離婚を専門に扱う某法務事務所に勤める1児のシングルマザーが、離婚に関する役立つ知識を発信します。
こんにちは、まいみらいです。
離婚後に子供を引き取り一緒に生活する母親側とすれば、養育費はなるべく多くもらいたいと思うのは当然のことです。
反対に養育費を払う父親側とすれば、長期間に渡り支払うことになる養育費はなるべく少ない額にしたいと思っています。
このように母親とは真反対の考えを持っている父親から、できるだけ多くの養育費をもらうにはどの様に交渉すればいいのか?
今回はこのことをテーマとして取り上げますね。
養育費の交渉を間違えると、一般的な金額さえも確保できなくなる恐れがありますので、ご確認を頂ければと思います。
目次
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シングルマザーになる方にとって、養育費は今後の生活の命綱となります。
ですので、養育費の金額についての交渉は重要。
養育費の金額を決める際の参考として「養育費算定表」があります。
養育費算定表とは簡単に言うと、裁判所で養育費を決める際に参考として用いられる資料です。
しかし、養育費算定表から算出される金額はかなり低額です。
たとえば、次のようなケースで実際に計算してみましょう。
・妻の給与所得等による年収が100万円
・子供の数が1名(14歳以下)
※養育費算定表から算出される月額「4~6万円」
この金額では子供を大学に通わせることは難しいです。
養育費算定表は実際の監護に必要な費用を反映していません。
ですので、離婚時に養育費を交渉する際には、わざわざ自分から養育費算定表から算出される金額を夫に知らせる必要はありません。
もし夫が算定表の金額を知ってしまえば、その金額を基本とした話合いとなる可能性は高まります。
あくまで参考程度として、自分が知っておくに留めておくべきです。
※養育費算定表についての詳細は「養育費算定表の算定額と使用する際に必ず知っておくべきこと」で取り上げています。
養育費をもらう側とすれば、養育費算定表から算出される金額にプラスアルファしてほしい。
または、中学校、高校、大学などの進学時には、入学金や制服代、教科書代など一度にまとまったがお金が必要になる。
したがって、その分について算定表相当額の養育費とは別に、「一時金」という形でまとまったお金をもらいたい・・・etc。
このように養育費算定表の金額にとらわれず、実際の監護に必要な金額をもらいたいところです。
しかし、養育費を払う側は大きな負担が掛かることを嫌がるので、「できるだけ養育費の金額は押さえたい」と考えます。
それに加え、「こちらが支払うことになる養育費は、本当は自分の為に使うのではないか?」と疑うことも多いのです。
なぜなら、離婚するまでに至った二人の信頼関係は著しく低下しているので、そう簡単に相手を信用することができないからです。
このように思っている夫に対して、実際の監護に必要な額を支払ってもらうには、どれだけのお金が必要になるのかを伝え、夫に理解してもらうことです。
このような事をお伝えすれば「当たり前のことじゃない!?」と思われるでしょう。
しかし、その当たり前のことを「伝える方法」を考えて頂きたいのです。
子供の親権者となる母親の多くが、養育費の交渉を口頭でしようとします。
しかし、「口頭」で交渉しても説得力がありません。
夫は次のように思うだけです。
「自分に都合のいいように言っているだけ!」
そう思ってしまうのも無理はありません。
なぜなら、夫は普段、仕事で数字を使います。
売上目標、新規事業計画書、販売実績、などなど
数字を使うということは、自分以外の人に物事と伝える基礎的なツール。
これら書類で数字を使うことは日常茶飯事です。
ところが専業主婦などは、日常、夫のように細かく数字を使うことはありません。
ですので、物事を口頭で伝えることがほとんどでしたし、実際に私がそうでした。
ここに大きな差があるのです。
夫は仕事で上司を説得するため、口頭ではなく数字を使って説明します。
数字を使わず口頭で交渉しても、上司は納得せず了解しません。
「きちんと書類などで数字を出せ!!」と門前払いです。
このような日常があるので、夫は数字の大切さを知っています。
ですので、妻の養育費の主張に対して夫は、
「どこからこの金額が出るんだ?」
「絶対に多めに吹っ掛けているだろう!?」
このように思ってしまうのです。
また、なかには普段「家計簿」をつけていない方もおられます。
もちろん、家計簿をつけなくても日々節約して、家計を上手にやりくりしている方もいるでしょう。
しかし家計簿をつけていない主婦は、相対的にムダな出費が多い傾向にあります。
感覚的に家計をやりくりしているからです。
そんな妻を見ている夫は、
「そんな奴の言うことが信じられるか!」
このように思っている夫に対して、口頭でいくら養育費の額の妥当性を伝えても納得させることは困難なのです。
よって、夫を納得させるには「数字」を出すことは必須となります。
数字を出すことによって、夫を交渉の場につかせます。
数字の一番の役割は、感性と理性をつなぐことです。
たとえば、発熱で会社を休む理由を伝える際、次の2つの例で比べてみます。
例2)通常平熱が36.5度のところ、今38.7度の熱があるので、会社には行けません。
例2)の方が数字に出しているので具体的です。
ですので、例1)と比べ説得力が全く違います。
養育費の額を交渉する時も同じ。
単に口頭で漠然とした必要な金額を伝えても説得力がありません。
夫に納得してもらうには、具体的かつ信憑性の高い数字(金額)を提示できるかどうかです。
では具体的かつ信憑性が高い数字(金額)とは何でしょうか?
