離婚を専門に扱う某法務事務所に勤める1児のシングルマザーが、離婚に関する役立つ知識を発信します。
離婚するには、まずは夫婦の話し合いからスタートするのが基本です。
とはいえ、当然ながらほとんどの方が、離婚の話し合いをするのは初めてでしょう。
ですので、何を話し合うべきかや、どういった点に注意すべきかが分からないと思われますし、実際に私も分かりませんでした。
そこで今回は離婚の話し合いをテーマとして取り上げます。
主には、離婚に関することを話し合いで決めることの難しさ、取り決めるべき内容、注意すべき点など7つのポイントなどをお伝えします。
ここでお伝えする事が欠けると、話し合いを進めても大事なことが抜ける等して、取り返しのつかない事態に陥ることも。
そうならない為にも、しっかりと確認と準備をしておくべきです。
なお、ここでは話し合いで離婚を回避させる方法や、夫婦修復については取り上げていません。
離婚の回避についての詳細は「夫と離婚したくないなら知っておかなければならない5つのこと」で取り上げています。
目次
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協議離婚する為には、離婚の意思はもちろん、親権や養育費、慰謝料などの離婚条件に合意をさせることが必要。
そして離婚届に夫と妻および成人の証人2名が署名押印して、役場に提出することにより離婚が成立します。
このように、協議離婚の手続きそのものは簡単に見えがちです。
しかし離婚の合意形成、親権や慰謝料などの離婚条件を、夫婦の話し合いを基本として決めていくのはそう簡単ではありません。
なぜなら、基本的にお互いの考えが一致していることはなく、その差を埋めていくのは非常に困難を伴うからです。
たとえば、子供の親権ひとつにしてもそうです。
双方が親権を望めば、どちらが譲らない限り、協議離婚を成立させることはできないのですから。
この場合における話し合いが、いかに大変かは容易に想像を頂けるかと思います。
ここで話し合いの方法などを間違えれば、より困難な事態となりますので、それを事前に防ぐ為の大前提をまずはお伝えします。
離婚の話し合いは、基本的に夫婦ふたりだけでするのが鉄則です。
離婚時の話し合いに、両家の両親を同席させるケースが見受けられます。
なぜ両親を同席させるかというと、夫婦だけだと不安、怖いから気持ちからです。
しかし、両親を交えての話し合いは絶対に避けるべきです。
ですので、自分の子供のバックアップに終始徹し、相手には批判の嵐。
当然ながら、もう一方の両親も同様の対応をしてきます。
こんな状況では、まとまる話もまとまるわけがないのです。
また離婚の問題とは無関係にこちらがなじられたりして、非常に苦痛な思いをすることは必須。
親同士がヒートアップし過ぎて、夫婦双方が困惑しているケースもあるくらいですから。
このように両親を同席させることで、離婚の話し合いは余計にこじれだけで何ひとつ進展しません。
ですので、相手が「両親を交えて話し合いをしたい」と言っても、断固拒否すべきだし、こちらも入れるべきではありません。
もし、やむを得ない理由があって両親を入れる時には、絶対に口出ししないことを条件にすることです。
なかには夫婦ふたりだけの話し合いを避けるべきケースがあります。
それは相手が実に凶暴的な人間で、暴力を振われ危害を受ける恐れが非常に高い場合。
暴力はなくても、常々暴言、つまりモラハラがひどく、主従関係みたいな夫婦状態であり、対等な話し合いが全くできない等。
こうした場合は、ふたりで協議することを最初から諦め、こちらの代理が可能な弁護士に依頼すべきです。
弁護士を代理人とすることで、弁護士が窓口となる為、相手方との話し合いは弁護士が担うので、相手からの危害を防ぐことができます。
また暴力やモラハラ以外でも、相手が離婚を頑なに拒否するケースなども、弁護士に依頼することで状況が進展する可能性もあります。
弁護士が介入してくることで、相手は驚き、プレッシャーを受けるからです。
ただし、弁護士を代理人とすることのデメリットもあります。
その代表的な内容は多額の費用が必要となることです。
親権や養育費や慰謝料などの交渉をお願いした場合は、成功報酬が発生する為、100万円以上の費用となることも珍しくありません。
