離婚を専門に扱う某法務事務所に勤める1児のシングルマザーが、離婚に関する役立つ知識を発信します。
こんにちは、まいみらいです。
相手配偶者から暴力を振われたり、深く傷つく言葉を投げかけられる日々がずっと続いている。
このような暴力を受ける辛い日々から解放されたいのはもちろん、こんな相手とは一刻も早く離婚したい。
でも、下手に動くと相手からの暴力は更に酷くなるかもしれないし、そもそも何をすればいいか分からない・・・
近年、このような身体暴力や精神的暴力などのDV被害で悩んでいる方は多くなっています。
私も元夫に1度だけ暴力を受けた時は、恐怖感とショックから過呼吸になりかけたほどです。
ですので、相手からの暴力が常態化されている方の精神的苦痛は、計りかねない程のものだと思います。
今回は夫婦間の暴力問題の概要と共に、相手配偶者からの暴力から逃れ、無事に離婚するにはどうすべきかについて主に取り上げます。
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夫婦の間であっても暴力は男女の人権を明らかに害する行為。
男女平等参画社会を実現化していく上で、解消しなければならない重要な課題です。
暴力とは身体的に振るう暴力だけが、対象だと思われる方もいるかもしれません。
しかし、それ以外にも言葉や経済面での制限などよるものも対象となります。
ですので、パートナーからされたことで強い拒否感などを感じたものは、暴力(DV)に該当する可能性があるのです。
暴力は大きくは次の5つの形態に分けられます。
では個別にお伝えします。
次のような、直接的に身体に加えられる物理的な行為は身体的暴力となります。
次のような、被害者にストレスがかかるようなことを繰り返し、精神的に追い込む行為は精神的暴力となります。
いわゆるモラハラといわれるものです。
※モラハラと離婚の詳細については「モラハラ夫と離婚し平穏な日常を取り戻す為の方法を徹底解説」で取り上げています。
次のような、性的に心身ともに被害を与える行為は性的暴力となります。
次のような、経済的に自由などを許さない行為は経済的暴力となります。
次のような、世間から被害者を隔離させる行為は社会隔離的暴力となります。
暴力を振るわれることで様々な悪影響を受けてしまいます。
切り傷や打撲によるあざ等の身体面に負傷することだけが被害ではありません。
ストレスによる不眠症や頭痛、鬱病などPTSDなどの心理的症状を患うことも多くあります。
また子供がいる家庭では、その子が父親から母親への暴力を目にしたり、子自身に暴力を振るわれることで子供の心身に悪影響を及ぼします。
悪影響の1つとして、そのような環境で育った子供は将来恋人や配偶者に対して同じように暴力を振るう傾向あるのです。
このような負の連鎖は絶対にあってはなりません。
また児童虐待防止法では、子供に強い心理的外傷を及ぼす言動は「児童虐待」だと明記されています。
夫からの暴力を受けている方が、経済的な面の不安で本当は離婚したいけどしないということを聞くことがあります。
しかし、お伝えした通り自身の生命の危機にさらされますし、何よりも子供が不幸です。
よって、私の考えではありますが、相手に暴力をやめるように何度も伝えても治らないなら離婚をすべきだと思います。
取り返しがつかない事態となれば後悔してもしきれません。
警察庁が公表している「配偶者からの暴力事案等への対応状況(平成30年)」を見ると、2018年度の暴力に関する相談数は「約7万7千人」です。
10年前と比べると、約3.1倍にも増えており、暴力被害は増え続ける一方です。
暴力被害者の男女の割合は「男性20.6%」「女性79.4%」です。
被害者と加害者の関係ですが、婚姻関係が「76.1%」となっています
以前は、暴力は男性から女性に対して行うことがほとんどでしたが、最近は男性の被害者も増え続けている傾向です。
警察が配偶者などに対する暴力を理由に、加害者を検挙した件数は「約9千件」です。
検挙された原因としては暴行と障害が多くを占めます。
少数ではありますが、殺人及び殺人未遂もあり、生命の危機に及ぶものもあります。
なお被害者は「20歳代・30歳代」が多く、加害者は「30歳代」が最も多くなっています。
暴力の原因は、社会的構造・個人的要因など色々取り上げられています。
しかし、安易に1つの原因だけで説明することはできません。
社会的構造の面で言われるのは、夫は次のような社会の中で、
いつの間にか、社会における男性・夫の有利性を利用するようになり、そのことが女性を軽蔑し、妻への暴力に繋がっている要因の1つとされています。
反面、女性の側を見るとひどい暴力を受けても、その状況から脱け出さないのか?
