離婚を専門に扱う某法務事務所に勤める1児のシングルマザーが、離婚に関する役立つ知識を発信します。
こんにちは、まいみらいです。
婚姻生活を送っていると、嫁姑との関係が問題になることがあります。
俗にいう「嫁姑問題」
特に姑と同居している、同居ではないが姑が近くに住んでいる場合は、この問題を抱えていることが多くあります。
たとえば、常に姑から嫌味などを言われ続けて、逃げ場がないことで精神的に参ってしまい、離婚を考えるといったケースなどです。
そこで今回は嫁姑問題と離婚をテーマとして取り上げます。
大きくは次の3つのことをお伝えします。
嫁姑問題の解決のヒントとなる内容になっています。
目次
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嫁姑問題とはその言葉通り、嫁と姑の間に起こる問題のこと。
単発的に起こる問題ではなく、嫁と姑の日常的な不仲や紛争を指して言われることが多いです。
どの様な内容の問題かについては、大まかに分けると次の2つのケースとなります。
具体的な例をいくつか挙げると、次の様な言動などが該当します
「あなたの料理は全て味が濃い。センスがない」
「そんな接し方をしているから、子供がわがままを言うのよ」
「息子の帰宅が遅いのは、あなたが至らないから居心地が悪いのよ」
「今日の晩御飯は、あなたは昨日の残り物だけを食べていなさい」・・・などなど
傾向的には支配願望が強いタイプの姑が、自分の思い通りにならない対応を嫁がした時、この様な言動などで嫌がらせしてきます。
この様な姑から妻に対しての言動が常日頃から行われることで、家の中の環境や人間関係が徐々に壊れていきます。
加えて、単純に「姑が許せない」のみではなく、
とりわけ夫がこの問題に無関心で嫁姑問題を解決しようとしない時は、最終的に離婚となることも。
これが、嫁姑問題が離婚問題へ発展する典型的なパターンと言えます。
嫁の立場とすれば夫が何もしてくれないなら、この先もずっと姑に嫌がらせをされて苦痛な思いをしなければならない。
そんな人生を送るのは絶対に嫌だから離婚したい!という気持ちになるのは当然ですよね。
嫁姑問題で苦しんいるのは私だけで、他の夫婦はあまり関係のない話だろう・・・と思う方もいるかもしれません。
しかし世の一定数の妻は、この苦しみを抱えていることが分かるデータがあります。
平成29年度の司法統計の中の、離婚調停等の「申し立ての動機別割合」を見てみましょう。
妻側から離婚したい動機(理由)として、嫁姑問題に該当する「家族親族と折り合いが悪い」は全体の9位(6%)となっています。
ですので、嫁姑問題は昔の事ではなく今も根強いものです。
これまで姑からたくさんの暴言や嫌がらせなどで、不快な思いをされ続けている。
夫にそのことを伝えるとなると、やはり自分の母親のことだから気分を害するだろう、と思い耐え続けたけど我慢の限界・・・
でも夫との関係は何ら問題がないし、子供の為にも離婚したくはない!という場合はどうすべきか?
離婚は妻と夫の問題で嫁と姑がするわけではない為、まずは夫に姑との関係に悩んでいることを相談し、対処をしてもらうことです。
対処法とすれば、夫から姑に注意してもらうことで嫁いびりが収まる場合があります。
それでも姑の態度が変わらないならば、姑と同居している場合は同居を解消して、夫婦が同居先から遠く離れた場所に引っ越すのも有効です。
姑と同居はしていないが、姑が近くに住んでいる場合も同様です。
この対処をすることで、妻と姑の関係はより悪化する可能性がありますが、一番大事なのは自分の家庭です。
確かに妻と姑は、法律上は親族ですが、酷い仕打ちを受け続ければ、もはや赤の他人と思うのも仕方ありません。
なかには、次の様なことを夫に伝える方もいます。
「これ以上、嫌がらせなどを我慢すれば私の精神がやられてしまう。だから冠婚葬祭における嫁の最低限として役目は果たします。」
「あなたがお母さんと会ったり、大切にするのは自分の親だから、そこに関しては何も言わないけど、私はもう関わらない」
ここまで突き放すことが適切か否は置いておいて、夫婦に子供がいる場合、離婚は最終的な手段でなければなりません。
両親の離婚による子供へのマイナスの影響は大きいものであり、子供の人生を狂わす恐れがあると言っても過言ではありません。
ましてや、夫婦の関係が良好であるのであれば、なおさら離婚することには意味がありません。
これらの対処法は夫の理解を得ることが前提ですが、何もせずに離婚となるのであればやるべきだと私は思います。
※両親の離婚が子供に与える影響の詳細は「離婚が子供に与える影響【子供の心理に着目】必ずご確認ください」で取り上げています。
離婚回避の為の対策をしたが、姑の嫁いびりは一向に収まらない、またはより酷くなった場合などは離婚を決断する流れとなります。
ここで問題となるのが、嫁姑問題が原因でも離婚はできるのか?についてです。
