離婚を専門に扱う某法務事務所に勤める1児のシングルマザーが、離婚に関する役立つ知識を発信します。
こんにちは、まいみらいです。
養育費の権利者、または義務者が再婚するケースはよくあります。
義務者の側とすれば、元妻が再婚し子供も一緒に再婚相手と暮らしているならば、養育費は打ち切りたい等と思う方は多いでしょう。
一方、権利者の側である元妻とすれば、離婚時に決めた養育費を引き続き受け取りたいと思う方もなかにはいるかと思います。
ということで今回は、離婚時に取り決めた子供の養育費はどうなるのかを、権利者の再婚と義務者の再婚に分けて取り上げますね。
多数派である養育費の支払い義務者は父親、権利者は母親の設定でお伝えします。
目次
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離婚時の取決めで、養育費は子供が20歳になるまで毎月4万円の支払いをする約束をしたとします。
父親は生活が苦しいながらも子供の為だと思い合意。
ところが、離婚から数年が経った頃に母親が再婚し、母親は子供と一緒に新たな夫と暮らし始めた。
そのことを知った夫はおそらく次のように思うでしょう。
「気持ち的には、元嫁が再婚し経済的にも安定した以上、払いたくないから終わらせたい、少なくとも減額させたい!」
ではそれが法律的に可能であるかを見てみましょう。
養育費の免除や減額などの変更については、民法880条に次のような規定されています。
扶養をすべき者若しくは扶養を受けるべき者の順序又は扶養の程度若しくは方法について協議又は審判があった後“事情に変更を生じたとき”は、家庭裁判所は、その協議又は審判の変更又は取消しをすることができる。
つまりこの条文は、「事情の変更」が生じた場合は、養育費の免除や減額が可能だということを示しています。
事情の変更の主な例は、収入の減少、支払い義務者が障害を持って働けなくなったことなどが挙げられます。
そして「元妻の再婚」もこの事情の変更に該当します。
しかし元妻の再婚事実のみによって、養育費を免除や減額できるわけではありません。
再婚を理由に養育費を免除や減額させるのに必要な要件は、
子供が元嫁の再婚相手である新しい夫と“養子縁組”をしていることです。
養子縁組すると新しい父親と子供の間には、親子と同一の関係が生じる法的効果があります。
よって第一次的に子供を扶養する義務は、新しい父親(養父)と母親(元嫁)となるのです。
しかし再婚相手の収入が低いなど、新しい父親と母親の経済力では子供を養うことができない。
というような場合は第二次的な扶養義務者である実親が、従来通り子供を養う義務があり、養育費を引き続き支払うことになります。
つまり養父に経済力があり、子供を養っていけるのであれば、実父は養育の免除や減額を元嫁に請求することが可能です。
子供の養父に十分な経済力があるのにもかかわらず、元嫁が養育費の免除や減額に応じないことがあります。
その場合は家庭裁判所に、養育費の免除や減額を求める調停を申し立てることになります。
調停の場では、中立的・公平な立場である調停委員を交えて、相手の再婚後の養育費について話し合いをします。
もし話し合いを重ねても合意する見込みがない場合は、調停は不成立となり、裁判官が養育費を決める審判へと移ります。
※養育費の減額調停などに関する詳細は「養育費減額・増額調停で望む結果を得る為のポイントと必要書類を解説」で取り上げています。
養育費を払い続けている父親とすれば、養育費の減額等を求めるかは別として、元嫁が再婚したならばその旨を報告してほしいと思うでしょう。
実際に、元嫁は再婚した場合の報告義務は法律上あるのでしょうか?
結論は、離婚協議書などの書面で再婚の報告をすることを取り決めていなければ、相手は報告する義務はありません。(双方ともに)
なお、その場合でも相手の戸籍をとることで再婚や養子縁組の有無が分かります。
ただし、基本的には離婚した元夫が元妻の戸籍をとることは原則できない為、弁護士などに依頼する必要があります。
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たとえ家庭裁判所で養育費の免除が認められたとしても、実父の養育費支払い義務自体がなくなるわけではないのです。
場合によっては、実父が養育費の支払いを再開しなければならないこともあります。
たとえば次のようなケースです。
再婚相手との婚姻生活もうまくいかず離婚することになった。
離婚することで、大方の養父は子供との養子縁組を解消します。
養子縁組を解消することで親子関係は無くなるので、養父の子供に対する扶養義務はなくなります。
ですので、養父からの養育費の支払いはありません。
その結果、再び実父が第一次的な扶養義務者となるので、もう一度養育費を支払う必要がでてくるのです。
たとえ再婚相手と元妻が離婚しなくても、次のような場合は実父が養育費の支払いを再開しなければなりません。
それは再婚相手の収入が大きく減るなど、家庭の経済状況が悪化して子供に満足な養育の環境を与えられない場合などです。
この場合は第二次的な扶養義務者である実父が、不足する分の養育費を支払う義務が発生します。
再婚は何も母親側だけではなく、養育費の支払い義務者である父親側がすることも当然あるでしょう。
再婚するとその相手との間に子供ができるなど、扶養する人数が増える場合があります。
扶養する人数が増えることで家庭の生活費が今まで以上に膨らむことになります。
そのことで、今まで払い続けてきた子供の養育費が捻出するのが困難になることも。
このような場合は、相手に養育費の減額を求めることはできるのでしょうか?