この点、金銭面で不安であるとか、子供を残して出ていくわけにはいかない、という現実的な事情があることが多いです。
またDV被害者は、感覚がマヒして、私が悪いのだという錯覚に陥り易いです。
その為、DVを容認してしまうところがあります。
暴力を振るう相手と離婚したいなら、協議離婚や調停離婚の段階であれば、相手が離婚に合意すれば離婚はできます。
しかし相手が離婚を拒否した場合は、裁判手続きにより離婚を求めることになります。
裁判で離婚が認められる為には、民法で定められた「法定離婚事由」に該当することが必要。
暴力は法定離婚事由となり、民法770条1項5号の「婚姻を継続し難い重大な事由」の1つの典型例ですので、離婚判決を得ることが可能です。
しかし、暴力を受けていることを被害者側が証拠を持って立証しなければなりません。
単純に暴力を受けたことを主張するだけでは、裁判所は離婚判決を出しません。
よって暴力の証拠集めが極めて重要なのです。
どういった物が暴力の証拠になるのかについては、後ほど詳し取り上げます。
もし暴力を振う相手が親権を争った場合はどうなるでしょうか。
ここでは多数派である暴力を振う側が夫、被害者側が妻という設定でお伝えします。
親権を夫が争った場合、子の福祉を考えて裁判所が父母どちらを親権者にすべきかを判断することになります。
裁判所がその判断をするにおいて、大きなポイントとなるのは以下のこと。
10歳未満の子供の親権は、母親にネグレクトや子供への虐待が無い場合は、裁判所は約90%の割合で母親を親権者に指定。
加えて、もし子供の面前で夫が妻に暴力を振っていた、または子供にも暴力を振っていたなら、裁判所は父親には親権者の適格性はないと判断します。
よって、暴力を振う夫が親権を争ってきても、母親が親権者になれないということは基本的にありません。
しかし例外は考えられます。
たとえば、妻は夫からの暴力から逃れる為に子供を置いて別居した。
別居後は夫が子供の世話を問題なく行っていたなら、その期間が長くなるほど子供はその環境に慣れていきます。
そうなると子供の環境を急激に変えることは子供の負担になると判断され、父親が親権者に指定される可能性もあります。
この記事をご覧頂いている方がもしこの状態ならば、一刻も早く監護者指定の審判申し立てなどの手続きをする必要があります。
※監護者指定の審判などの詳細は「連れ去り別居された子供を取り戻す!適切な方法を解説【親権確保】」で取り上げています。
相手の暴力で肉体的・精神的被害にあった場合は、離婚時に慰謝料を請求することができます。
身体的暴力に限らず言葉による精神的な暴力、つまりモラハラの場合でも程度によっては慰謝料の請求が可能です。
身体的暴力の慰謝料の相場は「200万~300万」。
精神的暴力(モラハラ)の慰謝料の相場は「100万前後」です。
慰謝料の金額は法律では定めておらず、夫婦間の話し合いより自由に決めることが可能です。
とはいえ、暴力を常に振るうような相手と、話し合いで慰謝料の金額を決めることは困難でしょう。
場合によっては、更なる暴力を振るわれる危険があります。
よって、弁護士や裁判所を通しての請求が一般的に考えられます。
なお、相手の暴力を受けたことと養育費の関連性はありません。
暴力による慰謝料は次のような要素により、その金額が増加される傾向にあります。
なお裁判上の離婚請求と同様、慰謝料を請求するには暴力についての証拠が必要となります。
暴力を理由に裁判手続きにて離婚を求めたり、慰謝料を請求するには暴力の証拠が必要だとお伝えしました。
ここからは、どういった物が暴力の証拠になるのかを取り上げます。
主には次のような物が暴力の証拠となります。
それでは個別に見ていきましょう。
相手の暴力によりケガをしたなら、程度に関係なく医師の受診を受け診断書をとりましょう。
「配偶者による暴力の被害者だと知られたくない」といった理由から、ケガをしても病院に行かない方がいます。
気持ちは分かりますが、早く暴力から逃れたいのなら病院に行くべきです。
たとえ些細なケガであっても必ず医師の診察を受けましょう。
診断書は有力な証拠となります。
なおモラハラなどの精神的暴力の場合は、身体的暴力と比べ被害が分かりにくいものです。
しかし、相手から言葉などの暴力で多大なる精神的苦痛を負っているには違いはありません。
