離婚を専門に扱う某法務事務所に勤める1児のシングルマザーが、離婚に関する役立つ知識を発信します。
こんにちは、まいみらいです。
子供の親権をどちらが持つのか?
このことで揉めてしまうと、なかなか決着がなかなかつかずに、ドロドロの親権争いになってしまうことがあります。
そこで今回は親権争いになった際に、家庭裁判所が親権者を選ぶ際の基準や自身に有利になる事情についての解説。
加えて、親権争いが泥沼化にならない為には、どうすればいいのかを主に取り上げますね。
これをご覧頂くことで、自身が親権争いに有利か否かの大まかな予測ができます。
そして親権争いを早く終わらすことができる可能性が上がりますよ。
目次
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最初に親権を争っている姿を子供の前では極力避けるべきという事についてお伝えします。
離婚時に親権者はどちらがなるのかで、揉めることは珍しくありません。
お互いに譲れないとの思いから、次のようなやりとりが起こるのです。
夫側のよくある主張としては、
「子供に不自由な思いをさせるなら、俺が引き取る方が幸せだ!」
反対に妻側のよくある主張としては、
「仕事人間で自分中心のあなたに子供は育てられない!私が育てた方が幸せに決まっている!」
離婚すること事体には合意しても、このように親権のことで双方が一歩も引かず、離婚を成立させられないケースがよくあります。
なかには相手に対する嫌悪感から「親権を素直に渡してたまるか!いいなりになってたまるか!困らせてやる!」といった残念な方も。
親権争いをしている両親を見せられている子供は精神的に不安定になり、心に大きな傷を負います。
両親が離婚することだけでもショックなのに、さらに自分のことで言い争っている両親を見る、そんな子供は不幸です。
最低でも子供がいない場で話合い、子供の前で言い争っている姿は極力見せるべきではありません。
子供の親権を決める流れですが、最初は夫婦で話し合いをします。
なお、親権を決める際に、婚前契約書などで過去に「もし離婚になったら親権は妻にする」という約束はあまり意味がないです。
親権はあくまでも「子の利益と福祉」つまり、どちらの親が親権者になるのが子供は幸せか?の観点で裁判所は決めるからです。
ですので、その約束通りに親権を決める必要はありません。
話し合いで揉めて平行線をたどるようなら、協議離婚は諦めて家庭裁判所に解決の場を移します。
まずは「離婚調停」の申し立てを行い、調停で親権者をどちらにするのかを決めます。
離婚調停とは、中立的な立場である調停委員を夫婦の間に挟んで、子供の親権について話し合いをし、合意形成を目指す制度です。
調停委員について簡単に言えば、離婚などに関するトラブルを仲介する役割を担っているイメージで構いません。
調停によっても合意ができなければ、家庭裁判所の審判によって親権者を指定することになります。
調停・審判でも話し合いがまとまらない場合は、最終的には離婚裁判の場で親権者を決める流れです。
それでは審判や裁判の判決で親権者を定める際、家庭裁判所はどのような基準で判断しているのでしょう。
主な要素は次の通りです。
これらの要素が良いほど「子の利益と福祉」に適っているとされ、親権争いに有利となります。
家庭裁判所で親権争いをする場合は、先ほどお伝えした要素をベースとして主張していくことです。
まず自分が子供に対する監護実績があること、及び監護体制が整っていることを強調します。
そして相手の方の監護実績の問題点、監護体制が不十分であることを主張していくのが基本となります。
両方とも主張することが大事ですが、まずは自分の方こそが親権者として相応しいことを前面に出すことが大切です。
どれだけ親権者として相応しい要素が備えていても、親権を望む父親とすれば受け入れ難い事実があります。
それは10歳未満の子供の親権は、特別の事情がない限り、母親が親権者に指定されているのが現状だということ。
なぜなら幼い子供の健全な成長には、母親の監護による愛情と心理的絆が必要不可欠と裁判所は考えているからです。
子供の世話をしない、虐待するなど余程の事情がない限り、親権者は母親になります。
また母親の不倫が原因で離婚した場合でも、父親ではなく母親が親権者に指定されるケースもあります。
このように10歳未満の子供については、裁判所は「母親」を親権者にする傾向が強い為かなり母親が有利です。
産後しばらくの間は子が寝てくれない、泣き止まない、夫の育児の無理解&無協力などが原因で精神が不安定になることも。
このことで赤ちゃんに対して文句を言ったり、軽く叩くなどの言動をしてしまうこともあります。
そのような行為を見ていた夫が精神的・身体的な虐待だと主張する場合があります。
