離婚を専門に扱う某法務事務所に勤める1児のシングルマザーが、離婚に関する役立つ知識を発信します。
こんにちは、まいみらいです。
離婚時の子供の養育費を決める際は、次の様な疑問や不安を持つ事が多いのではないでしょうか。
ということで今回は、離婚時の子供の養育費の相場を始めとする、養育費に関する疑問等について取り上げます。
また取り決めた養育費をより確実に、受け取る方法についてもお伝えしています。
子供を引き取り育てる側とすれば、養育費は離婚後の生活を安定させる為の命綱といっても過言ではないですよ。
今回の記事を参考にして頂ければ養育費の相場はもちろん、命綱というべき養育費をどうすれば守れるかが分かります。
養育費の取り決めする上において、必ず押さえてくべき内容となっています。
目次
子供の養育費の相場をお伝えする前に、まずは養育費とはそもそも何か?
相手に養育費を払わせるには条件があるのか?等についてお伝えします。
養育費とは、食費、被服費、医療費、教育費、娯楽費など、子供を育てていく為に必要な全ての費用をいいます。
養育費は子供と一緒に暮らし、監護、養育している側の親が、他方の親に請求します。
ですので、母親から子供を監護、養育している父親に支払われるケースもあります。
父母が離婚して他人の関係になっても、子供にとって父親や母親である事実は変わりませんよね。
ですので、親は子供に対し「生活保持の義務」があります。
生活保持義務とは、お互いに同程度の生活レベルを確保する扶養義務で、1つのパンを分かち合う義務であると説明されます。
親権者・監護者になるか否か、面会交流を認めるか認めないか等に関係なく、養育費は親として当然に分担しなければなりません。
それに加え、子供と一緒に暮らしていないという事情は、子供と一緒に生活している親よりも、扶養の義務が軽くなるものではありません。
裁判所も養育費と親権者の関連性について、次の通りに判断しています。
両親は親権の有無に関係なく、それぞれの資力に応じて未成熟子の養育費を負担する義務を負うものであり、親権者となった親が第一次的に扶養義務を負担すべきであると解することはできない。(福岡高決昭52・12・20)
この判例の通り、養育費を払う義務は絶対的です。
もし相手が「~だから養育費なんて払わない」と主張しても、それは通用しないということを理解してもらうことです。
養育費の支払い義務期間は原則20歳までとなります。
もし子供が高校卒業後に就職するのなら、子供が扶養を要しない状態になるので、高校卒業までが支払い義務となります。
大学進学の際、20歳以降の大学卒業までの養育費を支払うかどうかは原則、義務者の任意となります。
このことを争った場合、裁判所は「特別な事情」があれば支払いを命じます。
特別な理由とは、既に子供が大学に通っている、両親が共に大学を卒業しているというような事情等です。
なお養育費の話し合いの際には、養育費の終期以外にも、子供の進学時の入学金や、病気や怪我等で入院した際の費用負担についても、取り決めておくことが望ましいです。
子供の養育費は、成長段階に必要な監護養育の需要を満たすべきものでなければなりません。
ですので、特別な事情がなければ一括払いを認めず、定期金による支払いによるべきだとするのが審判例です。
つまり養育費は継続的に支払うもので、一括払いは望ましくないと裁判所は考えています。
相手がすぐに仕事を辞めてしまう、浪費癖があるなど、長期にわたる確実な支払いが期待できない場合もあるかと思います。
この場合は相手の性格や資力にもよりますが、一括払いの方が望ましいでしょう。
しかし将来の養育費まで一括して支払いを受けると、場合によっては贈与税の対象になることもあるので注意が必要です。
一括で養育費を受けるのであれば、その前に一度税理士に相談されることをお勧めします。
受け取り方法としては、養育費は長期的に継続して支払いがされるものです。