ですので専門医である心療内科等にて受診を受け、診断書をとるようにしてください
身体的暴力を受けたことにより、できた体の負傷部分を写真に撮っておきます。
日付も入るようにしましょう。
その他には暴力後の散乱した部屋の様子なども、写真に撮って保存しましょう。
つまり、暴力に関係するものは些細なものでも、残らず全てを撮っておくことです。
また、できる限り写真はデジタルでなくフイルム写真が望ましいです。
デジタルは編集可能ですから、フイルム写真より証拠力が劣るからです。
暴力を振るわれた際は、ノートなどに次の内容などを全て記録しておきましょう。
レコーダーで暴力を振るわれた際の様子(叩かれる音や暴言、嫌みなど)を録音しておきましょう。
できる限りレコーダーは、ICでなくテープレコーダーの方が望ましいです。
デジタル写真と同様、編集が可能だからです。
手紙やメールに脅迫や人格を否定するような言葉を入れている場合、この手紙等はDVの証拠となります。
最近では、手紙よりもメール及びLINEによる加害行為が多くなっています。
消去せずに保存しておきましょう。
繰り返しなりますが、暴力を理由に裁判手続きにて離婚や慰謝料を求めるには、証拠が必要となります。
しかし証拠を集めていることが、相手に気づかれると危険です。
ですので、相手に見つかるリスクが高いことはやめるべきです。
たとえば、レコーダーで相手の声などを拾い易くさせようとして、少し注意すれば分かるような場所に置くといった事は避けましょう。
また身の危険を感じたときは一早く逃げてください。
証拠集めと言っている場合ではありません。
自分の身の安全確保を第一にしてください。
配偶者からの暴力被害を受けている方は、プライベート的な問題であるので誰にも相談できずに1人で苦しんでいることも少なくありません。
しかし、1人で苦しんでいてもその状況は続きます。
暴力から身を守る・逃れる為には専門機関等に相談することです。
その専門機関等は次の通り。
それでは個別に見ていきます。
各都道府県にある配偶者暴力相談支援センターでは、DV被害に対する以下の業務を主に行っています。
DVを専門にした相談員による電話等での相談業務の実施。
被害者に危険が差し迫っていると考えられる際に、入所施設との調整などDV被害者の安全確保(一時保護)に関する業務の実施。
対象は当該被害者だけでなく同伴家族も含まれます。
裁判所への保護命令の申立て、及び法制度の利用に関したサポート業務の実施。
保護命令については、後で詳しく取り上げます。
以前は夫婦のトラブルは「民事不介入」を理由に、警察が対応しないケースが多くありました。
しかし今では、ちょっとしたトラブルでも、近年の悲惨な事件の数々への反省より、しっかりとした対応がされています。
警察では相談があったDV事案に対して、配偶者暴力相談支援センターなどの関係機関と連携しながら、被害者の考えをしっかりと踏まえた上で次のようなことを行います。
相談先は最寄りの警察署の生活安全課などです。
シェルターとは、DV被害者が緊急時に避難できる、NGOによって運営される民間施設のことです。
シェルターの性質上、当該施設の住所などを始めとする情報が非公開となっていることが多いです。
よって、シェルターに関する情報は配偶者暴力相談支援センターなどで確認しましょう
相手に離婚を切り出すと激高し、より暴力を振るったり徹底的に精神虐待するなど、DVが酷くなる傾向です。
よって、離婚を決意したなら別居をするべきです。
別居することは暴力の解決及び離婚する為には必須。
注意点としては、必ず子供は一緒に連れていくこと。
そして当然ながら、相手に知られないように別居準備しないといけませんし、別居先を知らせてもいけません。
なぜなら相手が別居先に来て、暴力などを振るった挙句、連れ戻される可能性が大いにあるからです。
ですので、別居先として予想しそうな実家や共通の知人の家などは避けるべきです。
また子供を置いて別居すると子供が暴力を受ける可能性もありますし、現状維持の原則から親権を取れないという事態にもなりかねません。
なお、別居に関しては、別居準備などについて取り上げた「離婚を視野に別居を考えている方が失敗しない為に知っておくべきこと」もご確認ください。
別居が無事に完了すれば、DV防止法に基づく「保護命令」の申し立てを検討しましょう.
