離婚を専門に扱う某法務事務所に勤める1児のシングルマザーが、離婚に関する役立つ知識を発信します。
こんにちは、まいみらいです。
離婚を考えた時「こんな理由で離婚ができるの?」
または「この理由だと夫から慰謝料を取ることができるの?」
このような疑問は出てきますよね。
今回は世間の夫婦が「どのような理由で離婚を望んでいるか」を始め、裁判でも離婚が認められる理由はもちろん。
どのような理由なら、慰謝料を求めることが可能なのかについてもお伝えします。
「私の離婚したい理由でも、最終的には離婚や慰謝料はもらえるの?」と思っている方は、参考になると思います。
目次
まずは離婚をしたい理由ランキングを男女別でお伝えします。
詳しくは、離婚調停等の離婚申し立ての動機別割合からランキングを作成しました。
なおこのランキングは平成29年度司法統計を基にしています。
1位:性格の不一致
2位:生活費を渡さない
3位:精神的に虐待する
4位:暴力を振るう
5位:異性関係
6位:その他
7位:浪費する
8位:家庭を捨て省みない
9位:性的不調和
10位:家族親族と折り合いが悪い
意外に思ったのは異性関係の理由が5位ということです。
私が勤める法務事務所では不倫関係の案件が本当に多いし、実は私も夫の異性関係が主な原因で離婚しました。
ですので、もう少し上なのかなと思っていました。
1位:性格の不一致
2位:精神的に虐待する
3位:その他
4位:異性関係
5位:家族親族と折り合いが悪い
6位:性的不調和
7位:浪費する
8位:同居に応じない
9位:暴力を振るう
10位:家庭を捨て省みない
印象的なのは「家族親族の折り合いが悪い」の理由が、妻の場合の10位と比べてかなり高いことです。
これは結婚すれば妻側が夫側の方へ嫁ぐことが多いというのが、大きな理由だと考えられます。
夫の両親と一緒に暮らす、または近くに夫の両親がいることで、どうしても嫁姑問題が発生しやすくなるのだと思います。
離婚申し立ての動機として、夫・妻ともに一番多いのが「性格が合わない(性格の不一致)」という理由で1977年より不動です。
結婚は元々性格の違う二人の人間が一緒に暮らすのですから、性格が合わない一面があるのは当然。
それを前提として結婚したのに、なぜこんなにも「性格が合わない」ことを離婚理由とするのかが不思議ですよね。
実は、本当のところは相手の浮気や暴力、借金などが離婚したい理由だが、世間体を気にして「性格の不一致」を理由としている人も、ある程度含まれているようです。
また離婚調停の申し立て原因は主なものを3つ挙げられる為「性格の不一致」は抽象的なので選ばれやすいのかもしれません。
ですので「特に相手のこれが無理!!」という理由もなく、何となく離婚したい場合の多くは「性格の不一致」が理由となるでしょう。
以上の事から「性格の不一致」を理由とする離婚動機は、実際の割合より低いとされています。
夫・妻共に離婚したい理由ナンバー1である「性格の不一致」ですが、その理由は離婚裁判でも認めてもらえるでしょうか。
結論からお伝えすると、離婚裁判では単に「性格の不一致」というだけでは、離婚は認めてもらえません。
性格の不一致を離婚理由と認めてもらう為の要件については、後で取り上げます。
ほとんどの方は、離婚したい理由が先ほどのランキングに入っているかと思います。
次にその理由で離婚ができるかどうかです。
大前提ですが各理由において、夫婦が合意の上で離婚するのであれば、どんな理由でも構いません。
「夫婦生活が飽きたから」という理由でも問題ありません。
しかし相手が離婚に同意しない場合は、裁判手続で離婚を求めることになります。
裁判で離婚判決を得る、つまり離婚を認めてもらうには、次の5つの理由のいずれかが必要とされています。(民法770条1項)
なお、これらは「法定上の離婚事由」と言います。
それでは個別に取り上げていきます。
配偶者が自由な意思によって他の異性と性的関係を持った場合です。
性的関係ない浮気の場合は基本的に不貞行為とみなされません。
具体的な例としては、「夫が浮気で職場の女性と肉体関係を持った」場合などです。
ちなみに性風俗における性交渉についても不貞行為ですが、それが数回だけならば、直ちに離婚原因とはなりぬくいでしょう。
※不貞行為に関する詳細は「不貞行為の離婚慰謝料をより多く確実に受取りたい方へアドバイス」で取り上げています。
配偶者が、悪気があってわざと同居義務や、協力義務、扶養義務を果たさない場合です。
具体的な例としては、半身不随で身体障害者の妻を置き去りにしたまま別居を続け、その間に生活費も妻に送らなかった場合です。
また相手を追い出したり、たまたま出ていった相手を家に入れないことも含みます。
