離婚を専門に扱う某法務事務所に勤める1児のシングルマザーが、離婚に関する役立つ知識を発信します。
こんにちは、まいみらいです。
養育費の未払いがずっと続いている。
元夫には何度も催促しているが、余裕がないという理由で全く応じてもらえない。
この状態が続くようであれば、子供の進学の機会を奪いかねない・・・
でも、養育費の支払いを拒否する相手に、どうすれば支払いに応じさせることができるか分からない・・・
このような苦悩を抱えるシングルマザーの方は、残念ながら多数おられます。
そこで今回は、未払いが続く養育費に対して、どのように請求すれば、相手に払わすことができるのかについて取り上げます。
加えて、現在の養育費の未払い率についてもお伝えしています。
養育費の未払いが、社会問題として取り上げられ続けられて長いですが、ようやく国も対策の強化に動きだしました。
そのことも踏まえてお伝えします。
目次
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私も養育費を元夫から、離婚後5年以上に渡り受け取っていますが、私のような家庭ははっきり言って少数派です。
世の多くのシングルマザーは、相手から養育費を受け取れていません。
多くのパターンは、最初こそ継続的な支払いがあっても途中で支払いが遅れ始め、最終的には途切れるというものです。
それでは実際に養育費の未払い率を平成28年度の厚生労働省の「全国ひとり親世帯等調査結果報告」よりお伝えします。
前提に、母親が親権者となったケースで養育費の取り決めを行った割合は、「42.9%」です。
このうち養育費の取り決めを文章で残した方が「73.3%」、口約束で済ませている方が「26.3%」となります。
そもそも養育費の取り決め事体をしていない方が半数以上ですが、多すぎるというのが率直な感想ですね。
相手が全く働かないから養育費を期待できない、といった事情がある場合は別として簡単に諦めすぎかな。
養育費をもらえずに不利益を受けるのは子供ですし、養育費の支払いは親の義務ですから、やっぱり請求すべきです。
話を戻しまして、養育費を取り決めた42.9%の方のその後の受け取り状況は次の通り。
過去に受け取ったことがある・・・15.5%
一度も受け取ったことがない・・・56.0%
つまり、養育費が未払いになる率は「71.5%」ということになります。
養育費は「生活保持義務」とされていて、お互いに同程度の生活レベルを確保しなければならない、という義務です。
そう謳われながら、現実は未払い率71.5%という散々たる状況。
この未払い率の高さと、シングルマザー家庭の貧困が社会問題化されていることで、ようやく対策がとられ始めました。
その1つが養育費の未払いを続ける相手に、刑事罰を科せられることが可能になる場合ができたことです。
これは改正民事執行法が法改正されたことにより、令和2年4月から可能となりました。
とはいえ、養育費の不払いを続ける相手に対し、直ちに刑事罰を科せることができるわけではありません。
刑事罰になる対象は、財産開示手続きに応じない、または虚偽の回答をした者となります。
処罰が課されるまでの簡単な流れをお伝えすると、
⇒強制執行によって養育費の回収を決行。
⇒強制執行したいが相手の財産が不明
⇒裁判所に財産開示手続きを申し立てる
⇒相手が財産開示手続きに応じない、嘘の報告
⇒6か月以上の懲役または50万円以下の罰金
以前から、財産開示手続きに応じない等の者に対する罰則はありましたが、30万円以下の「過料」(行政罰の一種)でした。
財産の開示を拒んでも前科はつかず、お金をとられるにしても最大30万円である。
その為、強制執行で財産の差し押さえをされるくらいなら、財産開示を拒むほうがいい、と考え応じないことも可能でした。
今回の法改正により、養育費の義務者が裁判所の財産開示に適切に応じないと、刑事罰に科せられ前科がついてしまう為、開示率が高まることが期待できます。
加えて、裁判所の調査権限も広げられ、給与債権や預貯金口座などに関して、以前と比べ容易に情報が得られやすなりました。
つまり、養育費の支払い義務者が虚偽の回答をしても、見破ることができる仕組みができたということです。