でも育児疲れや産後の精神的な不安定はよくあることなので、無理解な夫がそのような主張してもスルーして構いません。
いま子供がしっかり成長しているなら、それが全てということです。
次に10歳以上の子供については、家庭裁判所はどのようなことを考慮するかをお伝えします。
家庭裁判所は子供が10歳ぐらいから、その子の意思を確認し尊重する場合があります。
15歳以上の子供については、必ず子供の意思を聞かなければなりません。
そして、その意思を尊重して親権者が指定されます。
ただし、子供の発言だけで親権者が決まるということではありません。
子供の意思を尊重しつつも、その他の事情を総合的に考慮して親権者を判断します。
なぜなら、子供は両親の親権者争いを見ることにより、所緒不安定になっていることもあります。
ですので、100%本心から言っていると確信できないのも大きな理由のひとつです。
10歳未満の子供の親権者は、母親に指定される傾向が強いですが絶対ではありません。
大きいのは、今までどちらの方が進んで子供の愛育をしてきたか、今後も期待できるかという点です。
ですので、状況によっては父親が親権争いに勝つこともあります。
具体的には次のようなケースです。
そして別居時に母親の方が家から出て行き、別の場所で暮らし始めた。
子供は学校関係もあるのでそのまま残り、父親が子供の面倒を見ている。
夫婦の別居後、子供は父親側が養育する環境に慣れて暮らしている。
この慣れている環境を離婚時に変えてしまうのは、子供の為には良くない。
子供の養育環境に大きな変化を与えず、現状のまま維持する方が子供の利益・福祉となるので望ましい。
よって、「別居後の父親側の監護状態を尊重する」という考え方を基本的に裁判所は採用しているのです。
子供の養育環境を変えることで、子供に心理的負担を感じさせることがないようにする為のこの原則を「現状維持の原則」といいます。
現状維持の原則は、子供を監護している親に問題がなければ、裁判所はこの原則を重視します。
この原則があるからといって、子供の親権を取る為に、別居先の夫の元にいる子供を母親が何の連絡もなく急に連れ去り、
その後、母親が子供を育てようする行為は親権者としての適格性が疑われるのでNGです。
たとえ父親が「子供は絶対渡さない」と拒否されたとしてもです。
このような子供の連れ去りは不当な行為と判断されてしまうのです。
よって家庭裁判所は現状維持の原則の適用を控え、裁判所は母親ではなく父親を親権者に指定する可能性が高まります。
この事は父親でも同様であり、母親が子供を連れて一方的に別居をされたとしても、母親の同意なしに無理やりに子供を取り戻してはいけません。
父親はますます親権を得ることが困難となります。
それではこの様な場合はどうすればいいのか?
連れ去られた側は無理やりに子供を連れ去るのではなく、まずは相手配偶者と子供の監護者について話し合います。
話し合いで合意できない場合は、家庭裁判所に次の3つの手続きを同時にします。
家庭裁判所はこれらの判断する上において、別居時から今までの経緯や養育環境、監護者の指定を希望する事情、家庭環境、子供の年齢を考慮します。
そして家庭裁判所が監護者をこちらに指定すれば、相手に子供の引き渡しを求めることができるのです
以上のことは子供が連れ去られたら直ちに行うことです。
たとえ不当な連れ去り別居だとしても、別居生活が長くなるほど子供はその環境での暮らしに慣れるので、裁判所はその環境を維持するのが望ましいと判断するからです。
※ 連れ去り別居と親権についての詳細は「連れ去り別居された子供を取り戻す!適切な方法を解説【親権確保】」で取り上げています。
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弁護士をつけることで親権争いは有利になるのか?についてですが、これもケースバイケースです。
たとえば子供がまだ乳児で、母親の監護は何ら問題なく子供と一緒に暮らしているのであれば、弁護士をつけても有利にはなりません。
しかし、これまでお伝えしたなかで親権争いに勝てそうな要素があるならば、依頼するかどうか別として相談してみるべきです。
弁護士をつけるメリットは次の通りです。
離婚や親権に強い弁護士は、親権を取る為のノウハウを多く持っていますので勝てる確率が高まります。
※ 弁護士選びのポイントの詳細は「離婚の弁護士選びで失敗しない為に必ず押さえておくべきこと」で取り上げています。
まずは弁護士との相談から始める事になりますが、相談料の目安としては1時間あたり1万円ですが、最近は無料の事務所も多いです。
次に実際にサポートを弁護士に依頼した際の費用は、裁判以外の方法のざっくりした目安は「40~100万円」は必要。
主には次のような名目の費用が掛かります。
