離婚を専門に扱う某法務事務所に勤める1児のシングルマザーが、離婚に関する役立つ知識を発信します。
お互い離婚することに合意した。
その際、離婚届を役所に出しに行くことになりますが、出すタイミングはいつでもいい訳ではありません。
タイミングを間違えると、養育費も慰謝料も何も受け取れなくなる可能性があるのです。
今回はその離婚届を出すタイミングと、離婚届の提出の手続き方法などについて取り上げます。
ここでお伝えする内容を押さえて頂くことで、離婚届を出すタイミングを間違い、取り返しのつかない事態になることを防げます。
それと共に、離婚届の提出の手続きなどのポイントも分かるので、不備なくスムーズに離婚を成立させることができますよ。
※ 離婚を見極めるタイミングについては「ベストタイミングで離婚したいなら押さえておくべき5つのこと」で取り上げています。
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離婚を決意したのなら、離婚届を提出する前に決めるべきことや、確認をしておかなければならないことが山のようにあります。
しかし、その大前提として、相手に「離婚をしたい」と切り出し、同意を得なければなりません。
ですが実際は、離婚を切り出す前に、慰謝料や財産分与などの条件面の事ばかりを考えている方が多いのです。
条件面について、自分が希望する内容にて相手から合意を得たいと思うのは、離婚後の生活を考えれば当然です。
しかし、相手からの離婚の同意を得ないことには、そもそも条件面の話し合いになりません。
その離婚同意を得ようと、相手に「離婚をしたい」と切りだし、すぐに「分かった、離婚をしよう」なんて流れはほとんどありません。
なぜなら、究極の選択である離婚を双方が望んでいることは稀であり、中には一度も考えたことすらない人もいるのですから。
よって条件面ばかりを考える前に、相手から離婚の同意を得ることの方が先です。
次に離婚の「合意」ができたからといって、すぐに「離婚届」を提出するのは絶対に避けなければなりません。
「やっと離婚の同意を得ることができた。とりあえず、こんな相手の籍からは早く抜けたいから離婚届を提出したい。落ち着いたら条件面を話せばいいや。」
その気持ちはよく分かりますが、取り返しのつかない事態となる可能性が非常に高いです。
なぜなら離婚届を提出した後に、条件面の話し合いをしようとしても、相手が素直に応じないことが多々あるからです。
連絡が取れるならまだマシで、もっとひどいのが次のようなケースです。
離婚後の相手の住所を確認しておらず、連絡先の携帯番号が変わって音信不通になる。
そして、勤め先の方に連絡しても取り次いでもらえない・・・
まさに途方に暮れるとはこのことです。
つまり「離婚届」を先に提出すれば、慰謝料や養育費などの条件を相手側と決めたくても、無視をされる危険があるのです。
そもそも後から条件面を話しても誠実に対応する人なら、こちらも離婚したいとは思わなかったはずです。
しかし、婚姻生活中に相手がこちらに対し、不誠実な態度を取り続けられたからこそ離婚を決意。
そんな相手だから、「できれば慰謝料なんて払いたくないし、養育費も払いたくない」なんて思っている可能性が多いにあります。
そうだとすると、相手はなかなか話合いに応じません。
話合いに応じなければ、時間のかかる「調停」を申立てるしかありませんが、相手は同様の理由でそれに応じない可能性があります。
調停の成立にはお互いの合意が必要だからです。
相手が話し合いに応じなければ、あとは裁判をするしかありません。
そうなれば調停よりさらに多くの費用と時間がかかる為、精神的な負担は多大なものになります。
このような理由から、先に離婚届を出し、その後に条件面を決めるようなことはしてはいけないのです。
離婚届は離婚条件を離婚協議書(公正証書)などの書面に残した後に、提出することが大原則です。
※ 離婚協議書(公正証書)についての詳細は「 離婚協議書を公正証書にすることで効力は絶大となります」で取り上げています。
