離婚を専門に扱う某法務事務所に勤める1児のシングルマザーが、離婚に関する役立つ知識を発信します。
婚姻生活を過ごしていくなかで、パートナーとの考え方や生活習慣などにズレが出てくることがあります。
そのようなズレがだんだんと嫌になり、最終的にはこの人と別れたいと思う方もいるでしょう。
でも、それと同時に「夫(妻)に浮気をされたり、暴力を振われた等、決定的な理由は特にないけど、離婚は出来るの?」
このような疑問が出てくるかと思います。
そこで今回は「決定的な理由はないが離婚は出来るのか?」をテーマとして取り上げます。
具体的には、決定的な理由がない場合において、相手に離婚に応じさせる方法などをお伝えします。
目次
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離婚理由は夫婦によって様々であり、次のようなケースもあります。
これらの離婚したい理由は、浮気や暴力等と違って、相手には特に非がありません。
このような、特に決定的な理由がない場合の離婚したい理由を、法律的に言うと「性格の不一致」と呼びます。
つまり「性格が合わない・価値観が違う」ということです。
実は、男女共通して一番多い離婚理由は「性格の不一致」です。
2017年の司法統計だと、離婚の申立理由を「性格の不一致」にしている割合は、次の表通りダントツの1位となっています。
申立人 | 総数 | 該当人数 | 割合 |
夫 | 17,918人 | 11,030人 | 61.6% |
妻 | 47,807人 | 18,846人 | 39.4% |
しかしこの中には、実は配偶者が浮気をしていたり、DVを受けたり、お金を浪費することが原因で離婚したいケースでも、
社会的な体裁を気にして「性格の不一致」を理由にする方も一定数いるようです。
従って「性格の不一致」だけが理由で離婚するケースは、実際の統計よりも少ないと言えます。
※ 離婚理由についての詳細は「あなたの離婚したい理由は裁判でも通用し、慰謝料もとれますか?」で取り上げています。
それでは次に、決定的な理由がない「性格の不一致」でも離婚は出来るか否かについてお伝えします。
上記のような、他人から見て「そんな理由で離婚するの!?」と思う内容であっても、夫婦が”合意”さえ出来れば離婚は可能です。
しかし実際は、このような極端な理由は当然、特にこれといった理由がない場合は、相手の離婚同意を得ることは難しいでしょう。
離婚を請求される側からすれば、自身に非があるわけでは無いので「離婚だなんて到底納得できない!」と思うからです。
夫婦の合意を必要とする協議離婚が難しいなら、次は離婚調停で離婚を求めることになります。
しかし離婚調停も、離婚には夫婦の合意が必要な為、状況は基本的に変わりませんが、次のことをすれば離婚できる可能性があります。
離婚できればその他は多くを望まない姿勢で、離婚調停のサポートを弁護士に依頼することです。
弁護士にサポートを依頼すれば、多額の費用が必要となります。
多額の費用を掛けてまでも、弁護士をつけて離婚を望んでいることで、仲裁的な役割を持つ調停委員は次のように思います。
「この方の離婚したい気持ちは揺るぎないから、相手は離婚を望まないとしても、いずれ離婚になるだろう」
このように思い、離婚を拒否する相手方に対し、離婚に応じるように説得にかかるので、相手から離婚同意を得られやすくなります。
とはいえ、調停委員によるこの様な説得には強制力がない為、相手が応じなければ離婚調停は不成立となります。
そうなれば最終的には裁判となりますが、裁判をすれば離婚を認めてもらえるのでしょうか?
