離婚を専門に扱う某法務事務所に勤める1児のシングルマザーが、離婚に関する役立つ知識を発信します。
シングルマザーになるための準備をしっかりできるか否かで、離婚後の生活が大きく変わります。
何も準備せず、何の知識を得ずに離婚をすると「こんなはずじゃなかったのに…」と大きな後悔をすることになります。加えて、離婚に何の責任のない子供に辛い思いをさせることになります。
取り返しのつかない事態にならないためにも、シングルマザーになるための準備はしっかりしておくべきです。
ここでは離婚をスムーズに進め、離婚後の生活を早期に安定させるために、必ず知っておくべきことを取り上げます。
目次
スポンサーリンク
離婚したいけど、シングルマザーになると世間体が心配…という方もなかにはおられるでしょう。
私がそう感じる背景のひとつとして、以下のようなことが挙げられます。ひと昔前と比べて、現在シングルマザーの人数は大きく増えました。
その数は厚生労働省が公表している「全国ひとり親等調査(2016年度版)」の統計によると、約123万世帯です。
確かに、昭和50年代くらいまでは、離婚に対する抵抗感や負のイメージは根強くあったようです。しかし元号が令和になった現在では、離婚に対する世間の受け止め方は大きく変化しています。
明石家さんまさんが離婚会見の際に、顔にバツを書いて行ったことを機に「バツイチ」という、明るい呼び方も定着しました。
昔の「離婚=人生の失敗・挫折」とみる風潮は薄まり、現在は再出発の第一歩という肯定的なものに捉えられています。
実際、昭和50年の年間の婚姻件数77万4千、離婚件数14万1千に対して、平成30年度は婚姻件数59万、離婚件数は20万7千。(厚生労働省「人口動態統計」より)
単純な比較になりますが、昔と今では婚姻件数に対する離婚件数の占める割合が大きく増えています。まさにこの変化こそが、今と昔の世の離婚の考え方の現れだと言えます。
離婚してシングルマザーとなった方が、離婚後にどのような悩みを抱えているでしょう?以前に厚生労働省が公表した「離婚家庭の子ども」の調査から知ることができます。主な悩みは次の通りです。
子供のことや、仕事と子育ての両立に関しては、男女ともに多い悩みです。実際に私自身も、仕事と子育ての両立が理想通りではなく、子供に負担をかけているときがあるのが悩みとしてあります。
女性と男性の大きな違いは、やはり経済的な悩みと就職の悩みが大きな割合で占めているところです。離婚後のシングルマザーは、仕事探しも含めて生活基盤の確立に苦労しています。
先ほどの悩みを大きく分けると、次の3つのカテゴリーに分けられます。
離婚後の生活を安定させるには、これら3つの悩みを離婚前に解消できるように準備する必要があります。離婚の準備を怠ると、離婚後に苦労することに繋がります。
離婚に向けての子供に関して準備すべきことは次の通りです。
これらの内容を個別に取り上げていきます。
親権とは、未成年の子供に対して父母が有する、監護・教育・財産の管理などの包括的な権限及び責務のことです。
自分のお腹を痛めて産んだ我が子ですから、大方の母親は自身が親権者になるのを望むでしょう。しかし、父親が親権を争ってくることもあります。
実際にそうなったときに適切な対応ができるように、前もって準備しておく必要があります。
父親が普段は仕事中心で、ほとんど子育てに携わっていない場合は効果的な方法です。
父親は子供の身近な世話をした経験がないので、子供を引き取り、一人で育てる大変さがイメージできていません。
育児の大変さを具体的にイメージさせることにより、親権を諦めさせることができます。
10歳未満の子供の親権を家庭裁判所の審判や裁判で争った場合、母親が断然に有利です。
2015年の司法統計によると、母親を親権者に指定した割合は約9割です。
離婚時の話し合いで父親が親権を争ってきた場合は、この統計を見せればいいでしょう。親権争いは父親が圧倒的に不利である現実を知ることで、早期に親権争いに決着をつけられます。
※ 親権についての詳細は「裁判になっても親権者になれる人を詳しく解説!」で取り上げています。