配偶者の音信不通が3年以上継続しており、生死が不明な状態にある場合です。
生きている事は確かだが、住所、所在が分からないだけという場合はこれには当てはまりません。
具体的な例としては、夫が旅行してくると言って家を出たまま帰らず行方がわからない場合などです。
なお昭和30年代までは、戦地から未帰還者に関する事案が多かったようです。
配偶者が重度の精神病を患い、回復の見込みがなく、夫婦の協力義務などが果たせない場合です。
ただし精神病を患った本人には責任がありませんので、この理由での離婚はなかなか認めてもらえません。
認めてもらうには次のような厳格な条件がいります。
①通院・入院など、長期に渡り専門医による治療を受けてきたこと。
②離婚を求め裁判を起こした者が、誠実に相手の看病や介護を行ってきたこと。
③離婚後に相手の看病を誰がするなど、今後の療育の見通しがあること。
④離婚後の相手の生活が保障されるような、経済的支援の見通しがあること
夫婦関係が修復不可能なまでに破綻し、離婚はやむをえない状態の場合を指します。
何が「婚姻を継続しがたい重大な事由」なのかは、最終的には裁判官の判断に委ねられます。
先ほどお伝えした①~④は重大な事由の例ですので、それらと同等の重大性が求められます。
では次によく問題になるものを見てみましょう。
婚姻を継続しがたい事由となりうる主な例をとしては、次のようなものが挙げられます。
それでは個別に取り上げています。
離婚裁判では“単に”性格が合わないだけだと離婚は認められないことは先ほどお伝えしました。
ではどういう状況だと離婚が認められるでしょうか?
それは性格の不一致が愛情の喪失まで進み、夫婦生活は深刻かつ絶望的に破綻し、とてもではないが夫婦円満には戻れない状況が必要です。
それを具体的に主張・証明して、何とか離婚が認められる可能性が出てきます。
ですので「性格の不一致」を理由として裁判で離婚を認めてもらうには、なかなかハードルが高いと言えます。
暴力(DV)はたとえ夫婦間においても否定されるべきものであります。
夫が妻を殴るなど短気や粗暴な性格で相手に暴力を振い、それが相手の忍耐を超え、暴力によって婚姻が破綻している場合は離婚が認められます。
暴力以外にも精神的虐待や侮辱など、つまり相手によるモラハラも婚姻を継続しがたい事由となります。
モラハラの具体例としては、相手の欠点をねちねちと言葉で責め続けたり、それを周りに言いふらす。
相手の両親や親友の酷い悪口を言う、相手が生活費を渡すときにお札を投げ捨てて渡される等の行為などです。
裁判は証拠が全てと言っても過言ではありません。
配偶者の暴力や精神的虐待などを証明する為には、次の様な証拠を取っておきましょう。
※DVと離婚に関する詳細は「暴力夫と離婚を成立させ苦痛の日々から解放する為の全手順」で取り上げています。
※モラハラと離婚に関する詳細は「モラハラ夫の特徴と離婚する方法【更生の可能性、慰謝料も解説】」で取り上げています。
夫婦の一方が次の様な行為をしている場合も婚姻を継続しがたい事由となります。
「健康な体の夫が怠け者で働こうとせず、家でゴロゴロして何もしない、または遊びまわり時間やお金を浪費してしまっている。」
「いつも妻が毎月の収入に見合わない、ブランド品などの高価な衣装や道楽品を購入してしまい、生活が困窮してしまっている。」
「夫に強度のギャンブル癖があり、給与が入っても全部つぎ込んでしまい、いつも生活費を入れてくれない。」
「何度も騙して家のお金を持ち出す」・・・など。
配偶者の怠惰・浪費癖・ギャンブル狂などを証明する為には、次の様な証拠を取っておきましょう。
年齢や病気等の特別な理由がない限り、長期に渡る性交渉拒否、つまりセックスレスは離婚原因となる可能性はあります。
裁判所の判例でも、夫婦間の性生活が婚姻の基本となるべき重要事項であると判事しています。
ただしセックスレスそのものが、直ちに離婚原因と認められるわけではありません。
一方的な理由のない性交渉拒否が長期間継続した事で、夫婦としての実態や信頼が喪失し、破綻状態となった場合に認められることがあります。
※セックスレスと離婚に関する詳細は「セックスレスで離婚や慰謝料は請求できる?親権は?を詳しく解説!」で取り上げています
「家族・親族との折り合いが悪い」は夫・妻ともに離婚したい理由のベスト10に入ります。
しかし親族との不和は、それだけでは簡単に離婚理由として認められません。
親族の不和によって、夫婦関係が回復できないまでに破綻している状況が必要です。
たとえば「同居している妻に対して夫の両親によるイジメがあり、夫もそれを知っているのに何もしなかったり、逆に一緒に責める」