他には、弁護士を立てることで、夫婦間の対立構造が顕著となり、話し合いによる問題解決が困難となるので円満離婚が望めません。
※ 離婚のサポートを依頼する弁護士探しに関する詳細記事は「離婚の弁護士選びで失敗しない為に必ず押さえておくべきこと」で取り上げています。
相手に離婚を切り出す前に、離婚に関してどのようなことを取り決めをすべきかを知る必要があります。
離婚のことを何も知らずに離婚してしまうと、取り返しのつかない事態となる可能性は大です。
そうならない為にも、事前に離婚に関する権利・義務をしっかり押さえることです。
離婚に際して話し合いが必要な一般的な項目は次の通りです。
これらを大きく分けると、子供の事に関する事とお金に関する事に分かれます。
それでは個別に見ていきます。
20歳未満の子供がいるなら、夫婦のどちらが子供の親権者になるかを決定し、離婚届に記載しないと受理されません。
なお親権を決める際は、子供の心境を考え、言い争いは控えるように十分に注意しなければなりません。
※ 親権についての詳細は「裁判になっても親権者になれる人を詳しく解説!」で取り上げています。
子供と別れて暮らす側の親には、子供と面会する権利があります。
いつ頃、何処で、どの位の頻度で子供に面会するのか等の方法や内容を取り決めます。
また親の為だけの権利だと思われがちですが、子供が離れて暮らす親からの愛情を受けることができる子どもの権利でもあります。
※ 面会交流の詳細については「面会交流の取り決めをする上で、必ず押さえておきたいポイント」で取り上げています。
親権者・監護者になるか否か、面会交流を認めるか否か等に関係なく、養育費は親として当然に分担する義務があります。
養育費とは、食費、衣服費、教育費、医療費などの子供を成育させる為に必要な全ての費用です。
どちらがどれほど払うのか、月払いにするか、年払いにするのか、どの口座に振り込むか、といったことを取り決めます。
※ 養育費の詳細は「子供の養育費の相場と不払いを防ぐ最善の方法を知っていますか?」で取り上げています。
配偶者に不倫や暴力といった離婚原因があった場合、他方の配偶者はその原因を作った配偶者に対し、慰謝料を請求することが可能です。
離婚の慰謝料の相場はこれまでの判例によると200万円程度となっています。
※ 離婚の慰謝料の詳細は「離婚の慰謝料の相場と相場以上の額を獲得する為に知っておくべきこと」で取り上げています。
離婚にあたって、夫婦が構築した財産をどういった風に分け合うかを取り決めます。
離婚の慰謝料とは異なり、離婚原因とは別に考えられています。
よって、たとえ相手配偶者が不貞などの有責行為があっても、財産分与を受ける権利があります。
※ 財産分与の詳細は「離婚時の財産分与の対策はこれを読んでガッチリ確保」で取り上げています。
次に離婚の話し合いのタイミング、つまり相手に離婚を切り出すのはいつ頃が適切かについて取り上げます。
結論からお伝えすると、全ての準備が整った時が離婚の話し合いの基本的なタイミングとなります。
仕事でも勉強でも何でもそうですが、事前に万全の準備ができているか否かで結果は大きく違ってきますよね。
その商品の知識を完璧に頭に入れ、資料もしっかり作成し、プレゼンの予行を万全にした場合と、そうでない場合の売上が大きく違うのは当たり前。
このことは離婚においても同じであり、しっかり準備をしておくことが失敗のない離婚へと繋がります。
それでは、どのような準備をすべきかについてお伝えします。
離婚の話し合いをする前に、次のことを書面化する等の準備が必要になります。
これらは離婚の話し合いをスムーズに進める為には、欠かせないものばかりです。
特に重要なのは、箇条書きの太文字のものです。
この証拠となるものは、配偶者と不倫相手がラブホテルに出入りする写真、不倫が伺えるLINEなどですが、これらを前もって準備することです。
これらの証拠が多いほど、慰謝料の話し合いは有利になります。
もし、相手が年収を少なく報告してきた場合、受け取れる養育費は少なくなってしまいます。
もし、相手がどこかに財産を隠してしまえば、本来なら受け取れた財産の分与を受けられなくなります。
間違いなく言えることは、これらは離婚の話し合いを始めてから、準備しようとすると、相手はこれらの事を隠す可能性が高まります。
