離婚を専門に扱う某法務事務所に勤める1児のシングルマザーが、離婚に関する役立つ知識を発信します。
夫または妻から、離婚したいとの申し出をされてしまった。確かに、最近は夫婦仲があまり良くなかったけど、それでも一瞬たりとも離婚は考えたことはなかった。
突然に離婚危機が生じたが、何としてでも離婚危機を回避したい、家族を失いたくない…。でも頭が真っ白で何をどうすればいいか分からず、死にたいほど悩んでいる。
離婚危機のときの対応を1つ間違えれば、取り返しのつかない事態となる恐れがあります。
ここでは離婚危機を迎えたとき、どのようにすれば離婚危機を乗り越えられ、夫婦間が修復できるかを解説。本記事を見ることで離婚危機を回避できる可能性が高まります。
目次
最初に、離婚したほうがよい場合をお伝えします。離婚危機を乗り越えることが逆に、あなたや子供が不幸になる可能性が高い場合です。離婚に応じたほうがいい場合は次のような相手です。
このような相手なら、夫婦を続けていてもトラブル続きで精神的に追いつめられ、苦しいだけの人生です。子供の人格形成にも大きな悪影響が懸念されます。
離婚して人生を再スタートさせる方が、あなたや子供にとっていいです。相手からの離婚の申し出に応じましょう。
※ 離婚の進めかたは「適切な離婚の進め方で理想的な離婚を実現!【7つのポイントを解説】」で取り上げています。
本題の離婚危機の回避についてお伝えします。
いきなり離婚危機が生じれば、困惑するのは当然です。一方、離婚を求める側の配偶者も同様に、冷静な心境ではなく感情や緊張感が高まっています。
通常の精神状態ではない二人が、お互いの感情をストレートにぶつけ合うと適切な対応は到底できません。夫婦関係を修復はおろか、離婚に向けてますますアクセルを踏むことになります。
何よりも大事なのは冷静さを保つ、配偶者の言葉に我を忘れないことです。
もし感情的な言動をしてしまったと感じたなら、すぐにその場から離れて、深呼吸などをして落ち着きを取り戻してください。これが離婚危機を回避させるための基本的な対応です。
しかし基本的な対応を守るだけでは、離婚危機は回避できません。
プラスして、なぜ離婚危機に陥っているのか? について、情報収集を徹底することが必要となります。
このことは後ほど詳しく取り上げます。
離婚危機に陥っている原因に身に覚えはありますか? 原因によっては、こちらがどれだけ頑張ろうとも、裁判で強制的に離婚になる場合もあります。
民法により、一定の理由があるときには、裁判の判決により離婚できるからです。この一定の理由を「法定離婚事由」といいます。
民法770条1項で定められている「法定離婚事由」は次の通りです。
これらを簡略して換言すれば次のとおりです。
2 ⇒ 理由なく一緒に暮らさない、生活費を一切渡さない
3 ⇒ 三年以上の失踪(生死も不明)
4 ⇒ ひどい精神病
5 ⇒ DV・モラハラなど
もし、このような言動が自身にある場合、裁判になれば離婚を避けられない可能性があります。
さっそく自身に、このような過ちがなかったかを思い返してみることです。
1~4の事由に該当しなくても、長期にわたる別居を経た上での離婚裁判だとしたら、離婚判決がでる可能性はあります。婚姻関係はすでに破綻状態だと判断されるからです。
※ 法定離婚事由についての詳細は「離婚裁判で離婚判決を得る為に必要な5つの離婚原因を知っておこう」で取り上げています。
法定離婚事由に該当しなければ、離婚を拒否し続ければ問題がないと思うかもしれません。しかし、まだ離婚が成立する可能性があります。
離婚したい相手が無断で離婚届を作成して提出した場合です。
もし役所がこのような離婚届を受理した場合、非常に困った事態になります。受理されれば戸籍に離婚した内容が書きこまれ、法律上の夫婦は解消されます。つまり離婚が成立するのです。
いくら勝手に提出された離婚届とは言っても、離婚の成立を無効にするには裁判所の手続きが必要です。これには多くの労力や時間、お金を費やさなければなりません。
勝手な離婚を強行される事態を防ぐには、離婚届の【不受理申出制度】を利用しましょう。
本籍地などの役所の窓口に不受理申出書を提出しておくと、相手が知らぬ間に離婚届を提出しても受理されません。
不受理申出をするのに費用はかかりません。無断で離婚届を提出される恐れが少しでもあるなら、不受理申出書を必ず提出するべきです。
※ 不受理申出制度の詳細は「「離婚届不受理申出」で相手の一方的な離婚届の提出を阻止!」で取り上げています。