以上のことが可能になったことから、養育費の未払い率は多少なりとも下がるのではないかと予測できますね。
これをご覧頂いている方の中には、裁判所に財産開示手続きをを早速行いたいと考えられるかもしれません。
しかし、この手続きは強制執行が前提することになります。
よって、養育費の取り決めを“強制執行認諾約款”を付した公正証書に残している。
または「調停調書」、「判決書」など裁判所が作成した書類に残していることが必要です。
つまり、それ以外の私文書で養育費を取り決めていても、財産開示手続きを申し立てることはできないことに注意が必要です。
ですので、養育費の取り決めは強制執行が可能となる書類に残すことが、凄く重要になってきます。
なお、強制執行が可能な書類を残している方は、以前と比べ強制執行しやすい状況になりましたので、未払い養育費を回収しやすくなりました。
※公正証書の詳細は「離婚協議書を公正証書にすることで効力は絶大となります」で取り上げています。
次に未払いとなっている養育費を請求し、回収するまでの手段をお伝えします。
まずは離婚時に、養育費の取り決めをどのように残したのかで対応法も変わってきますが、そのケース的には次の4つとなります。
それでは個別に請求方法などをお伝えします。
養育費の取り決めを口約束にした場合、ハッキリ言って証拠がありません。
ですので、「あの時は月に4万円支払うって約束したじゃない!」と言っても、「養育費を払う約束はしていない。証拠はあるのか?」
このように相手にされないことがほとんどだと思います。
とはいえ、もしかすると未払いの請求をすることで、応じる可能性が全くないとは言えません。
ダメ元でも一度請求してみるべきです。
請求方法とすればLINEやメール、内容証明が挙げられます。
内容証明とは、手紙の一種で「いつ、誰が、誰に対して、どんな内容」を出したかを証明してくれるものです。
請求した結果、もし支払いに応じたのであれば、必ずその旨と今後の養育費について公正証書に残すことです。
相手が支払いを拒否した場合は、「養育費請求調停」を家庭裁判所に申し立てます。
養育費請求調停とは、調停委員という中立的第三者を挟んで、当事者が養育費の分担について話し合い、合意を目指す場です。
調停で相手が未払い分の養育費を払うことに応じたなら、回収することができます。
しかし、相手が拒否した場合は養育費を回収することはできずに、今後の養育費をどうするかについて話し合いを行います。
ここで養育費について合意できたのなら、未払い時には強制執行が可能な調停調書が作成されて、調停は成立する流れです。
養育費を公正証書ではない離婚協議書などの私文書で取り決めた場合についても、まずはLINEや内容証明などで請求します。
もし、支払いを拒否した場合は口約束のときと同じように、家庭裁判所に「養育費請求調停」を申し立てます。
話し合いをした結果、相手が未払い分の養育費を払うことに応じれば、回収することができます。
しかし、拒否した場合は審判に移行し、家庭裁判所が養育費について決定します。
その審判が不服であれば、異議申し立てをすることができます。
養育費の取り決めを公正証書に残した場合は、今までお伝えした請求方法に加えて、強制執行での一括請求も可能となります。
改めて強制執行とは何かといえば、裁判所の力で相手の財産を差し押さえ、そこから不払い分の養育費の回収を可能にするものです。
差し押さえ対象となる財産としては、給与や預貯金、不動産などとなります。
多くは給与からの差押えですが、養育費は基本的に給与の2分の1まで差押えできます。
そして一度強制執行すれば、将来の養育費も継続的に差押えが可能となります。
なお給与の差押えは、義務者の勤め先に通知されることになります。
ですので、未払い発生時点で、内容証明などで給与を差し押さえる旨を通知すれば、支払いに応じることも多くあります。
養育費の取り決めを調停調書、審判書、判決書などの裁判所の書類に残した場合は、当然ながら強制執行できます。
それに加えて、「履行勧告」と「履行命令」も可能となります。
履行勧告とは、簡潔にお伝えすると、権利者が裁判所に申し出することにより、裁判所が義務者に対して「養育費を払いなさい」等と勧告してくれるものです。
費用は掛かりません。