結婚と同時に夫の戸籍に入った側は、離婚とするとその戸籍から出ていく必要があります。離婚後は、次の2つの方法から戸籍をどうするか選ばなければなりません。
また婚姻中の姓を名乗りたい場合もあるでしょう。その場合は離婚後3か月以内に【離婚の際に称していた氏を称する届】を市区町村役場に提出すれば、離婚後も名乗れます。
夫の戸籍に入っていた妻が離婚で新しい戸籍を作り、婚姻時の姓を名乗った。そして子供の親権者になり一緒に暮らしている。しかし子供の戸籍は両親が離婚しても変わらず、父親の戸籍に残ったままです。
子供を母親の戸籍に入れるには、家庭裁判所に【子の氏変更許可】を申し立てる必要があります。
※ 子の氏変更許可の詳細は「離婚後の子供の戸籍変更をスムーズに完了する為の手順を詳しく解説!」で取り上げています。
夫婦に子供がいるのなら、離婚時に面会交流について取り決める必要があります。
なかには「あんな夫に子供を会わしたくない!」と考えている方もいるかもしれません。しかし面会交流が定期的に実施されている家庭と、そうでない家庭では、後でお伝えする養育費を受け取れる率が大きく変わります。
具体的に言えば、面会交流を定期的に実施している家庭ほど、父親から継続的に養育費を受けとれていますし、実際に私もそうです。
よって父親が子供に暴力を振うなどの問題がない限り、なるべく面会交流の機会を持ちましょう。
※ 面会交流についての詳細は「面会交流のルール作りをする上で必ず押さえておきたいポイント」で取り上げています。
離婚時のお金に関して準備すべきことは次の通りです。
お金の問題については、離婚後の生活に大きく影響を与えるので、対策や準備をきっちりする必要がありますよ。
これらの内容を個別に取り上げます。
夫婦に子供がいる場合、基本的に子供が20歳になるまでは、父親に養育費を請求できます。養育費とは、言葉の通り子供の養育に掛かる費用を言います。当然ながら、離婚後に子供は父親と一緒に暮らす場合は養育費を請求できません。
養育費の相場ですが、養育費算定表から算出される額がひとつの目安となります。最終的に取り決めた養育費はきちんと証拠を残すため【離婚公正証書】に残すことが大切。ですので、離婚公正証書についてもよく調べておくべきです。
養育費はシングルマザーの命綱と言うべきもの。事前に養育費に関する知識を入れておくのは絶対です。
※ 養育費や離婚公正証書の詳細は「子供の養育費の相場と不払いを防ぐ最善の方法を知っていますか?」で取り上げています。
離婚に際して夫婦が築いてきた財産を、夫・妻名義にかかわらず分け合います。分与割合については、原則的に【2分の1】です。
慰謝料と違って離婚原因とは分けて考えられます。仮にこちらが不貞行為などの離婚原因があったとしても、財産分与を受ける権利があります。
財産分与を請求するにあたり、事前に夫婦の共有財産が、どれだけあるかを書類などにまとめ、把握しておくことが重要。夫に財産隠しをされてしまうと、正当な財産分与を受けられなくなるからです。
※ 財産分与の詳細は「離婚時の財産分与の対策はこれを読んでガッチリ確保」で取り上げています。
夫の不倫や暴力などの有責な行為が原因で、離婚するとなった場合は、慰謝料の請求ができます。その際は、金額はもちろんのこと、一括or分割払いかなどを具体的に決めます。
慰謝料の相場ですが、ケースバイケースで一概に言えませんが、裁判例の平均は200万円程度です。養育費と同様に取り決めた証拠を残すために【離婚公正証書】に残すようにしましょう。
慰謝料を請求するには証拠が必要となります。不倫、暴力など夫の有責な行為を証明するものを、些細なものでも事前にコツコツと集めておくことです。
ちなみに私は、夫の不倫がきっかけで離婚したのですが、そのときに受けとった慰謝料は120万円でした。まとまったお金を得たことで、「いざという時はこのお金がある」という精神的な安心に繋がりました。
※ 慰謝料の詳細は「離婚の慰謝料の相場と相場以上の額を獲得する為に知っておくべきこと」で取り上げています。
離婚後の暮らしに関して準備すべきことは次の通りです。
個別に内容を取り上げます。
