子供 連れ去り別居 親権

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連れ去り別居された子供を取り戻す!適切な方法を解説【親権確保】


子供の親権をめぐっては、度々つぎのような事態が起こっています。

 

離婚の話し合いをしている最中に、妻(夫)が急に子供を連れ去り、勝手に別居を始めてしまった…

 

子供と一緒に住んでいる親のほうが、親権争いに有利だと知った上での行動だろうけど、そんな勝手な行為は許せるわけない!

 

連れ去られた側の親は「今すぐわが子を取り戻したい!」と考えるのは当然です。しかし、その方法を間違えると親権を得るのが困難になります。 

 

ここでは子供の連れ去り別居と親権を解説。この記事を読めば、連れ去り別居の違法性の有無、子供を連れ去られた側の適切な対応法がわかります。

 

取り返しのつかない事態にならないためにも、迅速かつ適切な対処が必要です。

 

なお、親権に関する全般的なことは「裁判になっても親権者になれる人を詳しく解説!」で取り上げています。

 

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連れ去り別居した行為は違法だが…

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こちらの了承がないのに、子供を連れ去るような方法で別居されれば、「犯罪だから逮捕してもらう!」と思う方もいるでしょう。あるいは「違法行為をしたのだから、少なくても親権を決める審判や裁判では不利になるはず!」と信じてやまないですよね。

 

実際、連れ去り別居は、犯罪行為の問題とは別として「違法な連れ去りである」と基本的に解釈されています。違法と家庭裁判所が認めれば、連れ去り別居を行った側が、親権者として不適切と判断されることもあります。

 

ですが多くのケースでは、家庭裁判所の親権者指定において、大きく不利になることは少ないのが現状です。

 

特に、これまでに子供の養育を主に担っていた親が、子供を連れ出し場合は、不利となる要素は最小限です。

 

 

養育環境の維持が基本的な考え

主に養育していた親がその後も一緒に住み、引き続き養育することは、もう一方の親と一緒に住むよりも子供の利益に繋がる。

 

この環境を離婚に際し、変化させることは、子供の心理的負担を大きく負わすことになる。

 

よって子供の養育環境に大きな変化を与えず、現状のまま維持するほうが望ましい、との考え方を家庭裁判所は持っています。

 

現実に子供を監護している親が、親権者に指定される傾向があることを「現状維持の原則」と言います。

 

加えて、一般的に子供を主に養育しているのは母親です。裁判所は子供の年齢が幼ければ幼いほど、母親の愛情と監護が必要と考えています。

 

特に10歳未満の子供の親権を裁判所で争った場合は、特別な事情がないかぎり、母親を親権者に指定する傾向が強いです。

 

このような理由から、連れ去り別居をしたとしても、多くのケースでは、親権者指定でそこまで不利にはならないのが現状です。

 

 

連れ去り別居の対応が変わりつつある

子供を連れ去られた側にとっては、親権目的の子連れ別居は、到底納得できるものではありませんよね。

 

このことは今や社会問題化しています。加えて、日本が平成25年にバーク条約(国際的な子供の奪取の民事上の側面に関する条約)の締結を機に、裁判所の対応は変わりつつあります。

 

具体的には、子供連れの別居の状況や、それに至るいきさつ確認を以前よりもしっかり取り組むようになりました。

 

それではどのような連れ去り別居が、違法と考えられているかをお伝えします。

 

    • 子供が強く拒否しているのに強制的に連れだした
    • 保育所等から相手に無断で子供を連れだした
    • 日頃子供の世話を一切していないのに急に連れだした
    • 面会交流を機に、子供を監護親に引き渡さない…など

 

バーク条約の趣旨を鑑みれば、子供の生活基盤が急激に変化してしまう連れ去り別居の悪影響から子供を守るべきである。という考えかたが当然に導きだされます。 

 

よって通常の話し合いに全く支障がないのに、それを一切せずに急に連れ去り別居を強行する。この場合は、親権者として不適切と判断され、不利になる可能性もあります。

 

ただし一方の親が、子供や配偶者に対してDV行為がある場合は、突然の連れ去り別居でも違法とはされません。子供や配偶者の生命身体に危険がある状態だからです。

 

 

 

子供を連れさられた側の対応法

 

最近の連れ去り別居に対する考え方が変わりつつあるとはいえ、子供と別居状態が長くなるほど親権は明らかに不利になります。子供は同居親との精神的繋がりが強くなり、もう一方の親とは逆に弱くなるからです。

 

また子供を連れ出したときには、子供の生活基盤の急変による悪影響があっても、しばらく経つと子供は新しい生活基盤に慣れます。ですので、悪影響は徐々に払しょくされることに。

 

そうなれば、今後は再びその生活基盤を変えるべきか?が問題となります。別居期間が長期になるほど、当然ながら子供はさらにその生活環境に慣れます。 

 

別居期間が長くなるほど、同居親の監護状態に問題がなければ、その環境を再度変えることは子供の利益にならないと判断されるのです。結果、同居している側の親が親権者として有利になります。

 

たとえ別居前は親権者に選ばれる可能性が極めて高い場合でも、別居が続けば不利になってしまうのです。よって早急に子供を取り戻すことが必要ですが、その対応を警察に期待できるでしょうか。

 

 

警察の姿勢は消極的

そもそも連れ去り別居は「未成年者略取罪」の構成要件に該当する可能性がある行為です。

 

実際、親権者による未成年者略取誘拐罪成立を認めた判例もあります。(最高裁平17年12月6日)とはいえ、この案件は特殊な事例なのであくまで例外的なものです。

 

離婚前は相手にも親権があるため、子供の命や心身に危険がおよぶ恐れがない限り、警察はなかなか動きません。

 