よって支払いや受け取りが確実な金融機関による振込の方法が、利用されることが一番多いです。
それでは子供の養育費の相場について、指標となるものを取り上げます。
まずは実際の統計を基に見てみましょう。
厚生労働省が公表している「平成28年全国ひとり親世帯等調査結果」を見てみましょう。
母子家庭における養育費の1世帯平均月額は「43,707円」です。(集計世帯数:610)
この金額が養育費の相場の1つとして見ることが出来ます。
また父子家庭に関しては「32,550円」ですが、集計世帯数が25しかない為、参考程度にされるのがいいかと思います。
続けて、母子家庭における子供の人数別の養育費の平均額状況についての結果です。
子供1人の場合 | 38,207円 |
子供2人の場合 | 48,090円 |
子供3人の場合 | 57,739円 |
子供4人の場合 | 68,000円 |
次に離婚調停の審判や離婚裁判等で、子供の養育費額を判断する際に基準とするのが「養育費算定表」の算出額です。
裁判所はこの額を基準として、増額や減額すべき事情をある程度考慮し、養育費の金額を決定しますので、まさに養育費の相場と言えます。
この表を使用して、養育費を算出する際に必要となるデータは次の3つのみですので、簡易迅速に相場が分かるのが特徴です。
では実際に養育費算定表を利用して、いくつかのケースの算出額を見てみましょう。
子供1人の場合 | 約42,800円 |
子供2人の場合 | 約60,000円 |
子供3人の場合 | 約73,300円 |
子供1人の場合 | 約54,200円 |
子供2人の場合 | 約80,000円 |
子供3人の場合 | 約95,000円 |
※養育費算定表の詳細やその他ケースの養育費の相場は「養育費算定表の算定額と使用する際に必ず知っておくべきこと」で取り上げています
※子供二人の場合の養育費については「子供2人の養育費をより高額かつ安心して受け取る方法」も参考になります。
先ほどの統計や養育費算定表の算出額を見ると、
子供の数が増加するにつれ、養育費の額も比例するわけではなく、それほど増額されていません。
これは支払う側の資力に限界があるという事でしょうが、養育費の生活保持義務の観点からみれば低額です。
病気で満足に働けない、子供を私立学校に通わせたい等の各家庭の事情で、妥当な養育費の金額は変わってきます。
養育費の相場的な金額だと、子供の健やかな成長や満足いく教育を受けさせるには、到底足らないと私は思います。
ですので子供の養育費の一般的な相場額は、協議離婚の段階ではあまり囚われる必要はありません。
相手配偶者に不倫やDVを受けた方が「不倫等をされた場合の養育費の相場はいくらですか?」という質問がよくあります。
私も元夫の不倫が原因で離婚しましたので、その様な疑問を持っていました。
結論からお伝えすると、相手配偶者による不倫やDVなどの有責行為と養育費の金額は関係ありません。
それら精神的苦痛を受けた賠償は「慰謝料」という名目で払わせることになりますし、私も同じです。
ただ相場的な養育費の額に、実質的には慰謝料的なものの金額を加えて、毎月支払いを受けるというのは可能かもしれません。
まずは夫婦の話し合いです。
お互いの収入や財産、子供にかかった費用の実績などを考慮して協議し決定します。
具体的には義務者の年収と権利者の年収をそれぞれに出します。
そして、権利者が子供を育てていくのにどれくらい費用が必要か、一方義務者は自分の収入からどれくらいなら、養育費を払えそうかを話合いで決めます。
先ほどもお伝えした通り、この段階では養育費の相場的な額にあまり囚われず、子供を第一とし柔軟な考えで夫婦が話し合うことです。
次に夫婦の経済状況についてです。
原則、義務者の将来の経済状況は考慮せず、「離婚成立時の経済状況」を元に話合います。
なぜなら、将来のことは確実ではないからです。
例えば、義務者が10年後には昇進して今の年収より200万ほど上がるだろうと予測したとします。