そして裁判になった場合の目安は、これら3つを含めて100万円前後は必要になると考えておきましょう。
裁判の場合は1~2年は必要と見ておいた方がいいです。
ちなみに私は、離婚調停のサポートを弁護士に依頼することも考えましたが、多額の費用が掛かるので諦めました。
でも、もし夫が親権を争ってきたならば絶対に親権は譲りたくなかったので、借金してでも弁護士に依頼していたと思います。
ここまでは親権争いの流れと、もし審判などで親権を争った場合、家庭裁判所がどう判断するかをケース別で取り上げました。
子供の心理面は当然、夫婦にかかる精神的負担のことを考えると、親権者は審判や裁判ではなく話し合いで決めたいところです。
それでは親権を望む母親側としては、どうすれば協議離婚の段階で自身を親権者として決着できるかをお伝えします。
平成28年度の司法統計では、家庭裁判所が母親を親権者として指定した件数は全体の90%以上を占めました。
ですので、親権を争っても家庭裁判所は90%以上の確率で母親を親権者に指定するという事実を主張しましょう。
そうすれば、父親は何も言えなくなってしまいます。
母親側にすればとても強力な主張材料です。
「育児の大変さなんて分かっていないでしょ?」
などと育児のことについて具体的に相手にイメージをさせ、問い詰めれば父親は親権争いから離脱します。
このように親権争いになった場合、客観的な数字を元に母親は自身が有利であることを主張することができます。
逆に父親側の親権争いは圧倒的に不利です。
目をそらしたくなる統計です。
母親側が子供を虐待する、放置して遊んでいる、不倫しているなど、親権者としての適格性に問題がなければ、家庭裁判所は母親側を指定します。
なお母親にそのような問題点があれば、その言動などの日記をつける動画を撮るなど細かく証拠を残し、いざという時は提出できるようにしておきましょう。
妻にそのような問題点がなければ、父親が親権を確保するには、話し合いで決める協議離婚や調停で母親を説得させる他ありません。
誠意や意欲や熱意を持って、母親に対して自分が親権者になった方が子供は幸せだと説得しつづけることです。
しかし、協議離婚や調停段階で母親の同意を得ることがが叶わず、審判や裁判になった時点でほぼ負けは決定です
親権を強く望む父親とすれば非常にやりきれません。
しかしながら、家庭裁判所が90%以上の確率で母親を親権者に指定する現実がある以上、このことを受け止めるしかないのです。
この現実から逃げ出しても仕方ありません。
協議や調停で母親が親権を譲らない姿勢を見せれば、親権を取ることは非常に困難なので諦めるしかないのです。
子供の親権を熱望していたのですから。
そうであれば、親権を諦める代わりに子供とできるだけ会わせてもらえるように交渉をするべきです。
たとえば面接交流は月に2回だが、夏休みや冬休みの期間中のうち1週間は父親の元で暮らす。
このようにすることで、父親は子供と会える機会が増えるし、1週間という限定ではあるが一緒に暮らすこともできる。
このように親権を諦める代わりに面会交流で調整することを提案すれば、母親も納得する可能性は高いです。
母親も親権は譲れないが、子供の健やかな成長の為にも父親と定期的に会うことを望んでいるでしょうから。
※ 面会交流の詳細は「面会交流のルール作りをする上で必ず押さえておきたいポイント」で取り上げています。
親権者を審判や裁判で決めることは、多かれ少なかれお互いにしこりが残ります。
しこりが残るぐらいなら、協議の段階で面会交流を増やす方法で調整するべきです。
母親も親権が譲れないのであれば、面会交流を増やすことを提案する。
逆に夫から子供の面会の回数を増やして欲しいと言われれば、誠実に話合いに応じるべきです。
親権も譲れない、面会の回数も最低限度しかダメだとなれば、それこそお互いに心底憎み合って離婚しなければなりません。
審判や裁判までもつれると、この状態になります。
子供にとっては実の父母は一人ずつしかいません。
その両親が離婚後もお互いが憎しみ合っている姿を見るのは、子供にとっても不幸なことです。
今回は親権争いになった際に、家庭裁判所が親権者を選ぶ際の基準や自身に有利になる事情についての解説しました。
加えて、親権争いを激化させず早く決着をつける為にはどうするべきかも取り上げました。
親権争いをしている方に少しでも参考になれば幸いです。
親権争いをしていることで、最も傷つくのは争いの対象となる子供自身です。
ですので、子供の前で争うことを避けるのはもちろん、早く結論が出せるように心がけて下さいね。
それでは長くなりましたが、最後までご覧頂きありがとうございました。
まいみらいがお伝えしました。(私の離婚経緯などを載せたプロフィールはこちら)
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