離婚を回避させようと次のような言動をとることは、離婚危機をさらに高めているだけの行為ですので、絶対に避けましょう。
この4つは離婚回避に良かれと思い、よくやりがちですが逆効果。それでは個別に見ていきましょう。
相手がこちらに離婚を求めたとき、次のような押し問答が繰り広げられることが多くあります。
「離婚なんて絶対しないから」
このような場合、相手から「お互いを冷静に見つめ直すために、一度別々に暮らそう」と別居を提言してくるケースがあります。
提言された側の多くは別居を受け入れます。「相手が1人になり冷静に家族のことを考えてくれれば、離婚を思い止まるかもしれない」と思うからです。
しかし、別居してしまうと、離婚する確率が極めて高まります。
実際、別居後1年以内に80%以上もの夫婦が離婚しています。(厚生労働省:別居期間別にみた離婚より)
別々に暮らすことで、夫婦関係を修復するために欠かせない、話し合いをする機会がめっきり減るからです。
私自身も含め実際に別居した夫婦の多くは、最終的にはそのまま離婚という結末を迎えています。離婚危機の回避を望むなら、別居は絶対にやめるべきです。
どれだけ身勝手かつ、離婚の原因が明確に相手側にあるとしても、離婚を回避したいのなら、相手を一方的に否定してはいけません。
例えば、不倫した側から離婚したいと言われたとき、次の2つの回答の仕方では相手の受け取りかたは大きく違ってきます。
② 「あなたが不倫したのも、私があなたのことを疎かにしていたからだと思う」
① のように相手を完全否定しても、さらなる反発を生むだけです。
一方の②のように、むしろ自身にも非があるような姿勢を見せると、相手に自責の念を感じさせることが可能です。その結果、相手が自身の身勝手さを反省し、離婚を考え直すこともあります。
伝え方ひとつで相手の考えは大きく変わることがあるので、「相手にこう言えば、どう思うか?」を意識して行動するといいでしょう。
相手に離婚を思い止めさせるために、自分や相手側の両親に相談し、その両親から離婚を考え直すように説得してもらうのは逆効果。そのようなことをしても、相手の反感を買うだけです。
相手の両親は基本的に自身の子供の味方です。逆にそっちの方こそ悪いから離婚は当然である、と相手側を擁護する恐れもあります。
ただし、自身の両親のことが離婚危機の原因であるなら、両親に相談して対処を考えるのは当然です。
離婚による子供の影響を考えれば、離婚を避けたいと思うのは当然です。そこで、次のような理由で離婚をしたくないと相手に伝える方は多くいます。
これらのように子供を理由にしても、相手の離婚したい気持ちは残念ながら変わりません。
仮に子供を理由に離婚回避ができても、別居あるいは家庭内別居となる可能性が高いです。子供が異様な家庭環境で過ごすことは、人格形成の上で悪影響になるのは間違いありません。
結局、相手の離婚したい気持ちを変えなければ、根本的な問題解決にはならないのです。
相手から離婚を求められたら、その理由を知りたいと大抵の方は思うでしょう。理由なき離婚はありえないからです。
相手が不倫相手に夢中になっているのを知っている場合は、離婚したい理由を把握するのが簡単です。
有責配偶者なのに裁判で離婚を求めるのは稀ですが、不倫の証拠があれば高確率で離婚を回避できます。
話を戻しますが、相手の離婚したい理由が分かる場合もあれば、まったく見当がつかないことも多くあります。
相手の離婚したい理由がまったく見当をつかない、またはハッキリと分からないときは、その理由を調べるしかありません。そこで直接相手に理由を聞くことが当然に考えられます。
しかし相手は、離婚したい理由はそっちのけで、受け入れ難い主張ばかりしてくる可能性が大です。受け入れ難い主張とは次の通りです。
このように傷つく暴言を吐かれる可能性が大いにあります。
暴言を吐く理由は、「もう離婚を回避させるのは無理だ…」と諦めさせ、離婚に早く応じさせたいからです。
加えて、相手が素直に離婚したい理由を伝えるリスクも考慮しています。「指摘された点を改善するから、離婚を考え直してくれ」などと言われるのを避けたいからです。
だから攻撃的な言動ばかりしてきます。しかし、ここで修復を諦めてしまえばお終いですので、ここは我慢して冷静に受け止める他ありません。
とにかく最初は攻撃的な言葉しか投げかけられませんが、何度も話し合いを持つことで、相手の離婚したい理由が見えてきます。
例えば「なぜ俺と一緒にいると息が詰まるか教えてほしい」と聞くと、相手から具合的な理由が聞き出せるかもしれません。それが離婚したい理由の一部だったりするのです。