なぜなら、お金はできるだけ相手に払いたくないと考えるからです。
よって、どれだけ事前の準備ができているかで、結果は大きく変わる為、相手に気づかれないように万全にしましょう。
誰しも、なるべく円満に離婚したいと思いますよね。
であれば、離婚の話し合いは仮にどんだけ腹が立っていても、これがお互い最後の協同作業と思うことです。
そして、できる限り冷静沈着に相手の立場も考慮できる位、ゆとりを持って話し合いをしてください。
こちらの希望を全部通すというのでなく、相手の希望もしっかり聞くべきです。
譲歩できるところは全部する位の心構えを持ちましょう。
必ず相手を制圧して、こちらの希望を全て通すとか、絶対に譲らない!という考えでは、円満離婚は到底望めません。
離婚する理由で最も多いのが「性格の不一致」。
その性格の不一致が原因で離婚する場合において、よく起こる言い争いがあります。
それというのは「どっちが原因で離婚を招いたのか」を口論することです。
例を挙げると、以下のようなやりとりです。
「それは、おまえが何事にもルーズだからだ」
「いいえ、私はちゃんとしていたし、あなたが細かすぎるだけ!思いやりがないのよ」
「それは間違っている、離婚はお前のせいだ」
このようにお互いに相手を非難します。
つまり売り言葉に買い言葉の応戦を行なうのです。
ですが性格の不一致で離婚する場合、いずれが悪いのか言えばどっちもどっちです。
両者ともにパートナーのことを理解しようする努力をしなかったからです。
離婚の犯人探しは無意味です。
にもかかわらず、どっちが悪いかとことん言い争いをし、離婚の犯人を決める。
これは全く意味がなく無駄な労力ですよね。
「性格の不一致」だと、離婚の慰謝料は貰えません。
犯人じゃない方が財産分与は多くなるなど、離婚条件が良くなるわけでもありません。
それに責任の所在をハッキリさせたところで、二人が再度やり直せる訳でもありません。
以上の事から、性格の不一致が原因で離婚するなら、離婚の犯人探しは一切不要です。
どっちが悪いのかは明確になっているので、責任の追及はとことんまでし、慰謝料をしっかり確保すべきです。
※ 性格の不一致と離婚の詳細は「性格の不一致で離婚する方が、無駄な労力を使わない為のポイントとは?」で取り上げています。
離婚の話し合いをする場所は、自宅やファミレス、カフェなど色々考えられます。
重要なのは話し合いがスムーズにできる場所であることに加えて、できる限り冷静を保てる場所が望ましいです。
通常、離婚の話し合いは何度も重ねることが必要ですので、その点を考えれば、やはり自宅が一番いいでしょう。
ただし自宅で話し合をする際は、子供の前では行ってはいけません。
子供は両親が離婚することに酷く心を痛めているのに、そのうえ両親が離婚で言い争う姿を見ればさらに傷つくからです。
ホテルの中にある広めのラウンジでの話し合いが考えられます。
他人の目がある以上、冷静になれる環境だからです。
離婚の準備が整えば、いよいよ相手に離婚を切り出し話し合いを開始することになります。
その話し合いで、最優先にすべきことは離婚の合意を得ることです。
合意を得ずに、養育費などの離婚条件の話し合いに進めることはありません。
ちなみに、こちらが離婚を求める側であれば、次のことは頭に入れておきましょう。
こちらは離婚する気で満々の一方、相手は離婚を全く考えていないことが大半です。
ですので、離婚の話し合い事体に応じないことも十分あり得ます。
そのような相手から離婚の合意を得るのは、大変な困難を伴います。
この場面に置かれた時に絶対にやらなければいけないのは次のこと。
離婚を拒否され続けても、何度も話し合いの機会を持ち、そこから突破口となる要素を見つけることです。
なお、離婚に応じない相手から同意を得る方法などの詳細は「離婚に応じない夫からは、このようにして離婚の同意をもらいましょう」で取り上げています。
離婚することに合意できたのなら、子供のことや離婚に際してのお金のこと等、数多くのことを話し合う必要があります。
この段階で肝に銘じるべきことは、離婚が確定している以上、感情論は一切不要ということ。
感情的に話し合うと、何ひとつプラスになることはありません。
口論となりお互いを傷つけ合うし、話が複雑化してこじれるだけですから。
