離婚を専門に扱う某法務事務所に勤める1児のシングルマザーが、離婚に関する役立つ知識を発信します。
妻から離婚したいと言われた…
✓ 突然すぎてパニックで頭が真っ白だ。
✓ どうすればいいか分からない。
✓ 離婚すべきだろうか?
妻から離婚請求。あなたは離婚に応じるにしろ、離婚を回避して妻との関係修復を目指すにしろ、今後の対応が重要です。その対応を間違えると取り返しのつかない事態になります。
この記事では、妻から離婚したいと言われた夫が考えるべきことや、取るべき行動について解説。この記事を読めば、あなたが理想とする結果を迎えられる可能性が高まります。
目次
自分は浮気したとか、妻に暴力を振るったなどの行為は一切ない。家事育児もできるだけやってきた。でも、妻が離婚請求してきた以上、応じないといけないのか?とあなたは思っているかもしれません。
結論から言えば、あなたは離婚を拒否できます。離婚が成立させるにはあなたの同意が必要だからです。離婚するかしないかの選択権はあなたにあります。
ただし、離婚調停までの段階となります。
妻が離婚訴訟を起こし離婚判決を得たときは、あなたの意思とは関係なく離婚が成立します。
実際に裁判所が離婚判決を出す場合は、次の5つの原因いずれかに該当することが必要です。
これら5つの原因を「法律上の離婚原因」といいます。
各原因を軽く説明すると、「不貞行為」とは妻以外の異性と性交渉を持つこと。「悪意の遺棄」とは、生活費を妻に渡さない、夫は健康なのに働かないなどの場合です。
「3年以上の生死不明」と「回復の見込みの無い強度の精神病」はそのままの意味となります。
※ 不貞行為が原因で離婚危機にある場合の対処法は「妻に浮気を許してもらうには?適切な行動を解説【償い・反省・誠意】」で取り上げています。
婚姻を継続しがたい事由とは、法律上の離婚原因1~4の原因には該当しないが、夫婦関係の修復が不可能まで破綻している状況を指します。しかし、これは非常に曖昧な表現で広範囲で特定しにくいことです。
ですので、何が「婚姻を継続し難い重大な事由」になるかは、裁判官の判断によります。過去の判例をみると、次のようなケースは「婚姻を継続し難い重大な事由」と判断しています。
離婚したい理由でもっとも多い「お互いの性格が合わない」は、それだけでは「婚姻を継続し難い重大な事由」には当てはまりません。
性格が合わないこと加えて、その他の要因も必要となります。
まとめると、あなたが「法律上の離婚原因」に当てはまる行為をしていない限り、意思に反する離婚が成立することはありません。
※ 法律上の離婚原因の詳細は「離婚裁判で離婚判決を得る為に必要な5つの離婚原因を知っておこう」で取り上げています。
もしあなたが、「突然、妻が離婚したいと言ってきたが、その理由がさっぱり分からない…」のなら妻の浮気も疑ってみることです。
離婚を切り出される前、妻に次のような行動などなかったか思い返しましょう。
これらのような行動が多いのなら、妻が浮気をしている可能性が高いでしょう。突然、あなたに離婚を求めてきたのも、浮気相手と一緒になるためだとも考えられます。
実際に、妻が浮気をしていた場合は、妻は有責配偶者になるため、慰謝料を請求できます。
あなたが「妻とは離婚したくない!」と思うなら、その気持ちに素直に従えばいいでしょう。
ただし、離婚に応じようと考えている、またはどうすればいいか分からない場合は、今からお伝えするポイントを押さえてください。
あなたに離婚を求めている妻に次のような問題行為があるならば、離婚に応じても後悔することは少ないでしょう。
これまで何度も注意などをしてきたが、改善されないのであれば、妻はこの先もずっと変わらないでしょう。あなたが苦しい思いをするだけですので、これを機に離婚に応じるほうが幸せになれます。
妻自身に大きな問題がないのであれば、離婚回避を試みましょう。夫婦に子供がいる場合はなおさらです。理由として大きいのは、離婚が子供に悪影響を与える可能性が高いからです。