でも10年後には勤め先が倒産している可能性もありますよね。
また権利者側も将来、子供が大きくなってフルタイムの仕事ができるはずだから年収が上がるという予測も、実際にフルタイムの仕事に100%就けるか不確定です。
それに加え、これらの様な細かな事情まで考慮してしまうと、算出方法が複雑になってしまいます。
その結果、お互いの合意が難しくなってしまいます。
ただし婚姻中は専業主婦だったか方は別です。
養育費の話し合いをする時、専業主婦だから年収は0円という設定では、相手は納得しない可能性が高いです。
なぜなら働こうと思えば、働けるケースが多いからです。
ですので、まずはその専業主婦だった者の潜在的稼働能力があるか否かの検討をします。
その結果、潜在的稼働能力があったとすれば、どの程度の収入が得られるのかを検討します。
私の経験を例としてお伝えすると、
離婚する前は単発のパートの仕事をすることはありましたが、基本的には専業主婦でした。
だからと言って私の年収を0円としてしまえば、元夫は納得せずに調停は絶対に不成立になると思いました。
ですので現実的に考え、時給830円で7時間労働を20日働いた場合で月給11万程度。
年収ベースで140万円になるが、契約社員や派遣社員などの雇用形態となる為、いつ契約終了になるか分からないことを考慮して110万円を主張しました。
結果、元夫も了承しその年収を基にして話し合いをしました。
潜在的労働能力がない、または低いケースとしては、次のような状況が考えられます。
「重度のうつ病等の病気にかかり、就労が著しく困難な場合」
「乳幼児などの幼い年齢の子がたくさんいて、監護負担が大きい場合」
夫婦の話し合いで養育費が決まらなければ、家庭裁判所に「離婚調停」の申し立てを行います。
申立者は子供の世話を行う監護者です。
離婚調停の場では、中立的立場である調停委員を交えて、養育費について話し合いを行います。
離婚調停では夫婦の収入が分かる書類を見ながら、養育費算定表の算出額をベースに養育費を決めていくことになります。
話し合いの結果、養育費を始めとする離婚条件全てに合意できれば調停離婚が成立します。
離婚時に取り決めをした養育費が、継続して受け取れている家庭はどれくらいあると思いますか?
厚生労働省の平成28年ひとり親世帯などの調査結果によると、なんと、たったの24.3%しかないのです。
これを知ってどう思われました?私は初めて知った時はあまりの少なさに愕然としました。
夫婦が離婚して他人になってしまっても、親が未成熟の子供を扶養する義務は続くことはお伝えした通り。
しかし、そのような義務があるのにもかかわらず、たったの24.3%の家庭しか養育費を受けていないというのはなぜでしょうか?
それは離婚の際に、養育費の取決めをしっかりしていないことが大きな要因のひとつです。
しっかり取決めをするということは、二人で固く口約束をすることではありません。
これは何も保障がありませんので、絶対に口約束で済ませないでください。
口約束だけだと、養育費をもらえない75%の家庭となる可能性が非常に高いです。
ではどすればいいのかというと、協議離婚する場合、養育費の約束を最低でも「離婚協議書」として書面に残すということです。
書面に残すことで証拠が残るので、「養育費の払うなんて約束していない」という相手の言い逃れを防ぐことが出来ます。
そして養育費を確保する最善の方法は、離婚協議書を“公正証書”にすること。
つまり「離婚公正証書」を作成することです。
「離婚公正証書」とは公証人役場の公証人から、夫婦で離婚の際に取決めた約束事が、法律的に問題ないと「OK」をもらった書面のことです。
ちなみに「公証人」とは判事、検事、弁護士、法務局長を長年に渡り務めた人の中から、法務大臣が任命する公務員です。
全国約300か所の公証人役場で職務を行っています。
それでは、普通の「離婚協議書」と「離婚公正証書」は何が違うのでしょう?
