離婚を専門に扱う某法務事務所に勤める1児のシングルマザーが、離婚に関する役立つ知識を発信します。
ある日突然夫から離婚を求められた。
確かに夫婦仲は少し険悪だったが、離婚は考えたことが無かった為、拒否していたところ、夫から解決金の提示をされた。
この様なやりとりしている際、相手から解決金という提案をされることがあります。
でも離婚の解決金はあまり耳にしない言葉だと思うので、どういった内容のものか分からない方が大半だと思います。
ということで、今回は離婚の解決金について取り上げます。
離婚の解決金について、正しい知識や注意点をしっかりと知った上で、離婚に応じるか否かの判断をするようにしましょう。
目次
離婚の解決金についてお伝えする前に、夫からの離婚を求められ、今あなたはそれを拒否しているならやるべきことがあります。
それは直ちに離婚届の「不受理申出」を役所に提出することです。
離婚の不受理申出とは、簡単に言えば離婚届が受理されなくすることです。
なぜ必要かといえば、離婚したい夫が離婚届の妻側の署名を偽造し、勝手に届出をして離婚成立させることを防ぐ為です。
もちろんこの様な行為での離婚成立は無効ですが、その手続きが非常に面倒な為、先に防止しておきましょう。
※離婚届の不受理申出の詳細は「「離婚届不受理申出」で相手の一方的な離婚届の提出を阻止!」をご覧ください。
上記に加えて、現在別居中で生活費を受け取っていないのなら、「婚姻費用分担請求調停」を申し立て、生活費を確保しましょう。
もしあなたが専業主婦であれば、夫が兵糧攻めをして、あなたから離婚の同意を無理やりに得ようとする可能性があります。
※婚姻費用分担請求調停の詳細は「もし別居中の生活費を貰ってないなら、すぐに婚姻費用を請求しよう」をご覧ください。
離婚の解決金を理解する為の前提知識を押えましょう。
離婚とお金の問題は切り離せない関係になっています。
基本的に、離婚により一方の配偶者が他方の配偶者に支払うお金は、主に以下の5つのものが挙げられます。
子供の養育に掛かる費用。
親権や子供と離れて暮らすかどうかにかかわらず、親には養育費を支払う義務があります。
離婚にあたって、夫婦が築いてきた財産を、夫名義・妻名義にかかわらず分け合うことです。
慰謝料と違い離婚原因とは分けて考えられていますので、仮に不貞などの有責行為を行っていても財産分与を受ける権利があります。
相手に不貞や暴力などの有責行為(離婚原因)があったときに、その賠償として受け取るお金のことです。
夫婦に別居期間があり、その間に生活費(婚姻費用)が払われていなかったという場合には、未払いの婚姻費用を支払う場合があります。
専業主婦の妻が夫の加入している厚生年金などから、婚姻期間に応じた分の2分の1を上限に分割譲渡する制度です。
離婚の解決金とは、先ほどお伝えした5つのお金とは別物という訳ではありません。
養育費や財産分与などの名目にとらわれずに、離婚に伴い一方が支払うお金です。
俗に言う「手切れ金」みたいな考え方です。
離婚の解決金は法律上に明記されている条件又は根拠があるものではなく、曖昧な性質を持つお金です。
解決金はその名前の通り、離婚時のお金の問題を解決する為に柔軟な利用が可能です。
その為、協議離婚や調停離婚で利用されることがしばしばあります。
なお、この様な曖昧な性質がある為、明確な根拠を求められる離婚裁判の場では、基本的に請求の権利はありません。
それでは離婚の解決金が、どの様なケースで用いられているかをお伝えします。
一方は離婚を望んでいるが、他方の配偶者が拒否しているときに、離婚に応じさせる為、離婚を望んでいる側が一定のお金を差し出すケースがあります。
言葉は汚いですが、離婚をお金で買う状態です。
離婚を求められている側に不貞行為などの有責行為が無ければ、拒否している以上、裁判を起こしても離婚する事は基本出来ません。
そこで、法的には本来は支払う必要がない解決金を支払うことで、相手に離婚に応じさせるのです。
離婚することに責任がある配偶者が、慰謝料という名目は、自分に落ち度があったこことを認めることになる。
そのことがどうしても引っ掛かり、相手が慰謝料の支払いを拒むというケースがあります。
そこで実質は慰謝料であるが、直接的な表現をせずに解決金という文言を使用することで、当該慰謝料の支払いに応じる場合があります。
先ほどお伝えした通り、離婚に関連するお金は様々です。
それらひとつひとつを合意させ、全てをクリアするのは簡単なことではありません。
たとえば「財産分与するのがいいが半分ずつは納得いかない」等と一方の主張があり、他方は「絶対に半分じゃないと応じられない」
この様なやりとりは多くありますので、やはり全てに合意するのは大変労力を使うものです。
そこで慰謝料、財産分与、婚姻費用、場合によっては養育費を全て含め、解決金とする場合があります。
妻が専業主婦である場合は、経済的に直ぐに自立するのは困難です。
そこで離婚後の当面の生活費、立ち直り資金、離婚後の住まい確保に掛かる費用(敷金)などの支払いがされる場合があります。
つまりこれは扶養的財産分与の合意ですが、これらのお金のことを当事者間で「解決金」名目とすることもあります。
では離婚の解決金はどのくらい請求できるか?についてです。
実際、解決金の相場というものはありません。
概ねこの程度の金額で合意することが多い、という意味合いの相場は100万円~200万円ですが、それに合わせる必要はありません。