父親と母親が一緒にいる家族の構造を失うことで、子供は大きなショックを受けます。実際に、両親が離婚したあとの子供には次のような悪影響がでていることが確認されています。
両親が離婚しても、問題なく育つ子供はもちろん多くいますが、離婚が子供を傷つけるのは間違いありません。
ネグレクトなど母親に問題がないのであれば、子供のためにも妻との関係修復を試みるべきです。
※ 離婚が子供に与える影響の詳細は「離婚が子供に与える影響【子供の心理に着目】必ずご確認ください」で取り上げています。
子供のことを抜きにしても、妻との関係修復を試みずに離婚に応じるべきではありません。あとになって「なぜ離婚回避に向けた話し合い1つもしなかったのだろうか…」と後悔する可能性も十分あるからです。
妻からの離婚を求められたが、話し合いなどをした結果、関係修復している夫婦も多くいます。少しでも迷いがあるのなら、離婚回避に向けて動くべきです。
あなたが妻との離婚を回避させ、関係修復を目指す場合のポイントを取り上げます。その前に1つ大事なことをお伝えします。
「妻から離婚を求められている原因はすべて自分にある」
他責思想では、離婚危機は回避できません。自分に原因があると自覚したところから、妻との関係修復のスタートに立てます。
それでは関係修復のポイントをお伝えします。主な内容は次の通りです。
それでは個別に内容をお伝えします。
妻から離婚したい言われたあとは、どうしてもパニック状態になりやすく、妻に強く詰めよりがちになります。
今からでも冷静になりましょう。感情的に動いても妻の心は離れるばかりです。
別居を提案してはいけません。別居することで、妻が冷静になり離婚を考え直すだろう、という考えは間違えです。
別居してしまえば妻とのコミュニケーションをとる機会が激減するからです。
実際、別居後1年以内に82.5%もの夫婦が離婚しています。(厚生労働省:別居期間別にみた離婚より)
妻との関係を修復したいのなら、別居はしないことです。
妻との離婚を回避させ、関係修復を目指すのなら、自分自身を見つめ返すことは必須です。
あなたが妻にとって良き夫なら離婚したいとは思わないはず。何らかの不満があり、それが限界を超えたから離婚をしたいと言われているのです。
直接、妻に聞いてはいけません。「この人はそんなことも分からないの!」と思われる可能性が高いからです。あなた自身で見つけるようにしましょう。そのためには、自分自身を深く見つめ直すことが必要です。
妻を苦しめた原因が分かったのなら、その行為について謝罪し、変わることを誓い、実際に行動へと移しましょう。
あなた自身を深く見つめ返すことができたなら、妻のあなたに対する不満点が分かるはずです。その不満点を改めることを書面で誓いましょう。
誓約書に記載すべき主な内容は次の通りです。
「事実関係」とは、浮気やモラハラなど、妻が離婚したいと思わせている原因となったこと。「約束を破った場合の罰則」とは、「再び浮気をした場合は慰謝料を〇〇〇万円支払います」といった内容です。
罰則があることで、妻は夫が真摯に反省し、自分を変えようとしている、とあなたを見直す可能性が高まります。
妻との関係修復を目指すうえで、ときには誰かに相談したいと思うでしょう。その相談相手に弁護士を選ぶのはNG。
あなたの相談相手として適切なのはカウンセラーとなります。あなたを客観的に分析してくれるからです。日本ではカウンセラーを活用する人は少ないですが、欧米では一般的な存在です。
離婚回避や関係修復については、次の記事も参考になるので、合わせて確認してください。
「妻からの離婚請求を回避し、夫婦関係を修復させる為の確かな方法」
「【妻が出て行った】離婚したくない方が別居中にすべきことを徹底解説」
妻からの離婚請求に応じる場合のポイントを、夫側の視点にてお伝えします。次のことについて取り上げます。