履行命令は、履行勧告より段階を上げたもので「〇〇日までに養育費を支払え」と裁判所が義務者に命令します。
この命令に対して正当な理由なく拒否した場合は、10万円以下の過料に処することも可能。
2つとも裁判所が関与しているので、支払いに応じることもあり、効果がある言えます。
強制執行は費用や手間が掛かりますし、最初から踏み切るのは少し乱暴な感じがあります。
よって、最初は内容証明や離婚勧告などで請求してから、それでも応じない場合、強制執行の手続きを行う流れが望ましいです。
養育費には時効があります。
たとえば「毎月の末日に4万円の養育費を支払う」といった内容を書面に残したときは“定期給付債権”となります。
定期給付金とは、基本権を元に具体的に発生する債権をいいます。
例とすれば、アパートを借りているなら、毎月払っている家賃がそれに該当します。
消滅時効に掛かる期間は次の2つとなります。
離婚協議書(公正証書)・・・5年
調停調書、審判書、判決書・・・10年
※養育費の時効の詳細は「養育費は時効だ!と主張されたら、この記事で対策して下さい」で取り上げています。
養育費の未払い請求を自分自身ではなく、専門家に対応してほしい考える方もいるでしょう。
その場合の相談先は「弁護士」か「行政書士」となります。
弁護士はどの場面でも相談や実際の実務を依頼できます。
しかし、行政書士は調停以降の段階では依頼できませんし、裁判外であっても、相談者に代わって相手と交渉することもできません。
あくまで書面を通じての未払い養育費の回収を目指すものです。
費用面はやはり弁護士は高額になりがちで、着手金15万円~、成功報酬として養育費の10%~20%が掛かるのが一般的です。
※未払い養育費の請求を弁護士に依頼することを考えている方は「ご紹介、理想かつ養育費問題に強い弁護士を無料で探してくれる案内所」も参考にしてください。
離婚した元夫とは、もう二度と関わりたくないと考える方も少なくはありません。
離婚に至った原因や、離婚成立までにひどく揉めた場合などは、このような気持ちになるのも仕方がないです。
そもそも自分で請求するのも大変だし、どうすればいいか分からない・・・
その場合は、弁護士に未払い養育費の回収を依頼することになりますが、その費用の捻出も厳しいということもあるでしょう。
どこでお金を借りるというも方法ですが、弁護士に依頼すれば必ず未払金が回収できるわけではありません。
なぜなら、相手が働いていない上に、何1つ財産を持っていなければ、空振りに終わるからです。
そうすれば安くはない着手金だけが無くなるだけで、養育費は1円も入ってきません
そもそも未払い金が100万円以下の場合は、費用倒れになる可能性が大きいです。
以上のようなことから、未払いの養育費を諦めてしまう方も多いと思います。
確かに、今まではそれで終わっていましたが、最近は子供の貧困問題に危惧した一般企業が、養育費未払いのサポート事業を展開しています。
具体的にお伝えすると、実質負担なしで最低でも12回分の養育費を保証するもの。
未払い状態の養育費をサポート会社が立て替えるサポートです。
養育費の取り決めを書面に残している方が利用が可能となります。
詳細は「養育費安心サポートなら滞っている養育費が手続だけで半額もらえる!」で取り上げています。
今回は養育費の未払いをテーマとして取り上げました。
令和になってから、養育費の未払い問題にようやく国が対策をとるようになってきました。
結果、以前より強制執行ができやすい状況となり、義務者の逃げ得を防ぎやすくなりました。
また、弁護士などの費用の捻出が厳しい方に向けての、一般企業の養育費保証サポートも始まっています。
以前と比べ、養育費未払い問題を解決できる可能性が高くなったと思います。
ですので、子供の為に諦めずに請求しましょう。
元夫からの養育費がずっと未払い状態が続いているが、どうすればいいか分からない・・・。
または弁護士に問題解決をお願いしたいけど、費用が用意できない・・・。
このような悩みをお持ちの方は、手続きするだけで実質無料にて、養育費の半額を受け取るサポートがあります。
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