離婚を専門に扱う某法務事務所に勤める1児のシングルマザーが、離婚に関する役立つ知識を発信します。
こんにちは、まいみらいです。
離婚に向けて、相手と話し合いを重ねているが全く進展しない、または離婚調停を申し立てたが不成立となってしまった。
この様な場合、離婚裁判を考えるようになります。
裁判で離婚が認められるのには、民法で定める5つの離婚原因(法定離婚事由)に該当する必要があります。
今回はその5つの離婚原因についての詳細や離婚裁判についての概要、自分が望む判決を得る為のポイントなどを取り上げます。
ご覧頂いている多くの方は、離婚協議前、または離婚協議中だと思いますが、5つの離婚原因を知っておくことは大切。
なぜなら、相手が離婚に合意しない場合、裁判をすれば離婚請求が認められるか否かの判断が大まかには出来る様になるからです。
このことは離婚を拒否する相手の説得材料にもなりますし、また相手が拒否を続けたとき、実際に離婚裁判に進めるべきかが分かります。
目次
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協議離婚や離婚調停(審判)によっても離婚が成立しなかったが、それでも離婚を目指す場合は、離婚裁判(離婚訴訟)をすることになります。
協議離婚や調停離婚の場合は、夫婦が合意できない限り、離婚が成立することはありません。
しかし、裁判の判決には強制力がありますので、夫婦の合意は必要ありません。
また離婚裁判は離婚を求めてだけではなく、次の様な争いごとについても判決を仰ぐことが出来ます。
実際に離婚裁判を考えたなら、そのときのメリットとデメリットを知っておく必要があります。
まずはメリットについてお伝えします。
離婚裁判の大きなメリットは次の2つです。
既にお伝えした通り、相手がどれだけ離婚を拒否したとしても、裁判所が離婚すべきと判決を下せば、強制的に離婚は成立します。
また、離婚に付随して判決された養育費や慰謝料などを相手が守らなない場合は、
強制執行で相手の財産を差し押さえ、そこから不払い分の養育費などを回収することが出来ます。
養育費や慰謝料などを受け取る側は大きな安心につながります。
離婚裁判の大きなデメリットは次の3つです。
離婚裁判の大きなデメリットのひとつは多額の費用が必要なことです。
離婚裁判は高度な手続きである為、一般の方がそれをするのはかなりハードルが高く、通常は弁護士に依頼することになります。
弁護士に依頼すると、着手金や成功報酬や日当などの費用が発生し、それらを合計すると100万円以上になるのも珍しくありません。
それに加え、離婚裁判で何らかの結果が出るまでには、非常に多くの時間が必要となるのも大きなデメリットです。
詳しくは後ほどお伝えしますが、1年以上掛かることは普通にありますので、
精神的負担も非常に大きくなります。
ちなみに私は調停離婚でしたが、それでも精神的にはきつかったので、裁判となっていればもっと苦しくなっていたと思います。
離婚調停をせず、いきなり離婚裁判をしたいと考える方も中にはいるでしょう。
しかし離婚裁判をするには、離婚調停を経なければならない法律上のルールがあります。
ですので、離婚調停を経ずに離婚裁判を申し立てても却下されます。
この様なルールを「調停前置主義」といいます。
ここからは離婚訴訟の提起から実際の裁判の流れについて取り上げます。
次の順でお伝えします。
離婚裁判で必要な書類は主に次の通りです。
その他、養育費や財産分与を請求する場合は、それに関連した証拠資料も要ります。
次に主な費用(弁護士費用は除く)は次の通りです。
印紙代は離婚だけを求める場合は13,000円です。
離婚に加えて養育費等を求める場合は、以下の印紙代も必要です。
<名目> | <印紙代> |
養育費 | 子供1人につき1,200円 |
財産分与 | 一律1,200円 |
慰謝料 | 請求金額160万円まで13,000円 |
これらの必要書類などを用意し、原告または被告のいずれかの住所地を管轄する家庭裁判所へ訴状を提出し、申し立てを行います。
なお、離婚を求める側、つまり訴える側を「原告」、反対に訴えられる側を「被告」といいます。
次に離婚裁判の大まかな流れについてお伝えします。
↓
②被告側による答弁書提出
↓
③おおよそ月に1回のペースで期日が開かれる。
※初めのほうは双方の主張を述べ合う、ある程度双方の主張が終わると尋問が行われます。
↓
④期日を重ね、争点が整理されたところで裁判官から和解を勧められる。
※和解案を受け入れるなら和解調書が作成され離婚が成立
↓
⑤尋問が終わってから1~2カ月後に判決(※判決に不服があるなら控訴可)
離婚裁判の開始から判決までには、
平均して「12ヵ月~16ヵ月」かかります。
最高裁判所事務局家庭局から公表されている、平成28年度の実際の統計は次の通りです。
判決まで至った場合の平均審理・・・17.5ヵ月
この2つに約4ヵ月期間の差が出ている主な理由は、和解離婚に応じるか否かによるものです。
お伝えした通り、離婚裁判は調停を経ないと出来ないので、その期間も加えると2年以上になることもあり、正直長すぎると思わざるを得ないですね。