それでは個別に内容を取り上げます。
力関係が強いのは基本的にあなたの方です。力関係とは、離婚条件を決めるうえの力関係です。お伝えした通り、離婚の選択権は、法定上の離婚原因に該当しない限り、あなたが持っています。
つまり、妻は離婚をお願いする立場だということ。この力関係を利用して賢い離婚をすることが可能です。
離婚条件とは、このあとお伝えする親権や財産分与などのことを言います。良い離婚条件の例としては、財産分与の割合を6:4にするとか、面会交流は多めにするなどです。
妻がそれを拒否するようであれば、離婚には応じないと言えばいいのです。そう言われた妻は、離婚するためには仕方がない…と嫌々ながらも応じるケースが多くあります。
力関係を実際に利用するかはあなたの判断です。でも確実に言えるのはあなたが納得できない離婚条件をうける必要はまったくありません。
子供の親権は基本的に妻のほうが有利。特に10歳未満の場合は著しいです。10歳未満の子供は、父親より母親の愛情を強く必要としている、と裁判所が判断しているからです。
もし、あなたも妻も子供の親権を得たいとなれば、子供が10歳未満の場合は圧倒的に不利です。
子供が10歳未満の場合は、親権争いはせずに面会交流を多めに設定することを目指すのが現実的でしょう。
しかし、妻が子供に暴力を振るう、ネグレクトなどの問題行為があるのならば、あなたが親権を得られる可能性は十分にあります。問題ある母親の元で暮らすのは子供に悪影響だと判断されるからです。
※ 親権についての詳細は「親権争いで勝てるポイントや泥沼化しない為の方法をお教えます」で取り上げています。
※ 親権問題に強い弁護士の見つけ方は「ご紹介、貴方の理想かつ離婚に強い弁護士を無料で探してくれる案内所」で取り上げています。
妻が子供の親権者になるのなら、養育費を支払う義務があります。養育費とは、食費、衣服費、教育費、医療費などの子供を育ていくために必要なすべての費用をいいます。
支払う期間は子供が自立するまでであり、自立とされる時期の多くは20歳までです。場合によっては子供が大学を卒業するまでとするケースもあります。
あなたが子供との定期的な面会交流を望むのなら、養育費をしっかり取り決め、実際に払い続ける必要があります。
実際、養育費を継続的に払い続けているケースと、支払いが滞っているケースでは、断然に前者のほうが、定期的に子供と面会できています。
※ 養育費の詳細は「養育費算定表の算定額と使用する際に必ず知っておくべきこと」で取り上げています
財産分与とは、婚姻中に夫婦の協力により取得した財産をそれぞれに分配することです。婚姻中に夫婦の協力により構築した財産ならば、名義がどちらであれ夫婦の共有財産とみなされます。
財産分与の対象になる主なものは次の通りです。
分与の割合は、基本的には「50:50」の半分ずつとなります。たとえ妻が専業主婦であってもです。
※ 財産分与の詳細は「離婚時の財産分与の対策はこれを読んでガッチリ確保」で取り上げています。
面会交流権とは、離婚後に子供と離れて暮らす親が子供と会ったり、電話やLINEのやりとりなどをして、子供と触れあえる権利です。
親の権利であると同時に、子供の権利でもあります。子供が親と面会し、愛情を注がれることは、子供の健全な人格形成の上でも不可欠だからです。
父親が面会交流を求める側になるのが大半です。しかし、母親側が父親に子供と合わせないケースが多発しています。
実際に、父親が子供と面会できている割合は29.8%だけです。(厚生労働省:平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果より)
あなたが離婚後に子供と離れて暮らすとなれば、定期的に子供と会いたいと思うでしょう。
しかし、面会交流について何の対策もせずにいれば、子供と会えない可能性が大。面会交流を確保するには、離婚の専門家のアドバイスなどを取り入れたうえの取り決めが必要です。