現在、住んでいる家を出て行くならば、新たに家を借りるかまたは購入する場合が多いでしょう。
その際は、離婚後の住まいにどれだけのお金を出せるかのシミュレーションが必要です。離婚の仕事で得られる給与や養育費、財産分与のお金をもとに予測します。
いくらぐらいの家賃で、どのあたりに住むか、などに目途をつければ、引っ越しにかかる費用についてもある程度把握できます。
離婚時の話し合いで、夫に負担を求めるのも可能ですが、基本には自己負担です。引っ越しの時期や、引っ越し先の距離によっては、多額の費用が必要になるかもしれません。
離婚後、養育費や児童扶養手当だけで生活するのは困難です。ですので、通常の生活に不自由しないほどの収入が得る仕事を見つける必要があります。
既にパートなどで働いている場合は、企業側に正社員での雇用をお願いしたり、長時間勤務を願い出るのは可能です。
事務系の仕事に就きたいのなら、最低限のパソコンのスキルは必須。ワードやエクセルはできて当たり前ですので、苦手ならば本などを見て扱えるように練習が必要です。
自分の持っている資格も確認し、それを活かせるか否かの検討もしましょう。例えば、保育士や幼稚園教諭の資格を持ち、以前その仕事をしていなら、就職先を見つけるのは比較的容易といえます。
就職の探し方はハローワークやネットの情報を利用するのが一般的です。
これ以外にも、就職先を見つけるのに適した次の施設があります。(令和4年4月現在)
これらの施設では、子育てと両立可能な求人情報を提供しています。担当者制による就業相談も可能です。これらの施設を利用できる方は積極的に利用しましょう。
※ マザーズハローワーク系の施設の一覧はこちら
※ シングルマザーの平均月収や生活費の内訳などについては「離婚後の生活費を安定的に得る為に押さえておくべき3つのこと」で取り上げています。
幼い子供を育てながら働くためには、保育園を利用しなければなりません。シングルマザーの子供は、一般の家庭の子供よりも優先して保育園に入れます。
母子家庭で仕事をしていれば、優先順位は確実に1番です。
とはいえ、途中入園だったり待機児童が多い地域では、必ず入園できるとは限りません。入園しやすい地域や保育園を事前に調べるのをお勧めします。
また保育園に入園できても、いつも預かってもらえるわけではありません。ですので、そういう際に子供を預かってもらえるように、身内に協力をお願いしておきましょう。
シングルマザーの収入は相対的に多いものではなく、生活費を切りつめる生活を過ごさなければなりません。たとえ夫から財産分与や慰謝料を受け取ることができても、そのお金は子供が将来進学する際に必要なお金なので貯蓄すべきです。
少しでもゆとりがある生活を送れるように、国などが行っている母子家庭向けの手当てを積極的に利用しましょう。主な母子家庭向けの手当ては次の通りです。
個別に内容を取り上げます。
児童扶養手当とは、18歳までの子供のいるシングルマザーに対して、国から支給される補助金です。支給額は所得に応じて決まり、所得制限もあるので、所得が多い場合は受けられない場合もあります。
令和4年4月現在における児童扶養手当の支給額(月額)は、次の表のとおりです。
子供の数 | 1人目 | 2人目 | 3人目 |
全部支給(月) | 43,070円 | 10,170円 | 6,100円 |
一部支給(月) | 43,060円~10,160円 | 10,160円~5,090円 | 6,090円~3,050円 |
(引用:厚生労働省「児童扶養手当について」)
※ 児童扶養手当の詳細は「児童扶養手当の申請で絶対に押さえるべき事と養育費との関連性」で取り上げています。
児童手当に関しては子供の出生と同時に申請し、既に受給している方がほとんどだと思います。児童手当の請求者を夫としている方も多いでしょう。その場合は離婚時に請求者の変更をしないと、その後も夫の方へ振り込まれます。
① 父親に「児童手当・特例給付受給事由消滅届」の記入と提出をしてもらいます。
② ①の後に母親が「児童手当・特例給付認定請求書」を提出する流れとなります。