相手がいくらでも払うというのであれば、その額で問題ありません。(ただし現実的に払える金額なのかは考慮する必要があります)
仮に離婚を求められている側が、積極的には離婚を望んでいないが、納得できる金額があるのであれば、その金額を請求すればいいでしょう。
また離婚に絶対に応じたくないのであれば、相手が払えないような高額な請求をすれば、大方は諦めます。
しかし相手が離婚を心底望んでいる場合、とんでもない高額な解決金でも応じるケースが稀にあります。
たとえば、妻との離婚を強く望む夫だが、それに対し妻は絶対に離婚をしたくない。
そこで妻は夫に離婚を諦めさせるために、解決金2000万円を一括払いしてもらえるなら、離婚に応じると夫に伝えたところ、
なんとその条件を受け入れたのです。
「離婚をお金で買う」とは正にこのことです。
妻は、年収500万円の夫では到底払えない金額であると高を括っていたところ、夫は両親に頼みこんでお金を工面したのです。
ですので、高額な解決金を請求したからといって、離婚を100%防げる訳ではありません。
離婚をしたくないのであれば、変に駆け引きはせずに、離婚を拒否し続ける方が確実です。
なお夫との離婚を回避させ、夫婦関係の修復を望む方は「夫と離婚したくない方が、その危機を脱し関係修復させる為の5つの掟」をご覧ください。
相手の解決金を受け入れる場合は、解決金の支払いに関することを記載した「離婚協議書」を必ず作成しましょう。
決して口約束で済ませてはいけません。
口約束だと証拠が残らない為、約束を反故される可能性が高いからです。
たとえば「あの時、300万円の解決金を支払うと言うから離婚に応じたのに、100万円しか振り込まれていない!それじゃ話が違う!」と抗議したが、
相手は「300万円も支払うなんて一言も言っていない。証拠はあるのか?」
こんな感じで白を切られます。
実際に証拠はありませんし、離婚も成立している為、口約束を信じた側は臍を嚙む思いをすることになるのです。
この様な事態にならない為にも、解決金の取り決めは証拠に残るように離婚協議書にしておきましょう。
最も安心して解決金を受け取るには、離婚協議書を「公正証書」にしておくことです。
公正証書にしておくことで、万が一、解決金の支払いがされない場合には、
強制執行して相手の財産を強制的に差し押さえ、そこから回収することが可能です。
解決金が分割での支払いになるのなら、公正証書で残すことを特にお勧めします。
この事についての詳細は「離婚協議書を公正証書にすることで効力は絶大となります」をご覧ください。
お伝えした通り、解決金は曖昧な性質がある為、しっかりと解決金の内容を確認しておくことが重要です。
たとえば、こちらは財産分与、未払いの婚姻費用の2つをまとめて解決金400万円とし、慰謝料は別途払われると思っていた。
しかし相手の方は、慰謝料も含めての額だと思っていた。
この様に解決金の内容の相互確認が不十分だと、2人の間で認識が違ってきます。
もし、このまま解決金400万円、慰謝料については何も載っていない、清算条項が記載された離婚協議書に署名押印してしまえば、もはや慰謝料を請求するのは困難です。
ですので、しっかりと解決金の定義をお互いに確認し合うようにしましょう。
清算条項とは、離婚協議書(公正証書)の案件に関して、全て解決が図られたことを確認するものです。
甲及び乙は、本離婚協議書に定めた事項以外には名目の如何を問わずに相互に金銭その他の請求をしないこととする。
つまり清算条項を入れることで、その件に関しては当事者が離婚協議書に署名・押印した以降は、新たな金銭についての請求が当事者間で出来なくなるのです。
これはお金を支払う側にとっては非常に重要な条項です。
清算条項を入れない場合のリスクをお伝えすると、
たとえば、解決金を支払ったのにも関わらず、相手から「解決金はあくまで慰謝料に当たる部分ですので、別途財産分与を請求します」
この様に、追加請求をされる恐れがあるのです。
解決金の税金についてお伝えする前に、財産分与と慰謝料の税金についてお伝えします。
財産分与として受け取る側には原則として税金はかかりません。
なぜなら、夫婦が婚姻中に築き上げた財産を単純に分け合うだけだからです。
慰謝料も同様で、相手の有責行為によって心身に加えられた損害の賠償金である為、非課税とされています。
解決金の場合においては、一般的な金額であれば問題ありませんが、
それが過大な金額である場合は、贈与税の課税対象となります。
過大かどうかの判断は大変難しいですが、婚姻中の築いた資産や夫婦の収入から判断されることになります。
なお離婚に関するお金と税金についての詳細は「離婚慰謝料に税金はかかるのか?についてお教えします」をご覧ください。
今回は離婚の解決金について取り上げました。
解決金は、曖昧がゆえに都合が良くなる場合もあり、離婚問題の解決に一役買っています。
ただし、その曖昧さが思わぬ事態を引き起こす可能性もあります。
ですので、解決金の名目を利用するのなら、その中身が何なのかをしっかりと確認することが重要ですよ。
それでは最後までご覧頂きありがとうございました。
まいみらいがお伝えしました。(私の離婚経緯などを載せたプロフィールはこちら)
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