このように、相手がこちらに不満を感じていることを、どんどん聞き出す必要があります。
不満を聞き出すことで、こちらにある非がある言動を改善できます。
嫌な部分が改善された姿を見た相手は、「今の夫(妻)なら一緒にやっていけるかもしれない」と感じ、少しずつ心を開き始めるのです。結果、夫婦間の再構築がうまくいき離婚危機を乗り越えられます。
離婚危機に立たされている方の多くは、とにかく相手の離婚したい理由のリサーチが不十分です。それをやらずに占いに頼るかたもいますが、肝心なことから逃げていても効果はありません。
兎にも角にも相手の離婚したい理由が把握できないと、夫婦の復縁はおろか、離婚危機を脱するのは無理です。
離婚したい理由を探るなかで、相手の言動で憤慨したり、悲しさでやるせなくなることもあるでしょう。しかし冒頭でもお伝えした通り、感情的にならず冷静に受けとめてください。
反発する相手に対して、根気よく話し合いを続けて相手の離婚したい理由を探り、理由を分かれば直ちに改善する。
これを続ければ相手の態度は軟化します。そのときまで諦めずに相手と話し合いを続けることです。
相手が離婚を求めている理由を確認しようにも、話し合いに全く応じない。
あるいは別居中で、こちらからの連絡の一切を無視する、といったケースがあります。
相手が話し合いを拒絶している場合は、家庭裁判所で行う【夫婦円満調停】を利用するの、離婚危機を脱出するための1つの方法です。
調停手続きは、離婚を目的だけに利用できる思われがちですが、夫婦間の修復目的でもできます。
離婚危機を脱出し、夫婦関係の修復を目的とする円満調停は、どのようにして行われるかをお伝えします。円満調停は家庭裁判所内の調停室で行われます。
中立的な立場である50~60代の男女1名ずつの「調停委員」と呼ばれる人を介して、夫婦関係の修復のための話合いをします。調停委員は最初に夫婦間が悪化した原因を、夫、妻の双方から聞きとります。
聞き取りした内容を元に、その原因を解決するにはどうすればいいかを、調停委員の助言も考慮して夫婦で模索していきます。
夫婦間が悪化した原因を解消する方法としては、もう一度円満な婚姻生活をおくるためには何をすべきか。それについて夫婦の間で約束事を取り決めるのです。
例えば、「姑に子供の教育方針について口出しをさせないと」「過度な飲酒は慎むこと」といった内容です。
以上のように、夫婦間を悪化させた原因を突き止め、それを解決させるための対策を講じる。この過程にて離婚危機を回避し、円満な婚姻生活に戻れるようにするのが円満調停です。
円満調停を申し立てたものの、相手が円満調停の場にこない、または調停が不成立となった。この事態となると夫婦関係の修復ができる可能性が極めて低くなります。
円満調停は最後の手段です。
やむを得ない事情がない限り、最初は必ず夫婦で話し合いをすべきです。調停委員を介して伝えるより、直接自分で伝える方が自身の考えなどが相手に伝わり易いはず。
そもそも、ろくに話合いをせずに、いきなり調停をしても相手の反発を買うので逆効果となります。
何度も話し合いを持ちかけたが応じない、または話し合いを重ねてきたが問題解決に至らなかった。もはや進展がまったく見込めない状況になってから、円満調停を申し立てることです。
※ 円満調停の詳細は「円満調停は夫婦関係修復の最終手段」で取り上げています。(私が別に運営するブログに移ります)
今回は離婚危機を迎えたとき、どうすれば離婚危機を乗り越えられ、そして夫婦間が修復できるかをお伝えしました。
色々お伝えしましたが、離婚危機を回避させ、夫婦間を修復させるには、やはり夫婦で話し合いを重ねるのがもっとも大事です。話し合いなしでは、相手の離婚したい理由が分からないので、離婚回避させるための対策や行動を何も起こせません。
離婚したい相手に対し、話し合いを重ねるのはそう簡単ではありませんが、諦めれば離婚になります。諦めずに話し合いを続けて相手の心を取り戻しましょう。
それでは最後までご覧いただきありがとうございました。まいみらいがお伝えしました。(私の離婚経緯などを載せたプロフィールはこちら)
離婚危機を迎えるほどに悪くなった夫婦関係を変えるには、相手次第だと思いがちですが実際はそうではありません。
自分自身の行動次第で夫や妻の考えを変えることができます。そのことについて詳しく取り上げています。
離婚危機を迎えている、夫婦関係の修復の仕方で悩んでいる方は下のリンクからご覧ください。↓
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