父親がこの手続きに協力しないケースも多く、その場合は役所に速やかに相談することです。別の方法を提示してもらえるはずです。
児童手当が支給されるのは、2月、6月、10月です。
例えば、9月に変更手続きをした場合は、10月分は夫の方へ支給されてしまいます。よって離婚後は早急にこの手続きすることです。
ひとり親家庭の支援を目的とした「児童育成手当」があります。東京都だけの制度なので受けられる方は限定的ですが、手当額を多いので紹介します。
支給を受けられる期間は、児童が18歳になって最初の3月31日までの間となります。支給額は月額「13,500円」です。
児童扶養手当や児童育成手当は、離婚と同時に自動的に支給されるのではなく申請が必要です。
申請手続きを離婚後すぐできるように事前の準備をしましょう。これらの手当は申請の翌月分から支給されるからです。それに加え、各種手当は過去に遡っての支給は認められません。
申請が遅れるとその分の手当金をもらい損ねることになります。なお、もし児童手当を未だ申請していないなら、早急に申請するようにしてください。
児童扶養手当以外にも、各地方自治体が実施するシングルマザー向けの行政支援を受けられる場合があります。これらも離婚前に調べて、離婚後にすぐ支援を受けられるように準備しておきましょう。
ここまでシングルマザーが”離婚後”に生じた悩みを元に、離婚前に準備すべきことを主に取り上げました。
最後に離婚を成立させるために一番重要なことをお伝えします。
それは夫の離婚同意をどうすれば得られるか? この対策と準備をすることです。
前もって認識してほしいのは、こちらが「離婚したい」と申し出ても、基本的に夫は素直に応じずに断ってきます。
夫は夫婦関係が不仲だと感じていても、修復できると考えている可能性が十分あるからです。そもそも離婚を考えたことすらないかもしれません。
そのような相手に「離婚しよう」「そうしよう」という展開にはならないのです。高確率で夫は離婚を拒否すると心づもりしておきましょう。
離婚を拒否されたあと、そこからどうすれば離婚同意を得られるかの、対策と準備をしておくことが大切です。
離婚を断られた相手から離婚同意を得る方法の詳細については「離婚に応じない夫からは、このようにして離婚の同意をもらいましょう」で取り上げています。
シングルマザーになるための準備について取り上げました。
「準備することだらけで大変」と思われた方も多いと思います。しかし、離婚後の生活を早期に安定させるためには、この準備を念入りにすることが重要です。
さまざまな準備があるなかで、もっとも重要かつ大変なのは夫から離婚同意を得ることです。
離婚後の生活を安定させるための準備を色々しても、夫からの離婚同意を得られなければ意味がありません。この部分に対しては特にしっかりと対策と準備をする必要があります。
長くなりましたが最後までご覧頂きありがとうございました。まいみらいがお伝えしました。(私の離婚経緯などを載せたプロフィールはこちら)
あなたは離婚をしたいが、
このような理由で離婚を諦めていませんか?
私自身も離婚に関しての争いは難航し、途方に暮れ絶望していました。しかし、ある情報がきっかけで理想的な離婚をすることができました。
もし、あなたが離婚のことで悩んでいるなら、このことは解決に繋がるヒントになるかもしれません。詳しくは下のオレンジ色のボタンよりご覧ください。(離婚したい女性向けです)↓
スポンサーリンク
妻に浮気を許してもらうには?適切な行動を解説【償い・反省・誠意】
旦那の浮気を許すことを考え中なら失敗しない為に知っておくべき事
夫の浮気から夫婦再構築させる為に押さえるべき4つのポイント
旦那が嫌いで離婚したい!それを成功させる為の全手順をお教えします
【突然妻から離婚したいと言われたら】今すぐ確認すべき重大ポイントを解説
【妻が出て行った】離婚したくない方が別居中にすべきことを徹底解説
妻からの離婚請求を回避し、夫婦関係を修復させる為の確かな方法
未払い養育費を請求して全額回収!元夫の逃げ得を防ぐ手段を解説
養育費を継続的かつ確実に払わせる方法を徹底解説!
離婚のメリットとデメリットを徹底解説!間違いのない決断を導く