「公証人からOKをもらった離婚協議書だから、離婚の取決め内容が法律的に違反していないことを、証明してもらったということでしょ?」
確かにそうなのですが、それだけではないのです。
公証人にOKを貰うという、ひと手間をかけたのですから、その効果大きく違ってきます。
その特徴は以下の3つです。
作成した「離婚公正証書」は公正役場にて20年間保管してもらえるのです。
もし大事な離婚公正証書をついうっかり無くしてしまっても、その時は謄本を渡してもらえるのです。
なお養育費の取決めを20年以上で決めた場合には、その期間中保管してもらえます。
離婚公正証書は、法律の仕事に長年に渡り、携わってきた公証人が作成します。
その公証人が書面の記載内容について、法令に違反していないかチェックします。
そして夫婦の身元について、印鑑証明書や運転免許証などで本人確認をしっかり確認した上で作成されます。
ですので、離婚公正証書の記載内容が裁判で否認、無効とされることはほぼ無いと言えますよ。
子供を連れて離婚する側の最大の心配事は、「子供が自立するまで養育費をきちんと最後まで払ってもらえるか?」だと思います。
離婚公正証書に「強制執行認諾約款」があれば、もし約束した養育費が延滞した場合、「強制執行」をかけることが出来ます。
強制執行認諾約款とは、「養育費や慰謝料を支払わなければ、強制執行を受けます」という意味の文言です。
そして強制執行とは、裁判所の力で養育費等支払い義務者の給与や、預貯金などの財産を強制的に差押さえ、そこから不払い分を回収ができる力です。
また養育費は親の義務ですから、子供が養育費を受け取る権利は法律的に厚く保護されています。
よって養育費は一度でも延滞すると、将来の養育費についても強制執行で差押えが可能なのです。(支払い義務者が給与取得者の場合)
なお、離婚公正証書を作成する際には「離婚協議書のサンプルを見本にして作成してはいけない3つの理由」の記事に掛かれていることも重要です。
離婚公正証書を作成しても、相手が必ず養育費を支払うとは限らず、強制執行されるまで無視する父親(母親)も実際にいます。
また強制執行する際は、その手続きを弁護士に頼むことになるので、多額の費用が必要なります。
その費用が捻出できずに、泣き寝入りしている方も多くいます。
このような現実も踏まえた上で、養育費の不払いを防ぐ為には、公正証書作成に加えて、これからお伝えすることも重要です。
子供にとって命綱となる養育費ですが、子供と離れて暮らす親はなぜ養育費を払わなくなるのでしょうか?
大きな理由として経済的に厳しいということもありますが、次のような理由もよく耳にします。
「子供の為ではなく、母親(父親)に使われている気がするから」
離婚するほど信頼関係を失った相手に対して、その様な考えを持たれてしまうのは、残念ながら仕方ありません。
その様な考えを持たれない為には、養育費を受け取る側は責任をもって、子供の養育を行う姿勢を相手に見せ続けることが大切です。
その為には難しいと思いますが、日頃から可能な限り風通しを良くしておく必要がありますね。
風通しを良くするには、父親(母親)と子供との面会交流の機会を積極的に持つことが重要です。
他にも養育費を払わない理由でよく耳にすることがあります。
それは「子供に会えないことで、子供への愛情が薄れてくる為」というもの。
お伝えした通り、養育費支払いと面会交流は法的には関連しません。
養育費を払わなくても面会交流を求めることができるし、反対に面会交流を拒否されても、養育費を払わないといけません。
しかし、人間の行動は感情で定義付けられているものです。
だから「子供に会わせてくれないから(会わないから)養育費を払わない!!」となってしまう。
一方、子供を監護している側とすれば「養育費を払わない最低な親に、子供は会わせない!」となるのです。
そして、会えないことでますます子供への愛情が薄れ、養育費の支払いが期待できなくなるのです。
以前は相手から養育費の支払いがあったけど、現在は滞っている状態ならば、子供に悪影響がない限り、面会交流を再開すべきです。
子供の健全な育成という観点でも、親と子が面会する機会は必要です。
実際に子供に会わせたことで、養育費の支払いが再開されたという例は珍しくありません。
なお、私は元夫と子供との面会交流は離婚後一度も欠かさずに実施していますので、養育費が滞ったことはありません。
今回は離婚時の子供の養育費の相場と、取り決めた養育費をより確実に、受け取る為には何をすべきかをお伝えしました。
離婚することに子供に責任はありません。
その子供を第一に考えるのであれば、一般的な養育費の相場に囚われずに、柔軟な考えで取り決めることが望ましいです。
また養育費の不払いを防ぐ為には、離婚公正証書の作成に加えて、定期的な面会交流の実施も重要です。
面会交流を通じて、離れて暮らす親と子供との親子関係の構築、及び養育費支払い義務者と監護親との信頼関係の確保に繋がり、継続的な養育費支払いが期待できます。
それでは長くなりましたが、最後までご覧頂きましてありがとうございました。
まいみらいがお伝えしました。(私の離婚経緯などを載せたプロフィールはこちら)
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