原則として、協議離婚や調停離婚の段階では、夫と妻が離婚することに「合意」さえできれば、どんな理由であれ離婚は可能です。
ですので、まずは夫との離婚合意を得ることから始めることです。
しかし、夫の合意を得られず協議離婚、調停離婚が成立しない場合は、裁判を起こして離婚を求めることになります。
裁判で離婚が認められる為には、「法定上の離婚原因」が必要です。
法定上の離婚原因は民法770条1項に定められており、次の5つがそれにあたります。
姑による嫁いびりは1~4には該当しない為、5の「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当するかがポイントとなります。
具体的には「姑との不和によって、夫婦関係が修復できないまでに破綻している」場合に離婚が認められます。
離婚裁判の場合、夫婦の意思とは関係無しで裁判所が強制的に離婚を決定します。
一般的に、婚姻を継続し難い重大な事由があると認められるには、夫婦間に問題があることが前提であり、夫の母親との紛争は該当しないと考えられています。
よって「姑からいつも嫌がらせを受けている」「性格が合わない」など、単純に嫁と姑の間が不仲だという理由では離婚は認められません。
その為、離婚裁判では離婚が認められにくいのが現状です。
裁判で離婚が認められる為には「夫の対応」がどうであったか?が重要となります。
嫁姑問題は家庭の問題であり、夫は嫁と姑の間に入って仲裁する責任があります。
さらに深堀すれば、姑の妻に対する嫁いびりが酷い場合は、妻を姑から保護する義務があり、それをしない場合は離婚原因を構成するというものです。
この考えから、夫は嫁いびりなどを行う自分の母親に対し「もう少し優しく接してやれないのか」と忠告する。
また嫁に対しては「あんな母親だから君にはいつも苦労させてばかりで申し訳ない」といったフォローをしている。
この様な夫の仲裁やフォローがあるなら、妻が姑との関係を理由に離婚を求めても離婚は認められにくいでしょう。
反対に、妻が夫に姑のことで相談しても全く取り合わず、むしろ母親の方の肩を持ってしまう場合もあります。
この様な夫の対応は、夫婦の平穏な家庭環境を維持させる為の協力義務を怠っている為、妻は夫に対して強い不信感が出てきます。
そのことが原因で、夫と妻との間に婚姻を継続していけない大きな問題となり、離婚事由となることがあります。
この他にも、姑との不和が原因で夫との関係も破綻した場合も、婚姻を継続し難い事由に該当する可能性があります。
たとえば、嫁が姑の執拗な暴言や嫌がらせに耐え切れなくなり、実家に戻ってしまい、別居の状態が長期間に渡り続いている。
そのことで、夫も妻との関係修復をさせる意思を失っているケースであり、実際にもこれが多いのではないかと思います。
嫁と姑の間の不和が深刻なると、姑が「息子の跡取りである孫をあんな嫁には育てさせられない」と考えを持つことがあります。
その時、離婚を視野に入れて別居する場合は、この段階から適切な対応をしておかないと、夫側に親権を取られる恐れがあります。
適切な対応とは、端的に言えば子供を連れて別居をすることです。
子供を残して別居した場合、子供は夫と姑の元で過ごすことになり、その環境が安定しているなら、その環境を維持するのが望ましいと裁判所は判断するからです。
※子供の親権についての詳細は「裁判になっても親権者になれる人を詳しく解説!」で取り上げています。
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実際に、嫁姑問題に関する離婚請求が認められた事例を3つ紹介いたします。
この3つの事例に共通して言えることは、やはり夫が積極的に家庭内の円満を取り戻すように努力する態度が見られない点です。
一緒に暮らす姑が嫁に対して
「あんたは太っていて大丈夫と思ったが豚肥で取り柄がない」
「嫁は食べろと言われても遠慮するもんだ」
また嫁の両親に対しても
「茶碗は悪し、地味な女で新婚らしくない、相返答も出来ない、何一つとして取り得の無い出来の悪い嫁だ。」
「何をやらせても遅い」
などと再三にわたって悪く罵倒し、干渉し、夫もこれを抑制するどころか、母に同調。
挙句の果て、嫁の両親を呼びつけて親族ともども一方的に非難していた。
嫁は実家に戻り、最終的に夫婦の双方から離婚裁判を提起。
裁判所は、夫と姑のこの所為は婚姻を継続しがたい重大な事由にあたるとし、離婚を認めました。
夫の両親と妻とが不和となり、婚姻から約半年で夫婦が別居し、妻が離婚を請求した事例。
婚姻関係が円満ではなくなった原因は、夫の両親と妻との不和であるが、夫はその不和について無関心、かつ家庭内の円満を取り戻す努力をしなかった。
そればかりか、婚姻関係を維持する意思さえもないと認められるため、婚姻関係を継続し難い重大な事由があたるとし、離婚を認めました。
一緒に暮らす夫の両親が妻に対して