裁判で離婚判決を出してもらえれば、相手がどれだけ離婚を拒否しようが、強制的に離婚を成立させることが出来ます。
それでは、離婚が認められる可能性がある主な理由は次の通りです。
これ以外でも「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当すれば離婚は可能です。
「婚姻を継続し難い重大な事由」とは、夫婦生活が修復出来ない程破綻し、共同生活を送ることがこれ以上無理な状態をいいます。
それだと「性格の不一致」は「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当するのでは?と思う方もいるかと思います。
しかし、単に「性格が合わない」というだけでは該当せず、離婚は出来ません。
なぜなら「性格が合わない」というのは、どちらが悪いかをハッキリと判断出来るものではないからです。
離婚が認められる為には「性格の不一致」に加えて、次のような理由が求められます。
このように複合的な理由を合わせて、夫婦関係が修復出来ない程に破綻していると認めてもらう必要があるのです。
※ 裁判で認められる離婚理由の詳細などは「あなたの離婚したい理由は裁判でも通用し、慰謝料もとれますか?」で取り上げています。
ここまでご覧頂いた方の中には、次のような考えを持たれることもあるでしょう。
確かに、別居状態が続いたことで、婚姻関係が破綻していると認められた判例が実際にあります。
そこで実際に気になるのは、別居期間をどれだけ置けば、離婚が認められるのか?だと思います。
しかしながら、「○年別居すれば離婚が出来る」等の明確な基準というのは存在しません。
ただ、ひとつの目安になるものがあります。
このなかで「別居が5年以上継続している場合」が離婚原因にプラスされています。
それにより「5年別居が継続した状況なら、離婚を認めても構わないのでは?」というのが、実務上の考え方としてあるのです。
しかし、この5年の別居期間は絶対的な基準ではなく、あくまで目安のひとつです。
別居期間以外にも同居期間との対比や、その他の事情も考慮される為、この期間を過信し別居しても、裁判で離婚判決が出るとは限らないのです。
※ 別居と離婚に関する詳細は「離婚を視野に別居を考えている方が失敗しない為に知っておくべきこと」で取り上げています。
まとめると、離婚したい理由が「性格の不一致」だけだと、裁判で認めてもらえる可能性はゼロに近いです。
また先ほどお伝えした通り、別居を選択しても、5年間別居して可能性が出てくる程度で、認められない可能性も十分あります。
加えて5年以上という年月は長すぎて、とても待ってられないと思う方もいるかと思います。
そうなれば、やはり相手に離婚の同意してもらう他ありません。
相手に非がないほど、こちらが離婚を求めることについて、共感は得られ辛いもの。
子供から親、兄弟、親戚、もしくは友達さえも、あらゆる人を敵にまわすような労力が必要です。
されど、人生はたった一度きり。
離婚の向こうに明るい未来が見えるなら、批判を覚悟の上、何としてでも離婚し、新たな人生を歩みたいと思うでしょう。
であれば、覚悟を決め、兎にも角にも、相手にどうすれば離婚に応じてもらえるか等の戦略を持って、根気よく離婚を求め続けることが求められます。
最後に、離婚を拒む相手から離婚同意を得る為のひとつの方法をお伝えします。
それは「解決金」を相手に支払うことです。
この場面での解決金とは、離婚を望む側が、離婚を拒む相手から離婚の同意を得る為に、法的には本来支払う必要がない金銭のことを言います。
解決金は、相手に決定的な離婚理由がない時に、協議離婚などで利用されることがしばしばあります。
言葉は悪いですが、離婚をお金で買うのです。
相手が望む解決金を用意するのが難しい場合は、財産分与の分与割合を相手の方に多くすることで、相手の同意を得る方法も考えられます。
※ 解決金についての詳細は「夫からの離婚の解決金を提示されたならコレでしっかり確認しましょう」で取り上げています。
今回は「決定的な理由はないが離婚は出来るのか?」をテーマとして取り上げました。
離婚したい決定的な理由がない、つまり性格の不一致という理由だけでは、裁判をしても離婚は限りなく不可能に近いです。
別居という方法もありますが、どれだけの年月が経てば離婚が出来るかという確信が持てません。
結局、決定的な理由が無いがそれでも離婚を望む場合は、覚悟と戦略を持って、相手に辛抱強く離婚を求めることです。
それでは最後までご覧頂きありがとうございました。
まいみらいがお伝えしました。(私の離婚経緯などを載せたプロフィールはこちら)
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