※ 面会交流の確保などの詳細は「面会交流のルール作りをする上で必ず押さえておきたいポイント」で取り上げています。
離婚時の慰謝料とは、相手に不貞行為や暴力などの有責行為があったとき、その損害賠償として受けとる金銭のことです。
有責行為の主な例は次の通りです。
過去の判例からみた慰謝料の大まかな相場は200万円ほどです。
もしあなたが妻に対し、このような有責行為を行っていたなら、請求をされれば払う必要があります。逆に、妻に有責行為がある場合は、あなたは妻に慰謝料を請求できます。
解決金とは、養育費や財産分与などの名目にとらわれずに、離婚にともない相手側が支払う金銭をいいます。妻も解決金を払えば離婚できるとなれば、応じる可能性はあります。
※ 慰謝料についての詳細は「離婚の慰謝料の相場と相場以上の額を獲得する為に知っておくべきこと」で取り上げています。
※ 解決金の詳細は「夫からの離婚の解決金を提示されたならコレでしっかり確認しましょう」で取り上げています。
離婚協議書とは、養育費や財産分与などの離婚条件を詳細にまとめた書類です。合意内容を証拠として残すために作成します。
あなたが養育費などの金銭を払う側となれば、証拠が残る書類を作りたくないと思うかもしれません。
でも離婚協議書はあなた自身を守るものでもあります。
離婚時に話し合って決めた財産分与を実際に妻に払った。その後妻から急に「私への分与割合が少ないから、あと500万円を支払ってください」と追加の請求をされてしまう…。
「あのとき1,000万円を分与することで納得したじゃないか!?」と反論しても証拠がありません。ですので、妻に「そんな約束した覚えはないよ」と言われる可能性があるのです。終わったと思った問題を、後日に蒸し返されるほど苦痛なことはありません。
清算条項が入った離婚協議書があれば、このような事態は防げます。清算条項とは、「離婚協議書での取決め以外は、離婚後お互いに、何も請求をしない」という意味の文言のことです。
また、あなたが面会交流を求める側なら、子供との面会交流について離婚協議書に残すことは必須。
あなたを守る、面会交流の確保のためにも、離婚協議書は必ず作成しましょう。
離婚協議書は法的に有効なものを作成しないと意味がありませんので、専門家に作成してもらうのが一番です。
※ 離婚協議書の詳細は「離婚協議書を公正証書にすることで効力は絶大となります」で取り上げています。
あなたが理想とする離婚をしたいのなら、離婚の専門家の力を借りることを強くおすすめします。離婚のことを知らない、または知識が不十分なのに、自分の考えや判断だけで動けば失敗する可能性があるからです。
特に、子供の親権を得たい、定期的な面会交流を確保したい場合は、絶対に相談すべきです。専門家でも難しい内容ですので、素人がやってもうまくいくはずがありません。
離婚手続きに関する相談相手ですが、離婚を得意としている行政書士と弁護士が適任です。
※ 離婚に強い弁護士など専門家の見つけ方は「ご紹介、貴方の理想かつ離婚に強い弁護士を無料で探してくれる案内所」で取り上げています。
妻から離婚したいと言われた夫が考えるべきことや、取るべき行動について解説しました。
妻との関係修復、離婚、どちらを選ぶにしろ適切な判断や行動をしいないと失敗する可能性が大です。ここでお伝えしている内容を参考にしていただき、あなたの理想的な結果を迎えられるように行動してください。
それでは最後までご覧いただきありがとうございました。
妻から離婚を求められている。または離婚危機にある。このときの対応を間違えれば、夫婦関係の修復はおろか離婚が確定してしまいます。
離婚を回避させ、妻との関係を修復するための重大なポイントを取り上げています。
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