たとえば、夫婦の子供が3人いて一番上の子供は既に自立しているとします。
この場合、どれくらいのお金が必要かは家計簿をつけていればそれを見ることで分かります。
これは具体的かつ信憑性の高い金額でしょう。
しかし一般的にこのような金額を出せる家庭は少なく、通常はあくまで母親の予測となってしまいます。
主観的で根拠のない金額を伝えても夫は全く納得しないでしょう。
このような場合は、「統計」を使用して、子供が将来必要になってくるお金をシミュレーションします。
統計は一般企業が公表しているものもありますが、やはり国が調査した統計のほうが信頼性は高いです。
国が公表している統計で代表的なものは、「子供の学習費調査」があります。
この統計は、出生から子供が大学を卒業するまでの必要な教育費が分かります。
平成28年度の調査結果の概要ははこちら
また、内閣府政策統括官発表の「子育て費用に関する調査」があります。
この統計は出生から大学を卒業まで調査ではなく、中学卒業までとなります。
ですが、食費、医療費、生活用品費などの細かな統計が出ています。
平成21年度の調査結果はこちら
上記2つの統計は国が調査したデータなので信頼がおけるものですし、これほど具体的かつ信憑性の高い数字(金額)はありません。
このような信頼の高い統計を集め、子供が自立するまでの必要な費用を表などにしてまとめるのです。
そして夫にそれを提示した上で養育費について交渉します。
具体的かつ信憑性の高い金額(数値)を提示しているので、口頭と比べ夫の納得度は全く違います。
それと同時に養育費算定表の金額では、実際に子供を養育するのに必要な額に対して全く足らない事実も伝えることができます。
ですので、夫が養育費算定表の額を把握していても、プラスアルファに応じる可能性があります。
言葉だけで必要額を伝えても夫に納得してもらえず、感情的な言い合いにしかなりません。
具体的な数字を持って交渉することが大事です。
養育費の額について上記のように交渉すると並行して、子供の面会交流についてもしっかり取り決めましょう。
なぜなら、夫は次のような懸念を持っているからです。
「離婚したら養育費だけを払わせ続け、子供に全く会わせるつもりがないのでは?」
このような懸念が強くなれば養育費の金額を多くもらうことはおろか、養育費を払うこと自体を拒否されることもありえます。
たとえ離れて暮らすことになっても、父親は自分の子供は愛しいので定期的に会いたいと強く願うでしょう。
もし離婚後は子供と面会できずに、多くの養育費だけを払い続ける状況になれば、相手は嫌気が差し養育費を止める可能性は大です。
ですので、より多くの養育費を継続的にもらうには、夫が持つこの懸念を取り除く為、定期的な面会交流を確約することが重要です。
実際に子供を定期的に面会させているケースと、面会させていないケースでは、前者の方が明らかに養育費の不払い率は低い結果がでています。
私も別れた夫と子供の面会交流は今まで欠かさずに行ってきたおかげか、養育費が遅れたことは一度もありません。
そもそも面会交流は離れて暮らす側の親の正当な権利ですので、当該親が子供に暴力を振うなどの問題がなければ、面会交流は実現させる義務があります。
加えて面会交流は子供の権利でもあります。
離れて暮らす親と定期的に会って愛情を注がれることは、その子供の健全な人格形成の上で欠かせないものだからです。
※面会交流の詳細は「面会交流のルール作りをする上で必ず押さえておきたいポイント」で取り上げています。
こちらが希望する養育費を払うことを夫が了承すれば、それを口約束で済ますことは絶対にしてはいけません。
口約束では何も証拠はありませんので、すぐに養育費は減額され、場合によっては支払いがストップする事態となります。
養育費を継続的に受け取り続ける為には、離婚届を出す前に、養育費の取り決めを書面化にして証拠に残すことが絶対です。
加えて、養育費を確保するベストな方法は「離婚公正証書」を作成することです。
離婚公正証書があれば、いざ相手からの養育費が不払いとなっても「強制執行」で養育費を回収することが可能となります。
強制執行とは、裁判所の力で相手の預貯金などの財産を差し押さえ、そこから不払い分の養育費を回収することを可能にするものです。
離婚をもらう側とすれば、養育費の不払いを防ぐ為にもぜひ作成したいところですね。
※離婚公正証書の詳細は「離婚協議書を公正証書にすることで効力は絶大となります」で取り上げています。
今回は養育費をより多くもらう為の交渉方法などについて取り上げました。
シングルマザーの家庭で生活に余裕があるところは稀です。
少しでも生活に余裕を持たせるためには、一円でも多くの養育費をもらうことが必要。
その為には、やはり交渉の仕方は重要といえます。
ここでお伝えしたことが、少しでもその手助けになったのであれば幸いです。
それでは最後までご覧頂きましてありがとうございました。
まいみらいがお伝えしました。(私の離婚経緯などを載せたプロフィールはこちら)
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