ですので、感情的な対応は極力控えて冷静に話し合うことが求められます。
親権なら親権、慰謝料なら慰謝料だけにフォーカスして話し合いをする。
その他の感情的なことは、発言しない事が早く協議を終了させるコツとなります。
離婚条件の話し合いで決まったことは、その都度メモなどで記録しましょう。
「言った・言わない」のぶり返しを防ぐ為です。
できれば相手の承諾を得た上で、ボイスレコーダーなどに録音するのが最も確実です。
何が争点になっているかをしっかり把握し対策することで、次回の話し合いがスムーズに進む可能性が高まるからです。
また、離婚の話し合いがうまくいかずに離婚調停になった場合でも、この記録は役立ちます。
調停の申し立てに至った経緯や動機などがこの記録を見れば分かるので、家庭裁判所からの質問などにもしっかり答えることができるからです。
なお、離婚調停に関しては後ほどお伝えします。
話し合いの結果、何とか全ての項目に合意ができたのなら、それを口約束で止めては絶対にいけません。
口約束は証拠が残らない為、反故にされる可能性が高いです。
このことは話し合いを録音していた場合でも同様であり、録音の内容を主張しても「考えが変わった」と言われればそれでお終いだからです。
ですので、合意した内容がしっかりと証拠として残るように、必ず書面化して確定させることが必須となります。
そして出来る限り「離婚公正証書」を作成することをお勧めします。
離婚公正証書を作成しておけば、相手が約束した養育費や慰謝料などを払わない場合に大きな効果を発揮します。
具体的には、強制執行で養育費などを支払う側の預貯金などを差し押さえ、そこから不払い分の養育費などを回収ができるのです。
養育費や慰謝料等を受け取る側とすれば、不払いのリスクを大きく減らすことができる為、離婚の大きな安心に繋がります。
逆に支払う側からは、
「俺のことを信じていないのか?」
などと嫌がるかもしれません。
しかし、養育費を継続的に受け取れている家庭が2割程度である現状を考えると、そのような言葉は何の保証もありませんよ。
ですので、子供の為だと思い説得を続けて、承諾を得られるようにすべきです。
※ 離婚公正証書の詳細は「離婚協議書を公正証書にすることで効力は絶大となります」で取り上げています。
夫婦で離婚について話し合いを重ねてきたが、
このような場合は、家庭裁判所に「離婚調停」の申し立てを行います。
また離婚を求めると強い暴力を受ける、話し合い事体に応じない場合も同様です。
離婚調停とは、夫婦の他に「調停委員」という知識と経験が豊富な中立的な第三者を間に入れての話し合いです。
その調停委員から問題解決の為のアドバイスや、ときには解決案の提示を受けながらお互いの合意形成を目指すことになります。
離婚届を提出するのは、離婚協議書(公正証書)を作成した後です。
離婚の話合いを重ねたことで、一部の離婚条件に関してはまだ合意には至らないが、その他事項には合意ができた。
大方の部分には合意できたのだから、まずは籍を抜いて、それから残りの離婚条件を話し合う。
ときどき、この様な流れで離婚を進める方がいます。
しかし、離婚を先に成立させることは大きなリスクがあります。
なぜならば、離婚成立後に残っている条件面の話し合いを試みても、
相手はなるべくお金を払いたくないと考えている為、素直に応じない可能性が高いからです。
なかには離婚を成立させた後、相手が携帯番号など変えて連絡が取れなくなるケースもあるくらいです。
仮に話し合いを再開し合意できたとしても、証拠が残る書面の作成までは拒否してくることも考えられます。
ですので、離婚届は離婚条件を離婚協議書(公正証書)に残した後に提出するべきです。
なお、このことの詳細は「離婚届を提出する際、絶対してはいけない事とポイントをお教えします」で取り上げています。
今回は離婚時の話し合いにおけるポイントをお伝えしました。
最後に箇条書きでまとめます。
これらのポイントを押さえて頂き、失敗のない離婚をして頂ければと思います。
それでは長くなりましたが、最後までご覧頂きありがとうございました。
まいみらいがお伝えしました。(私の離婚経緯などを載せたプロフィールはこちら)
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