保護命令とは、裁判所から加害者に対して接触の禁止などを発令するものです。
具体的には次の5つの内容となります。
加害者がこれらの命令に違反すれば、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が加害者に科せられます。
このことが加害者に対する抑止力となります。
原則、保護命令の申立は警察等での事前相談が必要です。
なお、別居状態でなくても保護命令の申し立てを行うことはできます。
通常なら二人の話し合い(離婚協議)により、離婚そのものや離婚条件を決めることになります。
しかし暴力のケースは前述した通り、離婚を切り出すことで更に相手からの暴力が酷くなる可能性が高いです。
加えて、配偶者などに暴力を振うような人間を相手に、慰謝料などの金銭的な取り決めをすることは困難と言わざるを得ません。
これらの理由から協議離婚を目指すのは現実的ではありません。
よって、弁護士を通して離婚や慰謝料などを請求する。
または「離婚調停」を申し立て、第三者を挟んだ上で離婚を目指すことになります。
離婚調停を簡単にいえば、家庭裁判所内の中立的な第三者が、当事者の間に入って行われる非公開の話合いです。
具体的には裁判官1名と、男女1名ずつ計2名から成る調停委員会が当事者間に入って、両方の言い分などをヒアリングします。
それをベースに調停委員は当事者に助言したり、調整案を提示したりして合意点を探ります。
離婚そのものや離婚条件などにお互いが合意すれば、調停離婚が成立します。
離婚調停は、基本的に調停の場に夫婦が同席することはありませんし、待合室も夫婦別々です。
暴力を受けている被害者からすれば、離婚調停を申し立てることにより、相手に住所が知られてしまうのではないか?
また待合室などが別々といっても、裁判所の前で待ち伏せされたり、トイレ等に行く途中に遭遇してしまい、暴力などを振るわれるのではないか?
当然、このような不安が出てくるでしょう。
この場合は、事前に家庭裁判所内にある家事相談室などへ相談しましょう。
できる限りの対応をしてもらえます。
たとえば、相手に住所を知られたくない場合は「上申書」を申立書と一緒に提出すれば、住所を秘密することが可能です。
また相手と会いたくないなら、調停の日を相手と別々の日にしてほしいと裁判所に申し出ると、対応してもらえる可能性があります。
相談することにより上記のようなことを教えてもらえたり、対応法を考えてもらうことが可能です。
今回は相手配偶者の暴力から逃れ、離婚をする為にはどうすべきかについて主に取り上げました。
DVが社会問題化されてから、現在さまざまな保護手段が設けられています。
暴力を振るわれた場合は、今回お伝えした機関に一早く相談した上で、利用可能な保護手段を用いて身の安全を第一にして離婚を目指すことです。
平穏な日常が早く来るように心から願っています。
それでは長くなりましたが、最後までご覧頂きありがとうございました。
まいみらいがお伝えしました。(私の離婚経緯などを載せたプロフィールはこちら)
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