離婚を専門に扱う某法務事務所に勤める1児のシングルマザーが、離婚に関する役立つ知識を発信します。
こんにちは、まいみらいです。
夫または妻にセックスを求めても、いつも拒否され続けて長期間にわたりセックスレス状態である。
夫婦なのにセックスを拒否され続けられると、相手に対して不信感を持つようになるのではないでしょうか。
そして最終的には、このような夫または妻とは離婚して別のパートナーを見つけたいと考える方もいるでしょう。
ということで今回は、セックスレスと離婚をテーマとして取り上げます。
主には、裁判ではセックスレスを理由に離婚は認められるのか?
セックスレスが原因による離婚は慰謝料を請求できるか?子供の親権と養育費はどうなるのか?等についてお伝えします。
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まずはセックスレスの定義とは何かについてお伝えします。
日本性科学会によるセックスレスの定義は次の通り。
ここで指す「セクシュアル・コンタクト」には、キスやペッティング、裸によるベッドイン等も含まれます。
(日本性科学会とは、臨床的な研究や診療によって性の健康の推進を図る専門家の団体)
しかしこの定義で示す「ひと月」という期間だと、短いと思われる方も多く、セックスレスのイメージとは少し違うようです。
ですので一般的には、夫婦の一方がセックスを求めているのに相手がそれを拒否し、長期間に渡り営みが無い状態。
または不満を持っている状態をセックスレスと言うことが多いようです。
それでは日本性科学会が言うところのセックスレス状態。
つまり、ひと月以上セックスがない夫婦の割合はどれくらいいるのでしょうか?
このことの参考になる統計が発表されています。
日本家族計画協会が2014年に行った「男女の生活と意識に関する調査」からです。
(日本家族計画協会とは、行政と連携し専門家の指導を得ながら、家族計画・母子保健の普及啓発の為の事業を進める公益民間団体)
それによると、ひと月の間にセックスがなかったと答えた率は「44.6%」でした。
年齢別で一番多いのは35~39歳で「46.9%」です。
10年前にも同様の調査をしていますが、その際は31.9%ですのでセックスレスの夫婦は増加傾向にあります。
増加と同時に、以前と比べセックスレスにより夫婦関係が悪化し、離婚トラブルに発展する件数も増えています。
当然ですが、夫婦の双方が求めず仲は良いなら離婚問題にはなりません。
夫婦の一方が求めても相手が拒否する場合に関係が悪化し、そして離婚問題に発展するのです。
セックスレスになっている夫婦の割合が分かったところで、次はセックスレスを理由に離婚を求めている割合的なものをお伝えします。
これは最高裁判所が公表している平成29年度の司法統計が参考になります。
その統計のなかの「調停を申し立てた申立人の動機」を見てみると、「性的不調和」という項目があります。
性的不調和とは、相手の継続的なセックス拒否、性交不能、性的異常などのことです。
基本的には、相手の継続的なセックス拒否と考えて差支えがないでしょう。
では、性的不調和(セックスレス)を離婚したい理由に挙げている男女別の件数は次の通り。
男性(夫)・・・2,316件(13%) ※動機ランキング6位
女性(妻)・・・3,500件(7.3%) ※動機ランキング9位
夫である男性は6位、妻である女性は9位という順番ですが、やはり男性の方が婚姻生活においてセックスを重視しているのが分かります。
なお、離婚を求める理由のランキングの詳細は「あなたの離婚したい理由は裁判でも通用し、慰謝料もとれますか?」で取り上げています。
それでは次にセックスレス(セックスの拒否)を理由に、離婚ができるかどうかについて取り上げます。
セックスレスを理由に離婚ができるどうかは、セックスレスが元で夫婦関係が破綻したか否かが争点となってきます。
夫婦間におけるセックスは法律の世界でも、婚姻の必要不可欠な要素になると考えられます。
ですので「正当な理由なく」セックスを拒み続けることは、夫婦関係の要素を拒否していることになります。
従って、セックスレスは「婚姻を継続し難い重大な事由」に当てはまり離婚原因となりえます。
相手の数回だけの拒否や、数か月程度の拒否では、その後に相手が応じる可能性があるので離婚はできません。
また妻が妊娠中のときにセックスを拒否しても、当然ながら問題はありません。
法律上の争点となってくるのは、相手が1年以上の期間に渡り拒否した場合です。
実際にセックスレスを理由に、裁判で離婚が認められた具体的な例は次の通りです。
セックスレスだからといっても、直ちに離婚判決が出るとは言えません。
お伝えした通り、夫婦関係の破綻がなき場合の離婚は認められません。
長期に渡るセックスレスであるが、仲良く円満な夫婦関係を築いている方は大勢います。
裁判で離婚を認めてもらうには、セックスレスを含めた色々な理由で夫婦関係が破綻状態だと示すことが求められるのです。
よって結果的には、セックスレスのみを理由に離婚することは難易度が高いと言えるでしょう。
反対に以下のような事情があれば、セックスを求められる側が離婚請求すれば認められることがあります。
つまり、相手が拒絶することを求め続けると離婚原因になるということです。
