調停で何らかの結果が出るまでの平均期間は「5カ月前後」と長い期間が必要になります。
また離婚調停も夫婦の話し合いにより、離婚を目指すところには変わりはありません。
協議離婚と違う点は、中立的な立場である調停委員が間に入るところです。
この様なことから、数回程度の話し合いで協議離婚を諦めるのは避けるべきです。
最後にもう一度、離婚協議のポイント7つをまとめておきます。
協議離婚を早く成立させる、または取り返しのつかない失敗しない為には、上記のことは最低限守って下さいね。
まいみらいがお伝えしました。
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私は夫の不倫が原因で離婚し、今は離婚を専門に扱う法務事務所に勤めながら、子供と一緒に平穏無事に幸せな毎日を過ごしています。
離婚する前は本当に精神的に辛く大変でした。
私は婚姻中パートしかしておらず、社会経験があまり無かったので、離婚後の生活に対して不安だらけでしたし、もちろん離婚の知識なんて全くありませんでした。
そんな私でも、経済的には決して裕福ではありませんが、充実した日々を送っています。今に至る経緯を私の自己紹介と共に、下のリンクの記事でお伝えしています。
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