期待できるとすれば、子供を連れ去った親と子供の安全が確認できない場合の確認協力です。しかし2人の安全確認さえできれば、警察は所在の確認まではしてくれません。

 

警察の姿勢としては、同居中の相手配偶者による子供の連れ出しは、家庭内の問題という理由で処理されてしまうのです。

 

 

無断で子供を取り戻すのはNG

「警察による対応が期待できないなら、自分で子供を取り戻してもいいのでは?」「先に相手が違法な連れ去り別居をしたのだから問題ないのでは?」という考えを持つことも当然あるでしょう。

 

結論から言うと避けるべきです。別居中の子供を勝手に連れ戻すことは、今後の家庭裁判所の親権や監護権の判断において、非常に不利な状態となるからです

 

家庭裁判所は、同居中の子供の連れ去り別居には甘いのですが、別居中の子供を取り戻す行為には非常に厳しい態度をとります。

 

法律の手続きを踏まずに、自力で権利を取り戻す「自力救済」を認めないのが裁判所のスタンス。

 

自力救済を認めると個々がおのおので実力行使をしてしまい、何でもありの状態となるので、社会秩序が保てなくなります。

 

加えて、実際に子供の連れ戻しをすると、相手もまた連れ戻しを行い、それが繰り返される可能性も。その間に挟まれる子供は、心身ともに多大な負担がかかります。

 

以上の理由から、自力で子供を取り戻す行為はすべきではありません。

 

連れ去り別居をされた側がすべきことは、裁判手続きによって子供を取り戻すことです。

 

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子供を取り戻す為の裁判手続き

子供を取り戻すための裁判手続きとしては、次のようなものがあります。

 

 

それでは個別に内容を取り上げます。

 

 

子の引き渡し調停

家庭裁判所内の調停委員という中立的第三者を間に挟んでの話し合いによって、子供の引き渡しを求めます。こちらに無断で子供を連れ去り別居する相手に対し、話し合いでの解決を求めるのは困難です。

 

また相手側が監護実績を作るために、わざと話し合いを長引かせる可能性も十分あるので、実現可能性は限りなく低いと言えます。

 

 

子の引き渡し審判

必須の手続きです。

 

子の引き渡し審判とは、家庭裁判所が相手配偶者に対して、子供の引き渡しを命令する審判をだしてもらう手続きです。

 

審判は、双方の主張と立証をつくされた上で判断されます。その際は調査官が、子供にできる限りの配慮しながら徹底した調査が行われます。

 

ただし、子供の引き渡し命令がでたとしても早くて1~2月です。ときには数カ月以上かかることも。加えてこの場合は、相手に不服がある場合は高等裁判所に即時抗告をすることができます。

 

もし相手が即時抗告した場合は、再度高等裁判所の審理を得なければならず、さらに時間が掛かります。

 

 

子の監護者の指定審判

必須の手続きです。

 

子の監護者の指定審判とは、離婚成立までの間、夫婦のどちらが子供を監護するかを家庭裁判所に決定してもらう手続きです。

 

「子の引き渡し審判」を申し立てするときは、「子の監護者の指定審判」も併せるのが原則であると言われています。

 

子供と一緒に暮らして世話などを行う監護権は、離婚が成立するまでは両親にあります。そして基本的には、夫婦が別居状態でも共同で監護権を行使します。

 

子の引き渡し審判でせっかく子供を取り戻しても、相手側に監護権がある状態では、いつ子供をまた連れ戻されるか分かりません。よって家庭裁判所から監護者指定された場合、相手側は監護権がない状態なので、子供を連れ去ると明らかな違法行為となります。

 

監護者を自分に指定してもらい、その後の監護状態に問題がなければ、そのまま親権者として指定される可能性は高くなります

 

 

子の引き渡し審判前の保全処分(仮の引き渡し)

お伝えした通り、子の引き渡し審判は時間がかかります。もしその間、相手と一緒に暮らす子供が適切な監護を受けられていない場合、子供の不利益は多大なるものとなります。

 

そこで併せて「子の引き渡し審判前の保全処分」の申し立てを行うことで、その事態を防ぐことが可能です。

 

子の引き渡し審判前の保全処分とは、子供の“仮”の引き渡しを求める手続きです。

 

ただし、審判または調停を申し立てている場合にだけ認められる手続きです。

 

 

人身保護請求

子供を取り戻す手段のひとつに人身保護請求があります。本来法律上の正当な手続によらずに、身体の自由を拘束されている者を保護するための制度です。

 

人身保護請求は、拘束が子供の福祉に明らかに反している場合に限り、認められます。

 

具体的には次のような状況です。

 

    • 相手の監護では子供の健康が損なわれている
    • 子供が違法な拘束を受け続けている
    • 子供に学校を行かせないなど、監護者として容認できない状況である

 

なお、この人身保護請求は弁護士を通じてのみ請求できます。

 

 

 

まとめ

今回は、子供の連れ去り別居と親権をテーマとして取り上げました。

 

相手が急に子供を連れ去り、勝手に別居を始めたとしても、子供を自力で取り戻してはいけません。その後の親権争いに大きく不利な状況となってしまいます。

 

やるべきことは家庭裁判所の手続きにより子供を取り戻すことです。今回お伝えした各裁判手続きは、相手の連れ去り別居を強行された後、できる限り早い申し立てが重要。

 

対応が遅くなるほど、子供の親権取得に大きな影響が出てしまい、可能性を閉ざしてしまいます。ですので、この事態になったときは、早急に弁護士に相談すべきです。

 

それでは最後までご覧頂きましてありがとうございました。まいみらいがお伝えしました。(私の離婚経緯などを載せたプロフィールはこちら

 

 

 

 

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