「ご飯を食べるときの口の開け方が悪い」
「箸の持ち方が悪い」
「掃除の仕方が悪い」
などと言ったり、清掃中に雑巾を投げつけられるといった、徹底的な嫁いびりを日々受けていた。
そこで妻が夫に相談したものの、夫は無関心で何もしないことから、その後夫婦は別居し、妻から離婚を請求。
裁判所は、婚姻を継続し難い重大な事由があたるとし、離婚を認めました。
次に、離婚請求が認めれらなかった事例についても2つ紹介します。
この2つの事例に共通して言えることは、夫の方から離婚請求をしたという点です。
姑の嫁いびりによって妻がうつ病となり、夫と別居状態となった為、夫が離婚を請求した事例。
特筆すべきは次の2点。
別居前、妻は夫に関しては、大きな不満はなく円満な夫婦関係であったこと。
妻は夫婦関係の修復に強い意欲を持ち、うつ病の治療を続けていること。
裁判所は、妻のうつ病が治癒し、またはうつ病につき夫の理解が深まれば、婚姻関係の改善も期待できる。
そのことから、婚姻関係は破綻していないと判断し、離婚を認めませんでした。
姑の嫁いびり、嫁を追い出すなどの言動に夫が加担し、その後に夫が離婚請求した事例。
裁判所は、姑の嫁いびりに加担した夫は「有責配偶者」にあたるとしました。
有責配偶者とは、自分から婚姻関係を破綻させ離婚原因を作った側の配偶者のことをいいます。
加えて、夫婦間には未成熟子もいることから、離婚させた後の妻の生活は、現在より過酷になることが十分に予測できる。
このことから、夫から妻に対する離婚請求は許されるべきでないとして、夫からの離婚請求を認めませんでした。
最後に嫁から姑への慰謝料が認められるか否かについてです。
「めちゃくちゃ辛い思いをした挙句、離婚となったのだから、姑に慰謝料を払ってもらわない気が済まない!」と思うのは当然のこと。
しかし姑への慰謝料請求は、極端な場合じゃないと認められない傾向であり、通常の嫁いびり程度であれば困難です。
というのも、離婚となった原因が嫁姑問題だとしても離婚は夫婦間の問題です。
ですから、嫁いびりを理由に慰謝料の請求が認められるには、社会通念上不相当な行為を受けたときに限ります。
例えば、次のような理由であれば慰謝料が認められる可能性があります。
いずれも度を過ぎている行為です。
ですので姑の一般的な嫁いびりを理由に、裁判所から慰謝料を認めてもらうのはハードルが高いといえます。
なお、先ほど「離婚が認められた事例」の欄でお伝えした名古屋地裁一宮支部判決(昭53年5月26日)については、
夫と母の両名は、嫁に対するいびりにより、夫婦共同生活を破壊に導いたものとし不法行為の責任を免れないと判断。
その結果、慰謝料「200万円」の支払いを命じました。
姑の嫁いびりに対する慰謝料を請求するのであれば、姑の故意または過失により、権利を侵害されたことを証明しなければなりません。
嫁いびりをされた事の証拠を押さえる共に、それにより離婚に至ったという関連性を主張しなければなりません。
証拠としては、姑から罵倒されている音声記録や日記。
暴力を受けたのなら医師の診断書や傷やあざとなった部分の写真などです。
証拠になりそうだと思うものは全て取るようにしましょう。
1つだけは証拠としては弱いが、複数の証拠を組み合わせることで、有効な証拠となることも多いからです。
できる限り多くの証拠を揃えれば、裁判外でも慰謝料の請求に応じる可能性は十分あります。
特に姑が田舎に住んでいる場合は、裁判となり近所の噂になることを避ける傾向が強いので、応じる可能性は通常より高いです。
姑の一般的な嫁いびりでは慰謝料を請求することは困難だとお伝えしました。
しかし裁判外で離婚するならば、場合によっては「解決金」という名目の金銭を請求することで、慰謝料に変わる金銭を受け取れる可能性があります。
具体的には、嫁姑問題により夫が板挟みになってしまい、その状態に嫌気がさして妻に離婚を求めてきたとします。
この時に、夫からの解決金の支払いと引き換えに、離婚に応じるという方法が考えられます。
※解決金についての詳細は「夫からの離婚の解決金を提示されたならコレでしっかり確認しましょう」で取り上げています。
今回は嫁姑問題と離婚をテーマとして取り上げました。
嫁姑問題が原因で離婚を求めるなら、夫婦間での協議または離婚調停の段階で合意を取り付けることです。
裁判になると、姑による一般的な嫁いびりを理由に離婚を求めても、難しいと言わざるを得ません。
ただし、夫が嫁姑問題に無関心な対応を取っているのなら、離婚できる可能性はあります。
そのことの判断は一般の方では難しい為、離婚を得意とする弁護士などの専門家に相談することが適切です。
それでは長くなりましたが、最後までご覧頂きありがとうございました。
まいみらいがお伝えしました。(私の離婚経緯などを載せたプロフィールはこちら)
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