離婚を専門に扱う某法務事務所に勤める1児のシングルマザーが、離婚に関する役立つ知識を発信します。
こんにちは、まいみらいです。
離婚の話し合いに際して、子供の親権はどちらが持つのかで長く揉めている。
そんな時、親権者は父親で、子供を実際に育てる監護権は母親という様に、親権者と監護権者に分けられることを知ったので、この方法で合意させようと考えている。
このような方もいるかもしれませんが、この方法には大きなリスクが潜んできますよ。
そこで今回は、親権と監護権を分けること考えている方が、必ず知っておくべきことを取り上げますね。
親権と監護権を分けることによるトラブルを未然に防ぐ為にも、親権を分けようとお考えなら確認しておくべき内容です。
親権は大きく分けると「身上監護権」と「財産管理権」の2つの内容で構成されています。
通常は、親権者がその両方を行使します。
しかし場合によっては、親権から身上監護権を切り離して、監護権者を決めることもあります。
つまり財産管理権の権限のみを持つ親権者と、身上監護権の権限のみを持つ監護権者を別々に設定し、子供を育てていくことになります。
この場合の親権者と監護権者の役割についてお伝えします。
監護権者を切り離した場合の親権者は以下のことをの利・義務を行使します。
子供名義の預貯金などの管理をする財産管理権。
未成年の子供の携帯電話の契約、アルバイトの労働契約など、子供を代理して契約を結ぶ法定代理権。
監護権のみを持つ親は、子供と一緒に住み日常的に世話と教育を行うことになります。
他にも、親が子供の居所を指定できる「居所指定権」、子供に対してしつけをする「懲戒権」
子供の就業を許可したり、取り消しや制限をすることができる「職業許可権」を持ちます。
監護権者を設定することを考えられるケースは以下の通りです。
でも父親として親権は絶対に譲れない。
そこで子供に手が掛るの間は母親を監護権者にして、しばらくは母親の元で育てる。
でも5歳の子供には母親が必要だと思うので、母親が引き取って育てたい。
不安定な家庭環境が続いている為、子供の情緒が少し乱れてきているので、父親を親権者、母親を監護権者にして解決させたい。
親権と監護権を分離させることに対するメリットやデメリットをお伝えします。
基本的にはデメリットの要素の方が多くあります。
では個別に見てみましょう
離婚時の親権を揉めた場合はお互いが非常に激しく争います。
お互いが一歩も引かず、いつまでも離婚が成立しない場合もあります。
この場合に親権と監護権を分けて、父親と母親がいずれも権利者となることで、お互いが妥協して離婚が成立することもあります。
また、この形をとることで、父親・母親が子供との関係を遮断することなく、関係性を持ち続けることが可能となります。
つまり、子供と離れて暮らす側の親と子の関係が維持し易くなるということです。
監護権だけでは、子供の法律行為の代理人になれない為、子供と一緒に暮らす中で、色々と不都合な点が出てくる場面があります。
例えば、親権者を父親とし、監護権者を母親とした場合の戸籍や名字についてです。
この場合、子供は父親の戸籍に残りますが、一方で、離婚後実際に子供の世話をするのは母親となります。
そして離婚後に母親が旧姓に戻った場合に、子供を母親と同じ名字に変更し、同じ戸籍にするには家庭裁判所に「子の氏の変更許可」を申立てる必要があるのです。
この時、子供が15歳未満なら「身上監護権」だけの母親では申立てをすることは出来ません。
法定代理人つまり「財産管理権」の権限を持つ父親に申立てをしてもらいます。
もし父親が申立てを拒んだ場合に、子供は母親の姓を名乗ることが出来ずに不都合なことなります。
他にも親権者の同意が必要となる行為は、次の通りたくさんあります。
監護権者が再婚することで新たなトラブルを招く恐れもあります。
たとえば、監護権者である母親が再婚した場合に、子供と再婚相手を養子縁組させる為には、同じく「財産管理権」の権限を持っている父親の同意が必要です。
ここで父親が「子供が再婚相手の息子になるのは絶対反対だ!」等と拒否し、深刻な事態となるケースもあります。