相手が条件面の取り決めができていないのに、こちらに無断で一方的に偽造した離婚届を提出される恐れがある。
そう感じる方は、相手に勝手な離婚を成立させないように、阻止させる対策をしておく必要がありますよ。
確実な方法として、「離婚届不受理申出」の手続きをすることです。
そうすれば、相手が勝手に離婚届を提出しても受理されることはありません。
※ 不受理申出についての詳細は「「離婚届不受理申出」で相手の一方的な離婚届の提出を阻止!」で取り上げています。
離婚の条件面について相手と合意でき、それを離婚協議書(公正証書)に残した。
そうなれば、いよいよ離婚届を提出する段階です。
ここからは離婚届の手続きに関することを取り上げます。
最初に離婚届の用紙の入手方法についてお伝えします。
離婚届の用紙は、市区役所・町村役場の戸籍を扱う担当窓口に備えてあります。
当該窓口が分からない場合は、総合窓口で聞けばすぐ分かります。
なお、役所の開庁の時間外でも所定の場所にいけば、離婚届は備えてありますので、土日祝日・夜間でも入手することができます。
自宅から役所が遠くて離婚届の用紙を取りに行くのが大変。
または離婚届を取得する為に、窓口の担当者にその旨を伝えるのは、少し抵抗がある、という方はダウンロードで入手可能です。
離婚届の用紙をダウンロード(札幌市のHPより)
自治体によっては、ダウンロードした離婚届の用紙の使用を認めないことがあるので、事前に確認することが必要です。
また離婚届のサイズをA3に限定している自治体が多いので、A3でプリントアウトしましょう。
とはいえ、一般家庭のプリンターの多くはA3サイズには対応できません。
よって、とりあえずA4サイズでプリントアウトしたものを、コンビニのプリンターでA3サイズに拡大コピーする方法。
またはダウンロードしたデータをUSBメモリなどに移し、それをコンビニのプリンターに接続しプリントアウトする方法等があります。
次は離婚届の書き方についてですが、氏名や住所などの基本的なことを書く欄が多いので、それほど難しくはありません。
離婚届の記載例なども多くの自治体がホームページで載せています。(札幌市の記載例はこちら)
この様な記載例を見れば大方のことは分かると思いますが、分かりにくい点や注意点などのポイントを補足してお伝えします。
離婚届の署名押印欄は、当然、代署は認められず、自分自身でしなければなりません。
夫婦の一方が他方の配偶者の知らぬ間に、勝手に氏名を代署する行為は、刑法上の「私文書偽造罪」になります。
またそのような届出をした場合は、「公正証書原本不実記載罪」にもなります。
離婚する前の本籍地を書くことになりますが、誤記入しない為にも予め戸籍謄本を入手し、それを見て書くことです。
戸籍謄本の記載通りにそのまま離婚届に写せば、不備になることはありません。
加えて、同じ欄にある筆頭者の名前も同様です。
ここでの注意点は「父母との続き柄の欄」です。
「長男・長女」という書き方は問題ありませんが、「次男・次女」の場合は「二男・二女」と書きます。
それ以降は「三男・三女」「四男・四女」というように、該当する数字を記入しましょう。
それが関連するのは「婚姻前の氏にもどる者の本籍」の欄です。
こ婚姻前の戸籍と氏(姓)に戻る場合は、「妻or夫」と「もとの戸籍にもどる」にチェックをし、結婚前の本籍、及び戸籍の筆頭者の氏名を書きます。
婚姻前の氏で新しく戸籍をつくる場合は、「妻or夫」と「新しい戸籍をつくる」にチェックをし、新しい本籍地、及び旧姓の氏名を書きます。
なお、離婚後も婚姻時の氏を使いたい場合は「離婚の際に称していた氏を称する届」の提出が必要です。
※ 詳しくは「離婚した母親の戸籍に子供を入れる方法をお教えします」で取り上げています。
協議離婚のときのみ二人の証人が必要となります。
親や兄弟、友人など、成人であれば誰でもよく、また、夫側、妻側のどちらでも構いません。
また証人として署名・押印しても、証人は何ら一切の義務や責任を負うことはありません。