協議離婚や調停離婚の場合では、離婚したい理由がどの様なものでも、夫婦間で「合意」と離婚届の「届出」があれば離婚は出来ます。
たとえば「相手への恋愛感情が冷めてしまった」「やっぱり一人の方が性に合っている」など
他人から見ればそんな理由で別れるの?というような内容でも、合意と届出があれば離婚が出来てしまいます。
しかし離婚裁判の場合は、この様な理由では離婚が認められる可能性は基本的にありません。
裁判所の離婚判決を得る為には、次の民法770条1項で定める5つの原因のいずれかが必要となります。
これらの離婚原因のうち1つでも当てはまると認められれば、裁判離婚が成立します。
それでは、この5つの離婚原因を個別に取り上げます。
配偶者が浮気や不倫をすることです。
民法では「不貞行為」という表現となります。
人によっては、配偶者以外の異性と食事に行った時点やキスした時点で不倫と考える方もいるかと思います。
しかし、裁判所の判断では「配偶者以外の異性と自由な意思に基づき性的関係をもつこと」が不貞行為とされます。
ですので、デートや単なるキスだけでは性的関係とは言えないので、裁判所は原則的に不貞行為だとはみなしません。
性的関係がなくても、裁判所は離婚判決を出す場合もあります。
たとえば、性的関係は伴わないが、頻繁に異性とデートやキスなどの裏切り行為をされている。
この場合、婚姻関係が破綻してもおかしくないほど、夫婦仲が悪くなりますよね。
ですので、この様な場合は「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当し、離婚が認められることもあります。
※不貞行為と慰謝料についての詳細は「不貞行為の離婚慰謝料をより多く確実に受取りたい方へアドバイス」で取り上げています。
夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければなりません(民法752条)。
「遺棄」とはこの義務を果たさないことであり、「悪意」とはわざと結婚生活が上手くいかなくなっても構わないという心理や態度のことです。
つまり、婚姻関係を壊すことを目的としている場合や、壊れると分かっているに「どうでもいい」というような態度で、
夫婦の同居義務や協力義務、扶助義務を果たさないことを「悪意の遺棄」といいます。
次の様な別居することに正当な理由がある場合や、夫婦の合意による別居などは悪意の遺棄には該当しません。
悪意の遺棄の具体例として、一人では到底満足に生活できない状態の配偶者を置き去りにしたまま別居を続けた。
その上、生活費も送らなかったというケースを悪意の遺棄と裁判所は認めています。
悪意の遺棄を認めてもらうには「社会通念上、倫理的な非難を受けて当然」といった行為が必要です。
単に数週間何も言わずに家出をした場合や、不倫相手先で暮らして家に戻らない場合だけでは認めてもらえません。
しかし、これらの行為は「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当し、離婚が認められることもあります。
3年以上の生死の不明とは、配偶者からの音信が最後に途絶えた時点から3年以上たって、生死が確認できない状態のことをいいます。
たとえば、次のようなケースが考えられます。
生きているのは知っているが、どこで暮らしているかわからない場合は「3年以上の生死の不明」には該当しません。
回復不可能な精神病が認められる為には、配偶者が婚姻生活の本質的な義務を全く果たせない程に強度の精神病になっている。
そして、その精神病が回復の見込みがない場合に認められます。
しかし、この離婚事由は不貞行為や悪意の遺棄の様に、本人自身には責任はありません。
ですので、裁判所は回復不可能な精神病を理由とする離婚を容易に認めない傾向が強いです。
認められる為には、誠実に相手を看病してきかどうかに加えて、離婚後の相手の生活に関する見通しが立っているなどの要件が必要となります。
民法には「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」を離婚原因に規定しています。
何が重大な事由としているかは、それぞれの夫婦の状況を考慮して、ケース・バイ・ケースで裁判官が判断することなります。
婚姻の破綻の程度が、客観的に婚姻継続不可能と判断されると離婚判決を出します。
婚姻を継続しがたい重大な事由となりえる主な例は次の通りです。
離婚したい動機で、統計上一番多いのは「性格が合わない」です。
しかし、裁判所は「単に性格が合わない」では離婚判決は出しません。
なぜなら、夫婦お互いの努力により、円満な夫婦関係の修復が出来る可能性がある為です。
ですので、直ちに「婚姻を継続しがたい重大な事由」には当てはまりません。
性格の不一致が愛情の喪失まで進み、夫婦生活は深刻かつ絶望的に破綻し、到底円満な夫婦生活には戻るとは認められないところまで悪化しないと認められません。
※性格の不一致と離婚についての詳細は「性格の不一致で離婚する方が、無駄な労力を使わない為のポイントとは?」で取り上げています。