セックスレスの場合においても、不倫や暴力などの場合と同じように慰謝料の請求が可能です。
「慰謝料」を法律用語でいうと「不法行為に基づく損害賠償」といいます。
不法行為が成立するには「精神的損害」が必要不可欠です。
相手がセックスに応じないことも精神的損害に該当するといえます。
ですので、セックスレスの場合においても慰謝料の請求が可能なのです。
相手の拒否によるセックスレスを理由に慰謝料を請求する為には、
相手が「セックスできるのにしない」といった状況が存在することが必要です。
よって勃起不全のケースなどで、本来セックスをしたくても無理だいう場合には慰謝料の請求はできません。
そして、どのくらい期間に渡りセックスを拒否され続けたのなら、慰謝料の請求が可能か?についてです。
個々の経緯にもよっても違ってきますが、一般的に1年以上に渡る拒否があれば、慰謝料の請求が可能なケースが多いでしょう
セックスレスにおける慰謝料の相場は「100万円」ぐらいです。
セックスレスにもレベルの問題があるため、もちろん事情によって慰謝料額も変動します。
その幅は「数十万円〜200万円」です。
慰謝料の金額が高額傾向になる主な事情は次の通りです。
なお、離婚に関する慰謝料の詳細は「離婚の慰謝料の相場と相場以上の額を獲得する為に知っておくべきこと」で取り上げています。
セックスレスを理由に離婚及び慰謝料を求めるなら、まずは話合いでの合意を目指しましょう。
しかし、相手がそれらを拒否する場合や話し合いに応じない場合は離婚調停を申し立てます。
離婚調停でも合意できない場合は離婚訴訟へ進みます。
離婚調停や裁判では証拠が重要です。
特に裁判ではセックスレスの証拠がないと、離婚や慰謝料は認めてもらえませんので必須となります。
その証拠を元に法廷では夫婦関係が破綻していること、その原因が相手にあることを立証する必要があります。
その立証は大変難しいです。
相手がセックスを拒否し続けたこと等を認め、その理由が争点になる場合は拒否事実の立証は必要ありません。
ところが相手が拒否していないと反論すると、拒否事実の証拠がないと話にならないのです。
セックスの拒否などの事実の証拠として考えられるのは、次のような物です。
なお「セックスを拒否されたことを書いた日記やメモ」は、相手にセックスを断られたときの会話などの状況を詳しく残しましょう。
そしてセックスレスの初期段階から継続的に日記を書き続けることが重要です。
またセックスを拒絶している事がわかる会話の録音以外にも、LINEやメール等で誘ったが断られたときのやりとりも証拠となります。
セックスレスを理由に離婚した場合、「子供の親権はどうなるの?」という質問がよくあるので取り上げます。
結論からお伝えすると、セックスレスと親権には何ら関連性はありません。
つまりセックスを拒否し続けたとしても、その事実が親権を得る為に有利にも不利になるわけではないのです。
親権はこれまで夫婦のどちらが監護養育を主に担ってきたか、及び今後の監護体制が整っているかによって基本的に判断されます。
もっといえば、子供の幸せの為にはどちらが親権を持った方が良いのかという、子供の事情のみで決められます。
相手からのセックスを拒否し続けることと子育てをする能力は、全く関係がないということです。
とはいえ、10歳未満の子供については母親の監護による愛情が必要不可欠と考えられています。
よって親権を争った場合は、母親が子供に暴力を振うなどの特別な事情が無ければ、母親を親権者に指定する傾向が強いです。
なお、親権についての詳細は「裁判になっても親権者になれる人を詳しく解説!」で取り上げています。
次にセックスレス離婚と養育費に関係性はあるのかについてです。
これも結論からお伝えすると、セックスレスと養育費には何ら関連性はありません。
セックスを拒否され続けたことが離婚原因だから、養育費は払わない、または養育費を多く受け取れるというわけではないです。
セックスの拒絶などの有責性があろうとなかろうと、離婚後に子供と離れて暮らす側の親にも子供の扶養する義務があるのです。
よって、養育費支払いの義務があるので当然に分担しなければなりません。
家庭裁判所が養育費を判断する際は、「養育費算定表」から算出される金額をベースとします。
この算定表で算出する為に必要なデータは、子供の人数と年齢、両親の収入だけであり、セックスレスなどの事情は考慮されません。
なお、養育費及び算定表の詳細は「養育費算定表の算定額と使用する際に必ず知っておくべきこと」で取り上げています。
今回はセックスレスと離婚をテーマに取り上げました。
セックスレスで悩んでいる方の問題の解決に少しでもなったのなら幸いです。
夫婦間の性生活は婚姻の基本となるべき重要要素です。
ですので、相手が「正当な理由なく」セックスを拒み続けることは裁判上でも認められる可能性がある離婚理由となります。
セックスレスが原因で相手との離婚を考えている方は、相手が離婚等を拒否した時に備えて予め今回お伝えしたような証拠を用意しておきましょう。
それでは最後までご覧頂きありがとうございました。
まいみらいがお伝えしました。(私の離婚経緯などを載せたプロフィールはこちら)
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