父親の現状の経済力で「父親の家庭の生活費+子供の養育費」を捻出することが困難であれば、事情の変更に該当します。
ですので養育費の減額請求は可能です。
しかし、相手(元妻)は養育費の減免請求を素直に同意してくれるでしょうか?
おそらく交渉は難航します。
なぜなら、再婚し新たに子供を作るかどうか、子供がいる相手と再婚するかどうかは、全て元夫の判断で行っているからです。
私も元夫から養育費をもらうシングルマザーですが、もし元夫がこれらの理由で養育費の減額等を求めれば次のような怒りを覚えます。
「養育費が払えないなら、子供を作らなければいいじゃない!!」
このように思うのは私だけではないと思います。
元妻が養育費の減額を拒んでも、最終的には家庭裁判所の審判などで減額を認めてもらえるかもしれません。
しかし元妻が納得していないのに、裁判所の力で無理やりに養育費を減額すれば、当然ながら元妻はさらに怒ります。
このような強引なやり方に怒りを覚えた元妻は、今まで認めてきた父親と子供の面会交流を拒絶するかもしれません。
それに加え、子供に対して「あなたの父親はとんでもない人だ!」と教えることも。
このことで子供が父親に対して嫌悪感を持ってしまい、良好だった親子関係にヒビが入るかもれません。
ですので、父親が再婚したことによる養育費の減額を求める際は、このようなを考慮しなければなりません。
実際に減額請求を相手にする際は、「どうかお願いします」という低姿勢は絶対に必要です。
最悪なのは「今の家庭の状況は、法律的に養育費を減額できる事情にあるので金額を減らしてほしい」と法律論を振りかざすこと。
元妻は「ふざけないで!そんなの絶対に応じないから」と激怒し、態度をより硬化させます。
適切な方法としては、再婚後の生活がいかに苦しいかを理解してもらう為に、誠実に丁寧に説明することが求められます。
そして減額に応じてもらえたのなら、もう二度と養育費を減額請求することはないと強く約束することが大切。
なぜなら、相手側とすれば「今回の減額に応じても、再び減額してほしいと言ってくるのでは?」などの不安を持っている為です。
子供の養育費の減額などの協議をした結果、相手がそのことに応じた場合はその旨を書面に残すことです。
しっかりと書面化にして証拠を残さないと、言った言わないで揉める可能性があります。
また公正証書や調停調書で、離婚時の養育費の取り決めを残している場合もあるでしょう。
その場合はなるべく「公正証書」にて養育費の減額に合意したことを残すようにしましょう。
なぜなら、公正証書でない私文書で合意の書面を作成しても、法的には減額される前の養育費が有効だからです。
つまり、私文書では減額の効果が正式には生じないのです。
ということは、減額後の養育費を払っていると実質的に不足していることになりますので、強制執行されてしまう恐れがあります。
合意書だと無効になるというわけではなく、実際に強制執行された場合は合意書を用いて異議申し立てをすることは可能です。
しかし相手がその合意書の内容を争った場合は、不確実性が増します。
よって信用力が高い公正証書で減額の同意を残すのが最も安心です。
また公正証書の作成にかかる費用は、減額をお願いする立場であるこちら側で持つことです。
ここで折半と言うと、こちら側の誠意を感じてもらえずに、やっぱり減額には応じられないと拒否されてしまうからです。
今回は再婚で離婚時に取り決めた子供の養育費はどうなるのかを、権利者の再婚と義務者の再婚に分けて取り上げました。
再婚にまつわる養育費でお悩みの方の参考になれば幸いです。
再婚後の養育費でよくトラブルになるのが、やはり父親側の再婚を要因とする減額請求です。
減額を求められた元嫁は怒りを覚えるので、なかなか素直に減額に応じてもらえません。
減額に応じてもらう為には、こちらが真摯な態度で丁寧に説明することが何よりも大事です。
それでは最後までご覧頂きありがとうございました。
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