なおこの場合、子供が15歳以上であれば単独で養子縁組できます。
親権を分けることで、この様なトラブルが抱えるリスクをはらんでいます。
ですので、親権と監護権を分けることに積極的な必要性が認められる場合や、やむを得ない事情がある場合に限定されるべきです。
そして何よりも大事なのは、離婚後も親同士が一定の信頼関係を築けることであり、それが無理なら分けるべきではありません。
次に親権者と監護権者を分ける手続きについて取り上げます。
まずは夫婦で、親権者と監護者を分けることについて話し合いをします。
ここで争いが生じて話がまとまらない場合は、家庭裁判所に離婚調停の申し立てを行い、その場で分離の協議をする流れになります。
離婚調停でも合意出来ない場合は、離婚裁判を提起することになります。
親権者を定めないと離婚は認められない為、裁判では親権者を決定しますが、親権者と監護権者を分ける判決はしません。
この場合においても、どうしても分けたいときは、再度話し合いをするか、調停を申し立てる他ありません。
父母のどちらか一方が親権者になったとしても、経済的、健康上などのやむを得ない理由があり、父親も母親も子供の監護ができない場合もあります。
この場合、夫婦のどちらを親権者に決めた上で、祖父母や親戚、児童福祉施設長などの第三者を監護権者にすることが可能です。
監護権者については、父親と母親の話し合いで変更することができます。
話し合いで成立しなかった場合は、家庭裁判所に対して、調停・審判を申し立てる流れとなります。
子供の利益の為に必要があると認められた場合、変更・取消ができます。
親権者と監護権者を分けて、協議離婚することになった場合の注意点についてお伝えします。
離婚届には親権者の記載の欄はありますが、監護権者の欄はありません。
その為、監護権者の取決めを口約束だけで済ませると、後から相手方より「監護権を譲るなんて言っていない!」と約束を反故される恐れがあります。
この様なトラブルとならないように、必ず監護権者を設定した旨を明記した離婚協議書(公正証書)を作成し、証拠を残すようにしましょう。
親権者は監護権者に対して養育費を支払う義務があります。
養育費とは言葉通り、子供の養育に掛かるお金のことです。
子供を監護・養育している側の監護権者が、子供と離れて過ごす側の親(この場合は親権者)に請求します。
監護権者となる側とすれば、養育費は離婚後の生活を安定させる為の大切なお金となります。
よって、監護権者の設定と共に養育費の取り決めをする場合は、養育費不払いの際に強制執行が可能な「離婚公正証書」を作成すべきです。
※離婚公正証書についての詳細は「離婚協議書を公正証書にすることで効力は絶大となります」で取り上げています。
実際に子供の世話をしていく監護権者とすれば、親権がなくても児童扶養手当を受給できるか気になりますよね。
専業主婦だった方は特にそうだと思います。
結論からお伝えすると、監護権者であっても児童扶養手当は問題なく支給されます。
児童扶養手当は、子供を監護している親に支給されるものだからです。
申請時の際は戸籍謄本や住民票が必要となります。
もし監護権者と子供の戸籍が別々であれば2通必要となります。
また監護権者であることは、戸籍には載っていない為、やはりこの場面においても離婚協議書(公正証書)の作成が必要です。
作成しておかなければ、いざという時に監護権を主張できずに、受給できないトラブルとなる恐れがあります。
今回は、親権と監護権を分けることを考えている方が、必ず知っておくべきことを取り上げました。
基本的には、親権と監護権を分けないほうが望ましいです。
どうしても分ける場合は、親同士がある一定の信頼関係を築き、保ち続けることが絶対条件ですよ。
それでは最後までご覧頂きましてありがとうございました。
まいみらいがお伝えしました。(私の離婚経緯などを載せたプロフィールはこちら)
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