民法770条1項で定める5つの原因(法定離婚事由)があるからといって、裁判所は必ずしも離婚請求を認めるわけではありません。
なぜなら裁判所は、一切の事情を考慮し婚姻を継続した方が相当だと判断した時は、離婚請求を認めないからです。(民法770条2項)
たとえば、確かに相手配偶者が不貞行為をしたのは事実である。
しかし関係は短期間だけあり、不貞行為をしてしまったことを心から悔んで反省している。
このような事情を元に、裁判所が夫婦関係はまだ修復可能であり、婚姻生活は継続できると判断すれば離婚判決を下しません。
離婚裁判が終了する主なパターンは次の3つとなります。
判決とは、夫婦が最後まで離婚などを争い続けた場合、原告の離婚請求を認めるか否かを裁判所が決定し、問題を終結させることです。
この形式での離婚を「判決離婚」といいます。
裁判官が双方の話し合いで解決するのが望ましいと考えた場合、裁判官が仲介役となって話をまとめていきます。
そして双方が合意できる解決案が出来たのなら和解が成立します。
この形式での離婚を「和解離婚」といいます。
取り下げとは、離婚裁判を提起した後、提起した側である原告が裁判を取りやめることです。
取り下げには、被告の了承が必要となります。
最高裁判所事務局家庭局から公表されている、平成28年度における離婚裁判の終局区部の統計は次の通りです。※平成28年度の離婚訴訟の総件数は「8,796件」
判決 | 3,439件 | 39.1% |
和解 | 4,216件 | 47.9% |
取下げ | 922件 | 10.5% |
その他 | 219件 | 2.5% |
これを見ると徹底的に争って終結させる判決離婚よりも、和解離婚の方が多いことが分かります。
取り下げに関しては、離婚裁判をする目的から逸れる行為なので、やはり約1割と少ないです。
離婚判決を得れば、判決が確定した日に離婚は成立することになります。
具体的には、判決書を郵便などで双方受け取ってから、控訴の申し立てがなく2週間経過すれば判決が確定します。
ただし、判決が確定しても戸籍上は夫婦のままです。
その為、判決確定後に原告側が、判決が確定した日から10日以内に、離婚届を役所に届出なければなりません。
届出がないことで離婚が無効になることはありませんが、届出をしないままでいると5万円以下の過料を科される可能性があります。
なお離婚届には相手の署名・押印の欄がありますが、離婚は確定している為、原則必要ありません。
判決離婚の場合は、次の書類を離婚届と一緒に添付して提出しなければなりません。
これらの書類は、家庭裁判所に「交付申請書」に必要事項を書いて提出すれば発行してもらえます。
離婚裁判で自分が望む判決を得る為には、
とにかく自身に有利な証拠を用意することが必要不可欠です。
なぜなら、離婚裁判では証拠のないことを認めさせることが困難だからです。
そこで、どの様な証拠を集めるべきかをお伝えします。
この2つは決定的な証拠なので、これが用意出来ればかなり有利になります。
他にも次の様なものが証拠となります。
この様な些細なものでも出来るだけ多く集めることで、それら証拠が点と点が線で結ばれる的な感じで、不貞を立証できることも十分あります。
ですので、些細なものでも捨てずに取っておくべきです。
相手から暴力を振われた時は、次の様な証拠を残すことです。
日記をつける際は、日付はもちろん、事細かく時間の流れに沿って残すことが重要です。
このことは他の有責行為の証拠をとる場合でも同様です。
相手から精神的に追い詰められるような出来事や言動があった時は、次の様な証拠を残すことです。
モラハラをされたことの日記
相手がどれだけ夫婦の共有財産を所有しているのかをハッキリさせる為にも、次の様なものをできるだけ用意しましょう。
相手に財産を隠されたなら、正当な財産分与を受けることが出来ません。
ですので、夫婦の共有財産に関するものは、出来る限り証拠を集めるようにしましょう。
たとえば、預貯金通帳であれば、通帳の名義人や支店名、口座番号が載った部分のコピー、最新の日付の残高が載った部分のコピーなどです。
今回は離婚裁判の概要や民法で定める5つの離婚原因の詳細、裁判で自分が望む判決を得る為のポイントなどを取り上げました。
これから離婚裁判を考えている方はもちろん、協議離婚を目指す方でも、有利な離婚をするにはここでお伝えしたことは重要です。
もし5つの離婚原因にあてはまる相手が離婚を拒否した場合、相手を説得する材料となるからです。
また証拠を残すことで、慰謝料の支払いにも応じやすくさせることも出来ます。
離婚を決めたのなら、早く離婚の問題が解決できるに越したことはありません。
そして実際に離婚裁判を考えている方も、大まかな全体像やポイントを掴むことで、離婚裁判というものがイメージ頂けたかと思います。
では長くなりましたが、最後までご覧頂きありがとうございました。
まいみらいがお伝えしました。(私の離婚経緯などを載せたプロフィールはこちら)
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