このような場合など、夫が婚姻関係維持に努力していない場合など、修復不可能だと客観的に判断されなければ認められません。
婚姻を継続し難い重大な事由の有無については、婚姻生活に関するさまざまな事情を総合的に考慮して判断されています。
ですのでここまでお伝えした5つの具体例のみを理由に、婚姻を継続し難いと重大な事由ありと判断されない場合でも、
他の事情も含めて上で、婚姻を継続し難い重大な事由ありと判断される可能性があります。
これまでお伝えしてきた法定上の離婚事由ですが、実はこれがあれば必ず離婚が出来るわけではありません。
不貞行為、悪意の遺棄などの離婚原因があっても、離婚ができないこともあります。
たとえば、夫の不貞やモラハラを理由に離婚裁判を起こし、確かにそれらの事実があったと認められた。
しかし、裁判所は一切の事情を考慮し結婚を継続させた方が相当と判断した時は、離婚の判決を下さないこともできるのです。
一切の事情の中には、夫がもう二度と妻を苦しめないと真摯に心から反省していると認めた場合などです。
慰謝料は離婚原因を作った方が支払う金銭的賠償です。
つまり、相手配偶者の有責な行為によって受けた精神的・肉体的苦痛を受けた場合、その苦痛に対して慰謝される為のお金なのです。
慰謝料を請求できる要件は、相手の有責な行為が原因で離婚に至った場合なので、どんな理由でも請求できるわけではありません。
ただし有責行為までいかなくても、相手が責任を感じて慰謝料を支払うと認めるのであれば、こちらから請求することは問題ではありません。
慰謝料請求が可能な理由の例は次の通りです。
なお慰謝料という名目ではないですが、離婚に応じない相手に対し、「解決金」という名目で幾らかの金銭を渡すこともあります。
離婚弁護士などの法律家の多くが伝えている慰謝料の平均額は「200万円~300万円」です。
これは非常に大雑把な金額であり、過去の統計などを深く分析した額ではありません。
また慰謝料は色々な要素を考慮し決められるので一概に言えませんので、あくまで一つの目安として考えてください。
なお理由別の相場額は次の通りです。
余談ですが、私も夫の不倫が原因で離婚した旨をお伝えしましたが、受け取った慰謝料額は120万円でした。
婚姻年数も7年と短めでしたし、夫が不倫していた期間も短かった為、この金額となりました。
「夫には不倫やDV、セックスレスもあったから慰謝料は大きく増額されるのでは?」と考える方もいるでしょう。
しかし有責行為が複数ある事と、離婚の慰謝料額が増額する事は、残念ながら直接的には関連性はないです。
(もちろん相手が倍の慰謝料を払うことに同意するなら別です。)
しかしそれだけ精神的・肉体的苦痛を多く被ったというわけなので、少しは多めに請求することは可能です。
なお慰謝料請求権事体はひとつの権利なので、それぞれに分けて請求する必要はありません。
※元データは多くはありませんが、離婚慰謝料額の実際の統計については「離婚慰謝料の平均額のリアルな額をお教えします」で取り上げています。
最後に慰謝料が請求できない場合についてお伝えします。
次の3つの内いずれかに該当する場合は慰謝料を請求できません。
離婚したい理由ナンバー1である「性格の不一致」が離婚理由であれば慰謝料は請求できません。
なぜなら性格の不一致は、夫婦が話し合っていくことで解消可能だからです。
夫婦お互いが歩みよる努力がなかった、または足らなかったので夫婦双方に責任があります。
また相手が強度の精神病であったり、何十年も別居していて夫婦関係破綻している状態での不貞行為も慰謝料は請求できません。
なお性格不一致と慰謝料などの詳細は「性格の不一致で離婚する方が、無駄な労力を使わない為のポイントとは?」で取り上げています。
今回は離婚理由について詳しく取り上げましたが、最後に簡単にまとめます。
それでは長くなりましたが、最後までご覧頂きましてありがとうございました。
まいみらいがお伝えしました。
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私は夫の不倫が原因で離婚し、今は離婚を専門に扱う法務事務所に勤めながら、子供と一緒に平穏無事に幸せな毎日を過ごしています。
離婚する前は本当に精神的に辛く大変でした。
私は婚姻中パートしかしておらず、社会経験があまり無かったので、離婚後の生活に対して不安だらけでしたし、もちろん離婚の知識なんて全くありませんでした。
そんな私でも、経済的には決して裕福ではありませんが、充実した日々を送っています。今に至る経緯を私の自己紹介と共に、下のリンクの記事でお伝えしています。
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