証人になってもらう人がいない場合は、離婚届の証人になるサービスを提供している業者があるので、それを利用するのも一つの方法です。
20歳未満の子供がいる場合、親権者が書かれていないと離婚届は受理されません。
「未成年の子の氏名」の欄で夫・妻のどちらが子供の親権者になるかを決めて書きます。
ここでのNGは仮の親権者を決めることです。
どちらが親権者になるかで争っているが、早く離婚を成立させたいばかりに、仮の親権者を決めて離婚して、その後に決めるという流れです。
仮であろうが、いったん親権者を決めてしまえば、その後に変更させる為には、裁判所の手続きが必要となります。
また裁判所は安易な親権者の変更は認めませんので、この様な親権者の決め方は避けましょう。
離婚届に必要事項を記載し、夫婦が自筆で署名・押印し、成年の証人2名に署名・押印してもらえば、実際に離婚の手続きとなります。
離婚届の提出先は「届出人の本籍地又は所在地の市役所、区役所(出張所も可)又は町村役場」です。
所在地とは、住民票のある住所地、または旅行などでの一時的な滞在地でも問題ありません。
また本籍地以外の役所に提出する場合は、発行から3ヵ月以内の「戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)」の添付が必要です。
なお戸籍謄本は、夫婦の戸籍がある「本籍地の役所」でしか取得できません。(郵送請求は可能)
離婚届の受付窓口は戸籍を扱う部署となります。
具体的には次のような名称の部署が担当。
呼び方は各自治体によって変わりますので、もし分からない場合は総合案内所で聞けば分かります。
受付時間に関しても各自治体によっても変わりますが、平日の「9時~17時」の時間帯なら問題ないでしょう。
また離婚届が受理されるまでの所要時間ですが、千葉県市原市の場合は繁忙期や複雑な処理を伴うものは除き、30分程度としています。
離婚届は休日や夜間などの時間外でも24時間、いつでも受付しています。
宿直室、休日・夜間窓口などで提出することができます。
受付はしてもらえますが、離婚届の審査までは行われないので、もし不備があった場合は通常の受付時間にもう一度出向く必要があります。
離婚届の提出は夫婦で行ってもいいですが、心境的には当然ながら一緒に行きたいとは思いませんよね。
もちろん夫婦のいずれか1人でも構いませんし、どちらもいけない場合は代理の人に提出をお願いすることが可能です。
しかし、あくまで代理の人は提出のみしかできないので、不備があれば代理の人は修正ができないこと注意が必要です。
なお代理の人で提出した場合、後日に受理通知が夫婦双方に郵送されるので、離婚届が正式に受理されたか否かの確認ができます。
離婚届は郵送でも提出することができます。
郵送することで、役所まで行く手間が不要になりますし、役所で知り合いにばったり会うといったこともありません。
ただし、離婚届に不備があれば役所に出向く必要があります。
また本籍地以外の役所に郵送した場合は、処理が完了するまでに1~2週間ほど必要ですので、急ぐ場合は本籍地の役所の方がいいでしょう。
最後に、離婚届と一緒に出さなければならない必要書類と、提出期限についてお伝えします
また調停離婚や判決離婚の場合は次の書類も必要です
協議離婚以外の離婚方法には提出期限があり、提出期間を過ぎると3万円以下の過料に課せられることがあります。
今回は離婚届を出すタイミングにいて取り上げました。
離婚届は離婚協議書(公正証書)の作成が終わってから提出することです。
早く相手と離婚したい気持ちは理解できますが、取り返しのつかない事態にならない為には守るべきルールです。
また離婚届の提出の手続き方法やポイントなどもお伝えしました。
スムーズに離婚届が受理されることに繋がれば幸いです。
それでは最後までご覧頂きましてありがとうございました。
まいみらいがお伝えしました。(私の離婚経緯などを載せたプロフィールはこちら)
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